第22話 手の木

 土地のガイドの話だと、この森には手の木が生えているという。


「すごい木だな」


 幹から枝の代わりに何十本もの人間の腕を生やしている木だった。腕先には葉っぱよろしく何百もの手のひらを繁らせている。


「この木は求愛をするのです」


 ガイドが指差す先で、二本の木が忙しなく手振りしていた。


「手話です」


 見ていると二本の木の手のひらが急に紅葉した。そして辺りの木が一斉に拍手をする。


「カップル成立のようです」


 私も拍手した。

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