頼りになるニート
生活の中で不意打ちのように出会う感動や悲哀……それが蓄積して結晶化したのが作品だ。
それが作風を作り、同じカテゴリ内の作家間での差になる。気持ちに時効があるなら、きっと作家は生まれないだろう。
感情があるから作家はストーリーを編めるのだ!
その考えから今までになかったことを試してみようと気まぐれを起こした。 先日別のとこで「婚活パーティーにおいてのフラレ文句収集」を述べたが、それも一環である。 しかし、こんなもんは金を払えば買えるイージーなネタ作りだ。 新しい視点もなければ誰も刺激しない茶番である。 悲しいかなこの歳になると良い意味でも悪い意味でも心が四十肩になる。凝り固まった心を解すには、強い喜怒哀楽が必要なのだ。 そのためには苦労が必要になるだろう。
じゃあ婚活パーティーには行かないのかって? 行くよ。女社長に気に入られるのがワンチャンあるかもじゃない。ない? じゃあ話のネタにはなるじゃない。ない? 分かってんだろ?暇なんだよ。言わせんなよ。
今回は、ネタ婚活の後は何にチャレンジをしようか?って話だ。 俺がやっていないことと言えば……パリピ。 半生を振り返っても「ZIMA持ってウェーイ!」「俺たちズッ友マジ卍!」的なことは通ってないし、私から一番遠くて嫌いなことだ。 だが、良いんじゃないの? いい感じの苦労が求められるんじゃないの? ということでパリピ中年になろうって話でスタート。
・そもそもパリピとは?
着飾って、夜な夜な六本木などのクラブ、あるいはROUND1などに屯してZIMAやモヒート片手で騒いでいる連中を指す。 大きい声でものまねやコントまがいの奇行を繰り返して、仲間から「面白い」「よくやった!」「それでやろうってハート強すぎぃ!」などと称賛を受けて盛り上がっている陽の気を撒き散らす集団である。 また、強すぎる性欲から日本人だけじゃなく、外国人にまで夜の組手を挑む侍である(すべて偏見)
そう、彼らは言動の内容で面白がっているわけではないのだ。 結果を気にしないでとりあえずやってみる姿勢を讃えあうことが彼らのルールじゃないのか? それならば、私にも可能性があるのでは? ZIMAやモヒートを持っていればパリピではない。 クラブに行く服とスベる気構えと変なグラサンがパリピには必要なのだ。 それに、そんな仲間を受け入れて寄り添う優しさと、パリピ外の奴らに「ウェーイ!」と絡みに行く度胸も忘れてはならない。
どうしよう。 冷静に考えれば考える程にパリピが嫌いだ。 私はオチがないことやつまらないものが嫌いな東北生まれ東京育ち36歳。 しかし、陰キャのくせに思い立ったらやらないといられない悲しい性分なのだ。 じゃあやってみるしかない。
・必要なことを考えてみる
まずは変なことや内容がない言動をやる度胸だ……残念ながらあるな。 次に、パッと見で清潔感があり、服装や髪型に気を使っていること……残念ながらないな。 これはまず痩せてから髪を整えて、服を買えば問題なかろう。 見た目を変えるのは一番楽だ。 金で済むし。 面白いことをやるのに金は理由にはならない。 アイフルに走れば良い。 クラブに一緒に行くパリピ仲間はどうだ?……残念ながら1人もいないな。1人で行けばいいか。 最後に、ZIMAやモヒートを飲めること……由々しき事態じゃないか。 ヤバイ、これ一番ヤバイ!
・私は酒が弱い。
酒を飲むと洋式便所を恋人として、胃の中身をぶちまける作業をオールナイトで勤しむことになる。 その際に出る言葉なんて世界に対して、私に酒を飲ませた人間に対しての耳を塞ぎたくなような言葉ばかりだ。 それが終わったら、もはや廃人のように動かなくなる。 酒の入り方によっては、政治感や人生について熱く語りだす。 そういったパリピと対極にいるめんどくさい人間なのだ。 シラフの方が酔っ払っていると良く言われるのは内緒な!
・酒って強くなれんの?
先述したとおり、パリピになるにはZIMAやモヒートは避けられない。 ドラクエで言うなら序盤に手に入れる「銅の剣」くらいもんだろう。 誰しもが使うし、買うし的なもんだ。 正規のルートじゃないと信用されん。 なんてことだ。 成人して以来、手を沿えて歩くだけの「呑めない壁」を打破するときが、「創作のためにパリピになる」という形で来るとは思わなかった。なんてこった。 しかし、こうしたキッカケが湧いたのは吉兆だと無理やり納得させ、友人である元バーテン現ヒキオタニートにLINEを飛ばした。
「おつかれーしょん。酒ってどうやったら飲めるようになるのかな?」
「一番はやいのは毎日飲むことだよ〜コップ一杯じゃなく、ショットグラス一杯飲む!お薬みたいにすぐ呑みくだすのではなく、口の中であじわって、鼻から香りを抜いてって具合で〜この飲み方なら、味や価格差関係なく飲めるようになる!」
なんて頼りになるニートなんだろうか。 頼りになるニートというパワーワードと彼女の愛情に涙するばかりだ。 そうか、ショットグラス一杯呑めばいいのか。 これならできるな。 ついでだから、酒が強い作家仲間にも聞いてみよう。
「おつかれ様です。 やんごとなく事情により、ある程度酒を飲めるようになりたくてですね……どうやったら酒って飲めるようになるんでしょう?」
「呑めばいいんです」
禅問答やってんじゃねぇんだよ。 強くなる方法or速攻で飲めるようになる方法聞いてんだよ。 呑むと政治の話をするって前にも言ったじゃねぇか。 聞く人間違えた!
・ニートを信じることにした。
とにかくだ、毎日少しずつでも呑むことが大事だと分かった。 今日から大五郎買ってショットグラスで飲もう。 そして、ZIMAが飲めるようになったらクラブに行って調査してみよう。 しかし、ひとつだけ。そう、ひとつだけ寂しかったことがある。
誰・も・理・由・を・聞・い・て・く・れ・な・かっ・た!
終わり!!
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