まずは33話まで、読める人は一気に読んで欲しいです。
1話なんとたった200字、しかもその最初の一文はいつも「土地のガイドの話だと」で始まるという、とても簡潔な旅先の見聞を描く物語。
しかしその短い文章で表される世界は、時に雄大で幻想的、時に奇妙なおかしさと不気味さをはらんでいます。
人間は心が動かないと、何を見ても触っても、日々変わっている世界を見てもそこに何かを感じるのは難しいのだと思います。そういう現実世界では気付きもしない事に形を与えて、リアルな感情を呼び起こしてくれる、そんな物語が、この作品には多くあります。
変わらない日々にどこかで飽き、疲れていながら、そこから動くこともできない。もしあなたがそんな風に思っているなら、ちょっとこの物語を読んでみて欲しいです。
その現実は、本当はとても尊いものではないでしょうか?
一緒に旅をするつもりでこの物語を読むうちに、きっとそう思う事があるはずです。