嬉しい知らせ

 夕刻、薄暗くなった部屋でインシグは目を覚ました、身体を動かそうとするとも重りでものせられたように軋む身体は融通がきかない。

左手も覚えが無いのに包帯が巻かれている、不思議に思いながらも目だけで周囲を伺う、ベッド脇の椅子で船をこぐジェイド……

さらに反対の奥のソファではフィノとリーディアが何か話している、前のテーブルに置かれたカップからは湯気があがっている、給仕をしているイナトも確認できた


「どれくらい………たった?」


自分の声かと疑うほどに掠れていたのに驚く

それでも、気付いたリーディアやイナト、フィノが駆け寄ってくる


「ああ!インシグ気が付いたのね…よかった!」


そう言って陽光色の髪をなでてくるリーディアは泣きそうな顔で笑う、相変わらず器用な方だとインシグは感心する


「陛下、私の心臓のほうが止まりそうでしたよ、まったく」

「わたしが目を離すといつも何かおこるようですね」


フィノとイナトが笑いあう


「母上、俺の言う、通りにしてくださいましたか?」

「ええ、しましたとも、貴方がまだ刺客がいるかもしれないから双子と部屋にこもってろというから、きちんと部屋にこもっていましたよ。まったく……」


呆れながらもリーディアはインシグの右手を握る


「大変なパーティだったね、でももう視ていても魔力も正常に流れているし安心していいと思うよ、よかったね」


ジェイドは椅子に腰かけたままに嬉しそうに話す、どの顔も顔色が悪い、インシグが思っていたよりも事は重大だったようだ


「ミエルは───どうした?」


その問いに一気に雰囲気が変わる、誰も口を開かない、インシグは嫌な予感そのままにさらに問う


「ミエルはどうした?」

「インシグ怒らずに聞いてちょうだい、貴方に血をわけてからあの子は自室にこもって出てこないの」

「血を───わける?何の話だ…………」

「陛下、ミルズ国にある解毒剤はどれも効果がありませんでした。───それでミエル嬢が解毒の効果が得られるかもしれない神の花を見つけだし研究所にもってきてくださいましたが、それも効果が得られませんでした」


「────何?」

(昨日はずっと雨が降っていた、その中花探しだと?)

「そこで、何度も毒を飲まれているミエル様には血清が出来上がっていると結論ずけたのです、ミエル様はインシグ様に血をわけました、その左手の傷はその時のものです……」


まっすぐインシグを見つめるイナトは怒りを受け止めるつもりでいるらしい、ベッドから起き上がるために、上手く動かないからだで不格好ながらも起き上がらせる、誰もインシグを制止出来る者はないかった


「あれもあの会場で刺され、毒を流されている。それは気付いていたか?」


全員の目を見る、沈黙は肯定だ


「それを見過ごし、雨の中花を探させ、研究所までもってこさせ、さらには血まで流させたのか」


静かに怒れるインシグに誰もが沈黙する


「お前達はミエルを見下し、神話に準えて姫神だと揶揄するが……お前達は自国の王のみを妄信し大切な物を見落としている」

「インシグ………みんな精一杯でしたよ、フィノもイナトもジェイドも城の者全てがそうでした、責めてはいけませんわ……」

「インシグ、おれミエルの胸ぐらを掴んで放り投げたよ。神の花はミルズ国に無いって言うのも助言してあげた」

「………ジェイド何を言っているのかわかっているんだろうな……」

「けどね、後悔なんてしてない、インシグはこの国の王なんでしょ?それを大事にして何が悪いわけ?───」

「俺の代わりならいくらでもいる」

「いない!いないからみんな必死になったんじゃないの?わからないの?本当に?だったら………命がけで走り回ったミエルもお気の毒にね──」


ジェイドの言葉にインシグは眉間に手を当てる


「言いたい事は分った、皆良くしてくれた………下がってくれ」


ジェイドはさっさと部屋を後にしていく、リーディアは名残惜しそうにインシグの頬にキスを落とすと部屋を下がる


「………申し訳ありませんでした陛下……廊下に控えておりますので何かあればお呼び下さい」


礼を取りフィノとイナトが退出すると仄暗い部屋でインシグは続き扉を見やる、この扉の先でミエルは一人戦っているのだ。

そろそろとおぼつかない足取りで扉を叩く───


「ミエル───」


返事はない、すでに夕刻ということもあって寝ているのかもしれないが、手当も受けずに一人長椅子に横たわるミエルを想像するといてもたってもいられない、そっと取っ手を押すが開かない


「あいつ、細工したな……」


自室の扉を開け、廊下に控えるフィノとイナトを呼ぶ


「陛下っベッドにお戻りください、まだ立ち上がるなど……」

「そうですよ……こうなってはフィノ、インシグ様を気絶させてしまったほうが」


イナトの不吉な発言は流し、インシグは


「ミエルが部屋に小細工している……どのみち治療も何も受けていないんだろう?」


隣接の廊下で控えていたメイアとリリアーナも話し声に気付いたようで何事かと近寄ってくる、まだふらつく身体を扉によしかけさせながらもフィノの言葉を待つ


「ミエル嬢にも診て頂くように進言させていただきましたが、何のお返事もなく───それに……ミエル嬢は紙上とはいえ、すでに陛下のご婚約者ですし強引には事が運べず」

「メイアさんやリリアーナさんのお願いですら聞かないのですから、我々ではどうにも───」


そういうイナトとメイアが困った顔をあわせる。


「ミエル様は、まともな食事をしていらっしゃらないのです──もう三日になるのに……」


手を組んで涙ぐむリリアーナに


「三日?……それはなぜだ?」

(婚約パーディでは確かに食べてる暇もなかっただろう、毒を盛られて……それから今は夕刻、ということは二日目では…)


目が点になる男性陣に


「ミエル様のお腰をほっそりと見せるために前日からお食事はスープのみにさせていただいておりました!それがまさかこんな事になるなんて………もっと食べさせてあげれば……」


