第5話未明のとある寝室(★)
「あー、アンちゃん、ズルい」
「イーちゃん、うるさい。静かにしないなら、半分貸さないよ」
今日の戦利品。明日の納品までは私物化しても大丈夫、当然の権利。
それを親友のイーちゃんと分けるのも自然な流れ。
「さすがアンちゃん。独り占めしないで、私なんかにもお裾分けしてくれるなんて」
「あー、でも。舐めたり、齧ったりしたらダメだからね」
先に一番大事なことなので釘を刺しておく。
「ええーっ、それは生殺しだよ」
むくれて非難の声を上げるが、ここは譲れない。やるというなら戦争だ。
「ばれな」
「ばれなきゃ、大丈夫とか。耄碌したこと言うなら、わたし一人で楽しむ」
今だって、かなりの綱渡り状態。運よく。様々な要因が重なり千載一遇のチャンスが転がり込んできただけ。最大限に生かすにはここがギリギリのライン、許される報酬。
「ううぅ、わかったよぅ。我慢する」
「わかったのなら、ほんぶんこね」
これで安心。私がイーちゃんを見張り、イーちゃんが私を見張る。完璧な布陣。いろいろ言ってたけど、正直自信がなかった。『私』がちゃんと我慢出来るかが。
「えっへっへぇ、ぎゅぅーーーー」
そうするよね。私もした。だから、止めまい。ちょっとだけは。
「えっへっへぇ、すりすりすり~~」
「はい、制限時間いっぱいです」
「むえぇ~」
一旦、イーちゃんを引き剥がす。夜は長い、二人一緒に楽しませてもらわなくては。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます