第5話 炎人

 土地のガイドの話だと、この砂漠に炎人が住むという。


「あちらです」


「本当に燃えているな」


 砂丘の稜線に斜陽を浴びて歩く炎の列があった。その炎は確かに人の影を持っている。


「彼らは生きているのか」


 炎人はゆっくりとした歩調で落日へと向かう。それは死人の列のようにも見える。


「亡者とも、忘れられた記憶が見せる影とも云われています」


 私はこの人影を知っている気がした。

 だがそれは、もう私とは関わりのない影なのだろう。

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