リリアーナの悲痛な叫びに


「あ……あぁ……なるほどな…」

「────哀れな──」

「………くっ……」


腹を押さえて俯くインシグは何とか返事をし、フィノはモノクルをきらりと正す、イナトは口を押さえて顔をそらしている。


「た、確かにその心配もあるが──それ以上に毒や傷の事も心配だ、部屋にも入れないとなれば中でミエルがどんな状況に陥っていても大変だ」


全員が頷く


「で、だ。アレを使う。本来なら俺が行きたい所だが、みた通り役立たずな身だからな……」

「アレって……まさか隠し通路の事ですか?この国が建設されてから一度も使われてないアレですか?」


イナトがフィノとインシグの顔を交互に見る


「陛下、ですがアレは迷路のようで、すぐにはミエル嬢のお部屋まではいけないのではないでしょうか?」

「確かに建国されてから一度も使われてないが存在だけはしている。これを今利用しないでいつ使うんだ?」


片方の口角を引き上げてにやりと笑うインシグの態度に悪寒が走る


「陛下お話よく理解しました───それで行く者は───」


「フィノ」


びくりと身体を硬直させるフィノの横でイナトがほっと胸をなでおろす


「と言いたい所だが、イナトに行ってもらう」

「ええっ!?」

「イナト、お前軍の総指揮も務める総裁だろう。有事の際に隠し通路も使えるようにしといたほうがいいんじゃないか?それに城の青図も熟知してるのはお前だ」

「これ以上の適任者はいませんね」


廊下を照らす月光石を見上げたフィノのモノクルは光を反射して目元はわからないが口が笑っている

それを見ながらイナトは両腕をかかえてさすっている


「怖い!寒い!貴方達の心が!───もし、もしですよ?ミエル様のお部屋まで辿りついて、待ち構えていたミエル様に切られるなんてことにでもなったらどうするんです?」

「なおさら、この中で対等にミエルと渡り合えるお前にしか出来んな」

「適任者ですね」


後ずさりを始めるイナトの肩をがっちりと掴んだフィノが小声で


「イナト、君はすでに勇者です石碑にも彫り残しますよ」

「まだ死んでないですからね───」


白目をむくイナトが天を仰ぐ


「私がご一緒いたします!」


メイアが挙手する、それには周りも驚く


「もしミエル様が仁王立ちで剣を構えて鬼の様な形相で待ち構えていたとしても、私を見れば怒りを鎮めて下るかもしれません!」

「………そ、そうか…ではメイアも動向してもらおう……」


壮絶なミエルを想像してしまった面々は固まる


「メイアさんが、いや……でも……」

「二人とも頼んだぞ」


インシグの有無を言わせぬ威圧感にけおされて二人は送りだされた。

扉によりかかっていたインシグは息を吐く毒を中和されたといえ身体が痛みに悲鳴を上げている、廊下の窓からは月光が差し込み、明と暗を美しく作り出している、ここをミエルと二人共なって歩いた、傾き始めた太陽の茜色とドレスの色がおり混ざり輝いていた

自ずから薬指にはめた指輪が反射する光 

よせた頬の暖かさ初めて向けられた笑み、ぎこちないファーストダンス、自分を心配するミエルも全て鮮明に覚えている。


(彼女は知るはずもない………振り向いた先に彼女が俺を見ていた事、自分の名を呼ばれた事、あの瞬間、毒でそのまま死んでしまってもいいとさえ思った)


「陛下、イナトが戻るまでお休みになられたほうがよろしいかと」

「私、暖かいお飲物をご用意致します、是非そうしてくださいませ」


フィノとリリアーナが心配そうに様子をうかがっている


「──そうだな……」



 優しい風が吹いている草原、空は高くて抜けるような青空には雲ひとつない、何の音もしない。蝶々が舞っている 夢だとミエルは思う


『母様───』


しゃがみこみ背を向けているその後ろ姿は亡き母のものだ話しかけても振り向かない、それはそうだこれは夢なのだから、ゆっくりと歩き母の側までくると、その地面は水が流れている


『星の祝福が咲いている』


蒼く美しい花、咲けば毒を放つ


『そっか……夢だから咲いていても害はないんだ……』


となりにしゃがむ母を見る、静かに目を閉じている母、蒼銀の髪は豊かに伸びて風になびいている


『母様、星の祝福は……薬にはならなかった……』


閉じていた目をそっと開けた母は後ろを振り向く、花が綻ぶように笑った先には幼い自分がいた両手を広げて抱き寄せると幼い自分はうれしそうにしている


『都合のいい夢を見ているのね──わたしは』

「星の祝福はね、旅する民だけの祝福、星を守るための力をあたえてくれるのよ、貴方は祝福されているのよ旅する民の特別な子、星の愛し子」

『母様』


美しい青碧の目が優しくミエルを見つめていた。


「ミエル」


優しい母の声 蝶々がざわりと舞い踊る


「ミエル」


次第に風の音がしてきて聞き取りにくくなってくる


「ミエル」


手を耳にあてて邪魔な風の音を遮断しようとする


「ミエル」


(お願い邪魔しないで………まだ夢見ていたいの……)


「───おやすみ、ミエル」


優しい太陽の日差しが風の音をやませてくれる、草原でいつのまにか一人になったミエルはその光の暖かさに目を閉じる。

また無音の世界に包まれて深い眠りに陥った。






 イナトとリリアーナが隠し通路を辿ってミエルの部屋に入った時にはすでに三時間もたっていた。

リリアーナが部屋の様子に驚く、寝室には脱ぎ捨てられたドレスにコルセット、それらは泥と血で無残な姿と化していた、昨晩はインシグの事で皆ミエルの状態を気に留めなかった──

