打文、多分、駄文
地の文が苦手なのである。
コイツ急に何を言いだすんだ?と思われると思うが、少し愚痴らせて頂きたい。現在、3月末のすばる新人賞に「水母」を出品すべく鋭意執筆中なのである。 最初はここで完結させようと思っていたが、R30くらいの内容だけじゃなく、文字数が20万字を超える長編になってしまった。
昨年末くらいから「出版社に出してみようかな……」と色気づき、現在は1項目の完結が見えている状況だ。 昨日、「どれどれ~この大作をもう一回読んでみよっかな! やだな~水母読むと、本当に心が重くなるんだよなぁ。 ある意味作者冥利に尽きるけど!」と思いながら素読みをしてみた。
我ながら死ぬほどつまらなかった。
シンプルに言えばとってつけたような感じ。全部に血肉が通らず、目の裏に場面が浮かばない。 なぜだ!?と探ってみると、原因は地の文にあったと気がついた。 私の文で心がけていることは省略。省略しても意味が分かり、状況が浮かぶポイントだけを抜き出すように心がけている。 それがピント外れなのだ。
コイツはいかん!と思い、地の文を向上させる答えを今日一日探していた。 そんなもんはどこにもなかったが、ヒントが一つだけ見つかった。 それは編集者・竹村俊助氏のNOTEである。
https://note.mu/take/n/n7ee04603e2de?magazine_key=m27d68d974666
そうか。私の文章に足りないのは、サビにいくまでのイントロなのだろう。いきなりサビだけを聞かされても盛り上がらないよな。んじゃ、イントロの部分ってどうすりゃいいの? 一つ分かったら、また一つ知りたくなる。人間の罪深いサガだ。 そして私の場合は、一つ知ったら応用したくなるという悪い癖が加味される。 歌と同じで韻律が大事になるのではないだろうか?
というわけで、地の文を鍛えるべく詩を書いてみた。 短い文でシーンを想起させる詩というジャンルは、地の文をダラダラ書きたくない私が最優先で学ばなくてはならないジャンルだろう。 おそらく、この仮説は限りなく正解に近いはずだ。 習作として仕上げた一遍をアップしてみます。 暇つぶし程度の感動を覚えていただければ幸いです。
タイトル「殺す」
―――君はどうやって殺すのだろうか?
その白い細腕を僕の首に巻き付けて、絶壁から吊るしてくれるのだろうか?
足元から凍るような浜辺で凍らして砕いて、砂のひと粒にでもしてくれるのだろうか?
あるいは静かな森の奥で……そっと血管を傷つけて倒木みたいに朽ちらせてくれるのだろうか?
それともスチールウールに火を灯すように、あっけない終幕を望むのだろうか。
僕が君を殺すとしたら、きっとこうやって殺すだろう。
冬のプールに金魚を放つほどの優しさを持って。
枯れ枝を弾く火花のように嫋やかな方法で。
誰かを守るために鍛えた両腕で。
君を受け止められずに錯乱して、そして絶え間なく君の名を叫び続けて。
君を殺すだろう。
そんな君の名は、そんな君が呼ばれる名は、そう……
―――ゴキブリ―――
……水母って面白くなるのかしら。
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