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(しかし、いつの間にあんなに人気になったんだ……?)
リーンの様子を見ながら、ローグはそんな疑問が浮かぶ。
普通、得体のしれない生物を売る者に近寄る者はいないだろう。
近寄ったとしても少数であるだろうし、ましてや物を上げるほどの好意を持つようになる者は更に限られてくる。
そして、そうなった期間は一か月程、あまりにも早すぎるのではないだろうか?
だが現実の話、目の前ではリーンに年配の方々を中心に人がどんどん寄って来ては、何か物を渡していき、今彼女の足元には人々からのプレゼントが、リーンの足を隠すほど置かれている。
そんな様子にローグは。
「一体、どんな魔法をつかったんだ……」
ふと、そんな言葉を口からこぼす。
すると。
「説明しよう!」
「うわ! サンタモニカのおっさん!」
「俺がね『可愛い子がスライム売ろうと必死だぜ』って電話や道端で言いふらしたら、もう噂広まりまくって、そして人気者になっちゃってさ! もうね、ココのちょっとしたアイドルなんだ!」
その声と共に、突然マンホールが真っすぐ上へ進んだと思えば、モグラが顔を出すようにヒョコっと飛び出してきたサンタモニカは、そんなローグの疑問の答えを口にした。
だが二人はそれ以上に。
「器用だな、マンホールを頭にのせて飛び出すなんて……」
「おや? マンホールから飛び出すなんてノゾキですか、アナタ?」
何でマンホールから出てきた訳が気になる様子。
そんな疑問を持つ二人にサンタモニカは、口をニンマリさせて、その疑問の答えを楽し気に話す。
「酷い事言うなぁ、シノちゃんは。 僕は年上だよ? それにもし覗くのだったら、君がスカートを履いているときじゃないと……。 そしたら、いつでも誰かさんに見せれる様、気合い入れて履いている黒のTバックが……ごめんなさい、だからマンホールに体重を書けないで、首が、首が超痛いから!」
「何の、何の事ですかね~、何の! 何の!」
「頑張れ俺、Tバック見るまで頑張れ俺……、でも、今の心地よさも捨てがたい……」
「くたばれ! くたばれ! くたばれ~!」
だが、サンタモニカはシノの地雷を踏んだ。
いつも細い目が大きく見開き、足でドスドスとマンホールを何度も踏みつけ、サンタモニカを攻撃する。
それに対しサンタモニカは、見えるはずもないTバックを夢見つつ、今の攻撃を楽しむのであった。
そして、それを見ているロ-グは。
(Tバックなんて言葉、久々聞いたな……)
真面目な顔で腕を組み、その様子を静かに眺めるのであった。
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