5.華麗なるローグの一族

 相変わらず散らばったローグの部屋。

 そんなゴミの中でローグは眠っていたのだが……。


 「バカモン、起きんか!」

 「いっだ!」


 本日のモーニングコールは強烈な拳骨がローグの後頭部に降り注いだ。

 そして強烈な痛みに頭を押さえつつ、その拳骨を振り下ろした人物のほうを見る。


 「いきなり何するんだよ、ゴリラじじい!」


 白髪のオールバックに、口を覆うようなヒゲを持ったかっこいい老人。

 だが、老人と言うにはほど遠いガタイの良さで、その姿はサンタクロースの顔を大柄ボディビルダーの体に取り付けたと言ったほうが良いだろう。


 「じゃかましい! せっかく孫の顔を見に来てやったのに何という言い草じゃ!」

 「誰も呼んでないぞ!」

 「ええい、ジジイの寂しがやりをなめるでないぞ! ジジイはな、定期的に孫にかまってもらえないと、死んでしまうんじゃからな!」

 「それはウサギだろ!?」

 「ウサギとジジイは紙一重と言うじゃろうが!」

 「バカとジジイは紙一重の間違いだろうが!」

 「貴様、ジジイになんちゅう言い草じゃ! 年寄をいじめて、一体何が楽しいんじゃ!」

 「年寄なのに、寝てる孫を殴って起こすのはどうなんだよ!」

 「殴ってはおらぬわ! ただ、ちょっと拳に力を入れて、不器用に頭を撫でようとしただけじゃ!」

 「なら何で『バカモン、起きんか!?』なんて言ってるんだよ!」

 「ええい、グダグダうるさい! とりあえず調子が悪いようじゃから、拳で解決してやるわい!」

 「俺は壊れたテレビじゃないぞ!」


 そして二人は取っ組み合いの殴り合いを繰り広げるのであった。

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