3
「有史以来、繁盛と言う言葉から存在しなかったこの店が繁盛とは、何かの前触れか?」
「疫病神にでも取り付かれたのでしょうかね?」
【 (´Д`) 】ぐうぅぅぅぅ……。
非現実的な店の行列に並び、やっと店内に入ることが出来た3人は、その店内の非現実感と空腹を、声と表情でそれぞれコメントする。
ほぼ満席になった室内でうごめく、客と言う名の波しぶき。
空に舞うは、アズサが調理するチャーハンの具材達。
料理を運ぶ風は、人の姿を模したスライム。
そんな非日常を目の当たりにした三人は。
「すまん、ピザを頼む」
「ピサお願いします」
【 ('ω')ノ 】
「はーい、ちょっとお待ちくださーい……ってあんた達、何しれっと注文しているのよ! 第一シノ、ここってアンタの店じゃないの! と言うかこの子、一体何!?」
当然のように空いた席に座ると、皆で左手を上げてピザを注文する。
そして、リーンはそんな3人に声を上げ、少女に指を指のだが。
「おや、店に入って注文するのが礼儀と思っていましたが……? それともこの店は、水だけ注文して帰っても良いのですか?」
「だから、この店の店主はアンタでしょ、シノ! だから手伝ってよ、お願いよ!」
「えー店員さん、私お店を持ってますから、バイトなんて……」
「だからココが……!」
そこは、一般人を怒らせる口調に定評のあるシノである。
見事にリーンを怒らせ、シノはとても楽しそうな雰囲気を溢れさせる。
そして。
(ピザ、ピザ、ピザ……)
そんな二人の絡みを見ながら、名も無き少女はニンマリと笑みを浮かべ、机によだれを垂らしながら未知なる料理に胸をときめかせるが。
「おい、人は食べ物じゃないぞ」
【 ∑(゚Д゚) 】【 ( ;´Д`) 】
「おい、早く料理を持ってきてくれ! この子が空腹なんだ! このままでは人間を食うかもしれないぞ!」
よだれ姿を目撃したローグにそう言われ、少女は(そうじゃない!)と必死に手足をばたつかせて、ローグに伝えようとするが、その誤解は残念ながら解けなかった。
…………。
「な、何ですって! こ、この子スライムなの!? な、な、な、何でスライムなのに人型なの!? あ、私もスライムだった……」
「さて、スライム達のリーダーを自称しながら、仲間を把握できていないこの体たらく。 ローグ審査員、これをどう評価しますか?」
「これはリーダーとして、スライム達をペットとして買ってもらうという目的を達成できるのか?という疑問を感じずにいられないな。 ……と言うより行動力はあるが計画が甘いのではないか? そう思わざるを得ない」
「と言うわけで、スライムのリーダーとしての評価は見事に0点です、大変おめでとうございます」
「0点の何がめでたいのよ! 私頑張ってるもん! スライムをペットにする文化を広める為に!」
【 (*´ω`*) 】
「ピザ、美味しいッスか、おチビちゃん?」
客が消え、いつも通りの店内となった夜、カウンターには3人の人間と、2人?のスライムの人影がある。
《シノとローグの2人》にからかわれる《スライムのリーダー》の姿。
やっと誤解がとけ、もう何度も何度もピザを美味しそうに頬張っている《ちびっ子スライム》の姿。
そして、そんな姿に微笑みつつ、餃子の皮を使って一口ピザをどんどん作る、《パシられのカリスマ》の姿があった。
「冷静に考えたら、オイラはいつになったらパシリ属性から卒業出来るんスかね……?」
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