第26話 砂漠の魔女

 土地のガイドの話だと、この砂漠には魔女が住むという。


「あれが魔女の砂楼です」


 ガイドの指差す先に砂の楼閣が見える。


「近づけば遠ざかります。辿り着くことはできません」


 蜃気楼かと訊くと、ガイドは首を振る。


「幻ではないのです。魔女の呪いです」


 孤独を望んだ魔女があの砂楼に呪いをかけたのだという。


「不死の魔女が人との別れに倦んだためと伝わります」


 本当は蜃気楼なのだろう。

 しかし私はガイドの話を信じることにした。

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