第98話

「さて、皆さん、他己紹介は終わりました」


「次は、少し頭を使うゲームです」


「題して、皆んなで俳句〜」


皆んな、メガホンやカスタネット、タンバリンで鳴り物を叩き盛り上がる。


「はじめに、俳句の5、7、5のうちの最初の5、真ん中の7、最後の5を各々バラバラに思いのまま書き入れ、この三つの箱にそれぞれ入れます」


「さあ、始めましょう!」


皆、書き入れた、上の5と7と下の5の句をそれぞれの箱に入れる。


「さあ、出来ましたか?」


「それでは、混ぜ混ぜします」


「ここから、二人作業になります」


「各箱から、一つづつメモを取り出してください」


「そして、隣の人と、引いた5、7、5の句を連ねて見てください」


笑いが漏れる組みがあれば、つまらなそうな顔をしている組みもある。


「さて、ここからが皆様の頭をフルに回転していただくところです」


「この三つのパネルを見てください」


プッと笑いが漏れる。


「○んち。○んぽ。○んこ」


「さて、この○に入る言葉を想像してください。放送禁止用語は除きます」


「皆んなの手元に出来た、5、7、5の句を、この三つのどれかに関連づけて、面白句を読んでください。字数は、5、7、5に全く関係なくてもいいです」


「言葉も、引いたそのものではなくて、面白おかしく自由に変えてもいいです」


「イマジネーションを受けた言葉、として捉えてください」


「さあ。開始!」


「出来た組みから発表してください」


バスの中がガヤガヤし始める。


「はいっ!」


「おっ? 早いですね。ではどうぞ」


「ガイコツから帰って来て じいさんボケ? にんち」


どっと笑いが起き上がる。


「元の文は、外国から、と時差ボケにが入っていました」


「これ、面白いですね。皆さんもこのように詠んでみてください」


「はい!」


「どうぞ」


「食糧難 今食べたもの 猫分じゃった みんち」


これも笑いが起き上がる。猫踏んじゃったを猫分じゃったとは。しかも肉のみんち。


「はい! はい!」


次々手が上がる。


「はい、女の子の組み」


「自己バスト やっと2センチ 更新した 女ん子。これは○んことちょっと違うかな?」


「いいよ、いいよ! 全然いい 自己ベストね」


盛り上がる。タンバリンが鳴り渡る。


「まさか君が 主婦的ミスを 犯すなんて あんこ」


これも皆大笑い。初歩的ミスを主婦的ミスに。塩と砂糖の塩梅を間違えたか。



僕と菅くんも発表。


「コンビニで もみあげ かって来るよ さんぽ」


おみやげをもじった。スキンヘッドの菅くんの言葉の重みもあり大受けした。


「これが最後と おみくじを引く 三度目の小吉 さんこ。3個です」


3度目の正直をもじる。


「休みだからって 床でフンみたいにコロコロしないで うんこ」


次々と出てくる。皆、さすが頭のキレがいい。


「さあ、この辺にしましょうか。色々おもしろ句が出来ましたね」


「次は、私は誰でしょう? ゲームです」


「20分間ほど休みを取りましょう」


人事部の近藤さんやアシスタントが、ジュースとおやつを配る。


もう、バスの中は皆和気藹々。

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