第18話 河童の火事見舞い

 土地のガイドの話だと、ここの河童は火事を見舞うらしい。


「この湿原は乾期になると野火がよく起きるのです」


 野火が湿原を焼いていた。双眼鏡で見ると、この火の中に人影があることに気づく。河童だ。

 彼らは頭を火に向けて寝転んでいる。


「頭の皿が乾くと河童はミイラになります。餌のない乾期を彼らはミイラで過ごすのです。そして雨期に雨を浴び、元の姿に戻るのです」


 野火が去った。

 点々と転がるミイラは、皆、天を仰いでいる。

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