第5話未明のとある寝室(★)

「あー、アンちゃん、ズルい」


「イーちゃん、うるさい。静かにしないなら、半分貸さないよ」


今日の戦利品。明日の納品までは私物化しても大丈夫、当然の権利。


それを親友のイーちゃんと分けるのも自然な流れ。


「さすがアンちゃん。独り占めしないで、私なんかにもお裾分けしてくれるなんて」


「あー、でも。舐めたり、齧ったりしたらダメだからね」


先に一番大事なことなので釘を刺しておく。


「ええーっ、それは生殺しだよ」


むくれて非難の声を上げるが、ここは譲れない。やるというなら戦争だ。


「ばれな」


「ばれなきゃ、大丈夫とか。耄碌したこと言うなら、わたし一人で楽しむ」


今だって、かなりの綱渡り状態。運よく。様々な要因が重なり千載一遇のチャンスが転がり込んできただけ。最大限に生かすにはここがギリギリのライン、許される報酬。


「ううぅ、わかったよぅ。我慢する」


「わかったのなら、ほんぶんこね」


これで安心。私がイーちゃんを見張り、イーちゃんが私を見張る。完璧な布陣。いろいろ言ってたけど、正直自信がなかった。『私』がちゃんと我慢出来るかが。


「えっへっへぇ、ぎゅぅーーーー」


そうするよね。私もした。だから、止めまい。ちょっとだけは。


「えっへっへぇ、すりすりすり~~」


「はい、制限時間いっぱいです」


「むえぇ~」


一旦、イーちゃんを引き剥がす。夜は長い、二人一緒に楽しませてもらわなくては。




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