第25話 ムカデ

 土地のガイドの話だと、ここにムカデに乗って移動する人々がいるという。


「あちらです」


 ガイドの指差す先に大河のように長大なムカデがいた。あまりに長過ぎて頭も尻尾も見えない。幾百万本と生える足がピストン運動のような規則的な動きで蠢いている。

 そんなムカデの背に動く歩道のように立って、流れていく人々がいた。


「どこへ行くのかね?」


「ムカデ次第です」


 ムカデに乗って未知の土地へ。

 私とそれほど変わらないなと思った。

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