メイアは側付きのメイドとして恥じた。定位置になっている長椅子を覗くとミエルが横たわっている、イナトに向き直ると察したようにうなずき、扉の椅子を静かにどかし、扉を開ける。それにすぐさま気付いたリリアーナが中の様子を伺う


「ミエル様はご無事ですか?」

「大丈夫なご様子です、いまメイアさんがみていてくれていますので、インシグ様にご報告してきます、リリアーナさんはご医師を頼みます」

「は、はいっ」


イナトはインシグの部屋をノックする、すぐにフィノが顔を出す


「フィノ、インシグ様は?」

「イナトお帰りなさい。インシグ様は、ええ、起きていますよ───ミエル嬢の所へお連れしてください」


中へ促しながらもフィノはインシグ専用のデスクへ向かう


「フィノ?」

「罰を与えられたのはイナトだけではないという事ですよ………」


デスクに山積みにされた書類を前にフィノはモノクルをあげる、ここ数日で溜まりにたまった書類や案件、事務等の処理を命じられたのだ。インシグの意見も交えながら処理しなければならない件も多いため、こうしてインシグの私室でこなしている


「フフ───ジェイドには何が宛がわれるんでしょうね楽しみで楽しみで仕事がはかどりますよ」


光を反射するモノクルほど恐ろしい物がない


「イナト戻ったか」


ベッドで上半身を起こし優雅にカップを口にするインシグは少しやつれてはいたが、数時間前より明らかに体調がよさそうだ


「ミエルは何の小細工をしてい……まぁいい、行くぞ」


イナトはカップを受け取りサイドテーブルに戻し、立ち上がるインシグに肩を貸す


「リリアーナさんにご医師を呼ぶように伝えてあります、ミエル様は寝ておられる様子です」

「物音で起きなかったのか?」


イナトは首を振ってこたえる


「弱っておられるのでしょう……」


眉根をよせながらも隣室を目指して歩き出す。


 よく眠っているミエルを起こさぬように、部屋を掃除し始める、ドレスやコルセットを回収してバスケットに入れる、点々と絨毯が汚れているので浴室に常備してある洗剤で入念に拭いてゆく、血の跡だけは薄くなったものの完全に落としきるのは難しそうだ、ベッドのシーツも使われてはいないものの新しい物と取り換えておく、冷えてきた室内を暖めるために暖炉に火をくべると誰かが入室してくる


「皇帝陛下……」


その場で慌てて礼をとる、先ほどまで皇帝陛下に無礼にも話しかけたり礼をとらなかったりと自分のあるまじき行為に今更ながら気付いてかしこまる


「メイア、楽に。ご苦労だったな」


顔をあげると美貌を誇るインシグが微笑んでいた


(心臓に悪い!)


この顔をむけられて平然としているミエルの心臓に感心する、完結にメイアを労わるとインシグは広い部屋のテラス向きにされている長椅子に向かう


「ミエル」


テラスから差し込む月光でミエルの顔は蒼白を通り越して真っ白だ。

夜衣から出ている腕や脚には無数の切り傷や打撲跡が赤黒く残っている、左手には単純に布が巻いてあるだけで血がにじんでいる。長椅子を回り込みミエルの側に膝を突く


「ミエル」  


ぴくりともしないミエルの口に手を当てる浅い呼吸が手のひらに触れる


(生きている………)


ほっとするも、つかの間


「ご医師をお連れ致しましたっ」


リリアーナが入室してくる後ろから息を切らせて医師が追いつく


「はぁはぁ……こ、こりゃわしのほうが命がもたんわ……」

「クインズ」

「おぉ。インシグ陛下、お目覚めですかの、いやはや幼い頃から鬼の様な頑丈さじゃ」

「お前こそまだ生きてたのか」


皮肉を言いあうこの二人は、インシグが幼い頃からの主治医でその昔は名の知れた剣士だったとか真相は闇の中であるが……


「それより早く診てやってくれ」

「人使いの荒い人間は嫌いじゃ───しかし姫君は別じゃて…ほれどかんかい!」


よっこいせと長椅子の前に腰を据えてクインズはミエルの身体を診ていく、しばらくすると皮張りのケースから液体の入った小瓶に針と糸をとりだす、注射器で液体を必要箇所に刺すと素早く縫いとめていく


