第7話 男の樹

 土地のガイドの話だと、女の樹の生えるこの森には男の樹もあるという。


「子供だな」


 木陰に潜むようにして小さな男の子がいた。碧髪の巻き毛にくりりとした円い瞳が愛らしい美少年である。しかし足はやはり根っこになっている。


「これは女を喰うのかね?」


「いいえ」


 ガイドは首を振る。


「男の樹の根は簡単に抜けるのです。出会った女性に気に入られて、連れて帰ってもらうためです」


 女に食わせてもらうらしい。

 小憎らしい樹である。

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