第6話 女の樹

 土地のガイドの話だと、この森に女の樹があるという。


「あれか?」


「はい」


 森の奥に女がいた。長い碧髪に白い裸身を包んだ美しい女だ。しかし足が膝から根っこになっていた。これが女の樹である。

 女の樹は微笑を浮かべ、こちらを誘うように両手を広げている。


「いけません。あれは男を喰うのです」


 食人植物らしい。餌は御免と帰ろうとすると、樹は捨てられた女のように手を伸ばした。

 美女を振った気分になる。

 悪くない気分である。

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