「ほれ、インシグ陛下、姫君をうつぶせにしなされ」

「長椅子じゃ無理だな──寝室まで運ぶか」

「インシグ様私でよければお運びいたしますが」


様子を伺っていたイナトが進み出る


「こんな細君運べんとどうする、しっかりしなされインシグ陛下っ」


じとりとクインズが睨みつける、昔からこうなのだ少し回復するとすぐに動かせる鬼医者なのだ


「当然だ

ミエル──移動するぞ」


ぐったりと意識のないミエルに話しかけると横抱きに抱きあげて寝室にむかう、寝室のドアをメイアが開ける一度も使われた事ないはずのベッドには真新しいシーツが敷かれ清潔さを保っている、有能なメイドのおかげだ。


「イナトはここでまっとれ、お嬢さんは中へ」


クインズはそういうとパタリとドアを閉める


「お嬢さん、姫君の夜衣を脱がせてくれんかの。背中の傷を確認したいんじゃが」


ベッド横のサイドテーブルに器具を並べて話すクインズに


「はい、すぐに───」


てきぱきとメイアが夜衣のリボンをほどいてゆく、インシグは部屋の壁に背中を預けている天幕の中からクインズとメイアのやり取りが聞こえる


「………こりゃひどい………インシグ陛下みなされ。安心せい背中が見えるだけじゃて」


目をぐるりとまわしてため息をつく


「体中が見えたとしても俺はどうとも思わん」


そっと天幕を開けて中を伺う、うつぶせにされ夜衣を腰まで下ろし横たわるミエルの背中にはインシグの片手分ほどに切られた傷にそこ

から無数に赤紫の蔦の模様が広がっている


「これは?」

「毒じゃな。切った刃物に毒を塗ってあったんじゃろ、かわいそうにこれは跡が残るかもしれんな」


渋い顔をしながらも手早く縫っていくと、そこに傷口を覆い隠す様に軟膏をぬる


「お嬢さん……じゃ無理か、インシグ陛下、姫君を起こしてくだされ、包帯を巻いておかねばの」

「わかった」


インシグはミエルを抱き起しクインズが包帯を巻き終わるのをまった。巻き終わるとメイアが夜衣の前をきっちりと素早くリボンで止めていく。


「今回の毒には薬は効かん。確か姫君は抗体をもっていたの‥‥‥時間がかかるだろうからきちんと休ませてあげなされ、熱冷ましと軟膏は置いていくから、起きたら飲ませてあげなさい」

「はい、クインズ様ありがとうございます」

「助かった、クインズ」


器具を革製のケースに仕舞い込み、やれやれといった体で椅子から立ち上がるとメイアがお送りいたしますと革製のケースを持ち部屋を出ていく。


「インシグ様、お部屋にお戻りになられますか?」


外から静かに問いかけてくるイナトに


「……いや、いい。」

「了解いたしました、何かあればお声かけを……」


穏やかな笑顔を見せたイナトはドアを閉める、その目には天蓋の隙間から見える優しい顔をするインシグが見えていた

静かになった寝室で、ミエルを抱きかかえながらミエルの髪を梳く、指先から流れるそれを眺める


「ミエル」


呟くように名を呼ぶ、するとわずかにミエルの瞼が動く


「ミエル?」

「───で……まだ夢みていたいの………」


かき消えそうな声で答えたミエルの身体を一層に強く抱きしめる


「おやすみ───ミエル」


(ゆっくり眠ればいい、次に目を覚ました時に元気であればそれでいい)


お互いの浅い息と呼吸が次第に同調していくと心地よい眠気に襲われ静かに身を任せる



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