第11話 火の華
土地のガイドの話だと、この季節には火の華が咲くという。
「高く上がるな」
ひゅるると上がった火の玉が、夜空に光と音の華を咲かす。
「夏の風物詩です」
ガイドが言う。燃え散る種が火雨となって辺りの草原を焼き、周囲の火の華の蕾に次々と引火する。
「これは見事」
華と華の連鎖。
うち上がる火の華が夜空を色鮮やかに埋めていく。
「この種が来年の華となるのです」
火の中に生まれ、火の中に散る。
そんな一生も風情かと私は思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます