第27話 万年亀

 土地のガイドの話だと、この亀は万年生きているという。


「大きな亀だな」


「万年生きていますから」


 山のように巨大な亀だった。その甲羅は深い森に覆われ、霧まで漂っている。亀の頭がそこになければ、完全に山だと思い込んだだろう。


「なぜ万年とわかるのかね?」


「自己申告です」


 亀は喋った。


「夜明けを三百七十万四千六百二十五回数えた」


 億劫そうに亀は言い、そしてぼやいた。


「いい加減、亀にも飽きた」


 含蓄のある言葉である。

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