「だ、誰ですか!? あなたは?」


 突如現れたサンタモニカに、驚きつつもリーンは尋ねる。

 そんなサンタモニカは、ニコッとした笑みをリーンにぶつけると。


 「僕はね、サンタモニカって名前の人間でね。 もう名前通り、そして見たまんま、イタリア人なんだよ!」


 胸を平手で叩き、リーンに指を指す、この動作を2度繰り返しながらそう口にする。

 だが、どうみても日本人である。


 「そうなんですか!? でも、イタリア人ってどういう事です?」

 「それはね、超ナイスガイってことなんだよ。 その中でも僕はね、超イタリア人って言われるぐらい、モテモテなんだ!」

 「おぉ~~~」


 何度も言うが、あくまであだ名がサンタモニカというだけの純日本人である。

 そしてリーンは「おぉ~~~」っと驚きをあらわにしている。

 だが……。


 (あれ? 冷静に考えてみれば、ナイスガイって何だろう……)


 そんな事を目を丸くして考え込む。

 そしてその様子を。


 「適当エロ親父のおっさんが何言ってんだか……」

 「リーンさん、なんか目を丸くしてるんスけど……」

 「変態の言葉ですから理解できないのは当然ですよ~」


 常連、後輩の二人は呆れた目をして、それぞれのサンタモニカに対するコメントをひそひそと言い、店主は笑みを浮かべて堂々と悪口を聞こえるように店に響かせる。

 さて、そんな声で3人との壁を何となく感じたサンタモニカは。


 「ヘイ! ヘイユー! 君たち良いのか!? この会話のウェーブに乗らなくても? この波に乗らないと、いい男にはなれないぞ~! イエス!」


 大声、ハイテンションで手のひらを天井に向け、両手で手招きする。

 が、その姿はプロレスラーがリング上で挑発している姿と瓜二つである。

 さて、そんな自称イタリア人の挑発に三人はどうするかヒソヒソと相談し始める。


 「どうする?」

 「どうする?ってオイラ、あっちに行きたくないっスよ……」

 「私としては、被害を最小限に抑えるため、後輩Aを生贄にする準備は出来てますよ~」

 「こ、後輩Aってオイラの事っスか!? オイラに行けって言ってるんスか!?」

 「俺が毒舌店主の後輩に見えるか? 俺は嫌だぞ、毒舌店主の後輩になるなんて物好きがする事だからな」

 「私もニートの後輩はちょっとお断りしたいですね~」

 「ろ、ローグさんが後輩に見えるわけ無いっスよ! と言うかオイラ物好きじゃないっスよ! ローグさんか先輩が行ってくださいよ、可愛い年下の為に!」

 「お前……、自分が可愛い年下と思っていたのか? 自意識過剰にも程があるぞ……」

 「ええ、呆れてしまいますよね、自意識過剰すぎて……。 かわいい後輩なら生贄になってくれるハズですから……」

 「その目つき、ホント止めてください! と言うかオイラは絶対嫌ですよ、あっち行くの!」


 そう言って指を指すアズサを含む3人は皆、誰かを生贄にしてでも拒否する体制である。

 だが、その頃には。


 「分かった! 僕の知り合いのね、不動産持ってる奴にね、頼んであげるから! だから住む場所は僕に任せれば、バッチリだから!」

 「ほ、ホントですか!? やった~!」

 「「「!?」」」


 話が進んで、スライムが住みつく体制が出来ていたりする訳で……。

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