1話「行方不明」

俺の名前は「楠 蓮翔」(くすのきれんと)。

“普段”は普通の中学三年生だ。

と言っても、今は、2045年3月20日。もう中学校の卒業式も終わり、受験も終わり、合格発表待ちという状況だ。特に行きたい高校もなく、仲のいい友達二人と同じ高校に行くというありがちなルートだ。

と、普通の高校生活を送っているように見えるが、実際そんなに甘くない。最近は、ダンジョン付近にしかいなかったモンスター達が町の方へ来るようになっているので、ピア・ゲートから命令を受け次第、対応に当たっている。こういうのは本来プロや警察に任せればいいのだけれど、うちのピア・ゲートの主は「正義」っていう言葉が大好きで、モンスターが一般人に危害を加えるのが本当に嫌いらしい。

そんな天の声が説明してるようなことを考えながら、帰り道を辿っていった。


「ただいま〜」


「おかえり!お兄ちゃん!」

気が抜けるような声で適当にただいまと言うと、俺の妹が玄関でお出迎えしてくれた。名前は

「楠 麗奈」(くすのきれいな)。今、14歳の中学2年生だ。もうすぐ3年生になれるとわくわくしている。なんか微笑ましい。 そんな浮かれたことを言っているが、俺の妹は容姿端麗、スポーツ万能、誰にでも優しいという完璧な女の子なのである。

「彼氏、出来ちゃうのかな...」

つい口に出てしまったw 別にシスコンというわけではないが、こんなにも自分に懐いてくれる女の子がいないから、なんか寂しくなりそう...

また、こうやってしょうもないことを考えながら、2階の自分の部屋に向かった。


僕は部屋に着いてすぐ、携帯電話を取り出し、自分のピア・ゲートの主と連絡をとった。神様なのに電話?って思うかもしれませんが、下界に降りてきた時、神様は能力のほとんどを制限されながら来た。そのため、テレパシーみたいなことはできるはずもなく、このように連絡をとっている。


「神様。モンスターは今町で発見されていますか?」


そのように聞くと、神様は、笑い始めた。


「君は優しいな〜。プロや警察がいるのに、命令がなかったら自分からかけてくるとは」


最近、毎日のようにダンジョン付近のモンスターを倒していたので、モンスター討伐の命令がないと、つい気になってしまった。


「今のところは発見情報はないよ。ただ、月波ちゃんが行方不明なんだよねぇ。」


月波とは、うちのピア・ゲートの俺と同じ隊に所属する「月波 桜」(つきなみさくら)のことである。月波は、最近大型モンスターに負けたばかりで怪我を負った状態だったので、心配になってきた。


「俺、ちょっと外行ってきますね。月波が行きそうな場所回りながら探してきます。」


「お、おい!」

神様は蓮翔に何か言いたそうだったけど、蓮翔はそれより早く行動していた。

そうして僕は、外へ飛び出した。

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