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「にしてもあの場所、ホント位置情報がややこしい」
丸い鋼鉄の筒の中のような、薄暗い通路。
光源の乏しい空のない世界で、少年は呟いた。
『だから言ったでしょ? 日本、だっけ? もうそんなとこ出なくてもいいじゃない。あそこは火薬使った武器とかもあんまりないところなんでしょう?』
答えたのはキーが高めの、しかし明らかに男性の声。声そのものはマイクを使って通路全体に響くような形で少年に届いていた。
『それにそこ、入り口が日の傾きで閉じちゃうんでしょ? 日が高くなって、沈みきるまでの間しか通れないって問題よ。アンタが向こうに取り残されてる間に、こっちで何かあったらどうすんの』
謎の声の指摘に、少年はふて腐れたように顔をしかめる。
が、彼は唐突に小さく手を打ち鳴らすと、着ていたロングコートのポケットから棒付きの小さなキャンディを取り出した。
「でも今回は収穫あったよ。水晶渡してこれ一つだったけど」
『それがなんだっての……アンタも結構物好きよねぇ』
「ま、個人的な探し物」
包みを開けて、少年は棒キャンディを口に含む。
すると少年は今までの渋い顔をちょっとだけ緩めた。
「……探し物とは違うけど……なかなか名のある
日本各地の量販店に並んでいそうなキャンディの簡易包装をくしゃりと手で丸めながら少年は呟いて、
「せめてこれくらいは、ゆっくり食べたいなぁ」
言いながら、少年は飴の包装紙をコートのポケットに無造作に突っこむと、頭の後ろで両手を組んで、空のない空を見上げる。
すると少年はまた何かを思い出したというように、声を出した。
「あ」
『何よ?』
その声に、少年は少しの間をおいて、
「そういえば、機械の指の女の子と会ったよ」
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