理想郷-ユートピア-

allo

プロローグ「理想」

2040年8月31日、世界で初めて特殊能力が観測された。


場所はアメリカ合衆国だ。なぜ、観測されたかというと、アメリカが極秘で人体実験を行っている際、たまたま、ブラジル人の被験者が鼻歌を歌いながら指パッチンをしていたら手から火が出た、というわけだ。


特殊能力と言っても、人を殺せるほどの火が使えるわけではなくマッチやライターほどの火力しかありませんでしたが、これは大発見だとアメリカはすぐに公に発表しました、というのは世間に広まっている話で、アメリカが極秘で人体実験というのを公に出すはずがない。公に発表されているのは、大学病院で治療を受けていたブラジル人患者から発見された、と言っている。


なぜ俺が「人体実験」で発見された、と考えたかと言うと、父が警察官として警視庁で仕事をしてる時、父の上司とアメリカの外交官が人体実験について話してるメールを見たからである。父がなぜ息子の僕にこんな重要な事を話したかと言うと、実はこのときすでに俺も能力者だからである。このことについては公どころか家族以外誰も知らない。


そして、このことをきっかけと言わんばかりに、各地で特殊能力を持った人間が次々に発見され、2045年3月現在では、世界人口のおよそ3分の1は特殊能力を持つ状況になった。能力は、生まれてきた子供に元からあるものと、ある日突然、能力が発生する2パターンである。


全ての始まりは、2030年8月31日に起きた

「宗教革命」

過去に16世紀に、宗教改革というのが起きたが、正直そんなレベルではないほどの出来事だった。


「革命」とは、既存の政治体制や組織構造比較的短期間に根本的に変化すること。

らしいのだが、この出来事は短期間と言うより1日で全てが変わった。今までの宗教、世界三大宗教でいうと、

キリスト教→イエス・キリスト

イスラム教→アッラー

仏教→釈迦

を信仰する感じだったが、この神様達は実際にはいるかわからない人物であり、現代にはもちろん存在していないものだ。しかし、今回は天界から神話などに出てくる神様達が次々と降りてきて、

「宗教というものがこの世界にはあるらしいが、そんな実在もしないヤツらを信仰してなにが楽しい。こうして、実在する神を信じてはみぬか。これから我々はこの下界で団体を作る。

んー、そうだなぁ...『理想扉ピア・ゲート』と名付けよう。そして、神に選ばれた奴は『理想郷ユートピア』つまり、天界に行けるようになる。ユートピアでは神から授けられたあらゆる能力がフルで使える。欲しいものはなんでも手に入る。皆の者、ピア・ゲートに入ってはみぬか。」


これをきっかけに宗教というものはほとんどなくなり、代わりに『理想扉ピア・ゲート』に入る者が多くなった。今では世界人口の95%の人々が入っている。


そして、この日をきっかけに正体不明の超常現象が世界中で観測された。2040年に特殊能力が発見されてから超常現象の原因は特殊能力であることが少しずつ判明された。




そして今、特殊能力と呼ばれていたものは『理想の力イグニッション』と呼ばれるようになった。能力者が問題を起こすなど色々なことがあると俺も、国も思っていたのですが、意外とそういうことが頻繁に起きることもなかった。理由として挙げられるのは、モンスターの出現だ。ピア・ゲートが作られた後、神々は各地に大量のダンジョンを作っていった。それにより、以前そこにあった生態系は崩れ、モンスターがスポーンするようになった。原因が未だに分かっていないので、恐らくこれも神の仕業だと思われる。


こうして、出てきたモンスター達を倒すためにピア・ゲートは全力を尽くしているため、あまり暴行や殺人などの問題は多発していない。ただ、能力者同士が戦うためのスタジアムが各地に建設され、そこで、能力者同士がよく戦っている。先程述べたダンジョンだが、これは今の能力者じゃ攻略不可能という状況でまだ1つも攻略されていない。もうすぐ、初めてのダンジョン攻略のために各地から能力者を集めてメンバーを決めるらしい。


能力者の中でもランク付けがされていて、無能力者は「クラス0」そして、か弱い能力しか使えないものから、「クラス1〜5」まである。その中でも、「クラス5」の人達が今、神が過去に栄光を勝ち取ってきた「英雄」達を召喚できる、と言ったので、召喚を試みている。


そして、2045年3月15日。ある一人の男が英雄の召喚に成功した。

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