第9話 鳥人

 土地のガイドの話だと、この谷に鳥人ハーピーが住むという。


「悲しい歌だな」


 崖の上に美しい虹色の羽を持つ女の鳥人がいた。この鳥人は張りつめた細糸を震わすような切ない声で歌っていた。


「鎮魂歌です。つがいを失ったのでしょう」


 見れば鳥人は骨のようなものを抱えている。


「いつまで歌うのかね?」


「死ぬまでです。これは鳥人のつがいの鎮魂歌なのです」


 それが鳥人の情愛の強さなのか、それとも心の弱さなのか、私にはわからなかった。

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