木妖精<リベル>の書物
お喋り植木の剪定と、屋根に陣取る風見の鶏のこと
フィルヨンドの町に有名な魔法使いが住んでいました。
彼が特別に
彼の庭は小さなものでしたけれど、真面目な白い
お日さまが
そして
「ここはなんて高いんだろう。
こんなふうに、低いところにいるものをいつも
それで
「おおい。聞いたかい。いま下の部屋で主人が話したことを。どこかの大陸には
秋になったばかりのある日、風見鶏は下の様子がいつもと違うことに気がつきました。そこで植木に呼びかけました。
「おい、おい。
植木が言いました。
「あの子たちみんな
「そんなの、どうしてさ」
「
「タイフーン。そりゃいい。大きいのがお目見えするわけだ」
風見鶏は自分が見学をするつもりで、キーフーキーフー回りました。
「だがねえ、主人はあんたも、おろすってお言いになったよ」
植木が笑うと、支柱がきしんで、がたつきました。
「なんだって、
植木はもう
真っ赤な空のなかで、雲はふちを金に燃やしています。その火が消えると、おおきな炭にそっくりな雨雲になるのです。
「タイフーンなんてなんのもんだい。わたしは星になりたい。星はあんなに高いところにいる……」
風見鶏が
風がどんどん強くなり、雨はばらばら降りだしました。魔法使いがあわてて階段をあがってくる
「ああ、主人が来る。おろされたくないなあ。キーフー! キーフー!」
ぐるぐる回って雨水を
「タイフーンよ。その風よ。あんたが本当に大きいものなら、わたしを空へ連れてってくれよ!」
大風は、これを聞いて、にやっとしました。
「連れてくってことはできないが、勝手に飛ばされていきなよ。ただしひどくに目が回る。鶏さん
「できるとも。わたしは高いところへいくのだから」
魔法使いが屋根への戸を開けようとしたとき、風見鶏を支える柱は風にねじ切られて音を立てました。
風見鶏は二度とキーフー鳴きませんでした。ただものすごい風と水とが、つぶてとなって体じゅうを
やがて気がついたとき、風見鶏はなにかの枝らしきところに引っかかっているのでした。すぐにそうと分からなかったのは、ぜんたいが重く雪でおおわれていたからです。
「ここは高いところだ! しかし寒いなあ、高いが寒い。高い……」
降ればふるほどに、雪の白が暗く、くらく、黒くなっていくことを、風見鶏ははじめて知りました。そうしてもしかしたら、自分はここで
「ああ、せめて巨人というものを見たかった。できることなら星だけでも見たかった。あれはわたしが知っている、一番高いところにあるものだから」
いよいよ考える気力もなくなったとき、雲の向こうから見たこともないほどの大きな指が
風見鶏はとても
指は風見鶏をつまんだまま雪のなかを動き、しばらくすると灯りに照らされたようでした。
風見鶏が目だけで見ると、頭のうえでたくさんの大きな玉が、ゆらゆらしていました。ちょっと考えてみると、それは何人かの大きな人、つまり巨人の目玉だということが分かったのです。
巨人の国はもう冬であり、いまは大切な
一家は子どもの指先を見つめながら、なにか話をしているようでした。それはあまりに太い声だったので、
ただ、すぐに目の前の景色がぐるりと回って、四角な山火事や(それは
次に、風見鶏にもすぐに分かる大きさのモミの木が近づいてきました。切り紙や
子どもはそれを指で
(見たか今のを。とうとう、わたしはお星さまの
風見鶏は、いつしか喋ることができなくなっていました。けれども、そんなことは気にもなりませんでした。そこから見るものはすべてが大きく、高く、
風見鶏は回ってまわって、いつまでもモミの木の天辺にいました。その聖夜飾りがいまも使われているのなら、風見鶏も
(もしもみかけたならよろしくね。おしまい。)
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