第16話 一本足

 土地のガイドの話だと、この荒野に一本足がいるという。


「あちらです」


 そこそこに白い岩が転がる乾いた土地に、巨大な一本足が生えていた。地響きを立てて動く足は、雲の上まで伸びている。


「あ」


 その時、足がぐらりと揺れた。岩に躓いたのだ。

 足は転んだ。


「立てるのかね?」


 土煙に沈む足を指差しガイドに訊く。


「いいえ。一本足ですから」


 ここの白い岩は全て足の骨だそうだである。

 転んだら最後。足の一生は一度も挫折できない。

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