お兄ちゃんは人が好過ぎます!!!!
「それでは、インターハイ団体戦ベスト8進出、個人戦準優勝した市葉ちゃんを祝して今一度・・・・・」
「カンパーイ!!!!!」
あれから二日後・・・・・インターハイ最終日の夜、見事インターハイでいい結果を得た市葉を祝して、泊まりかけの宿屋にて俺と魁里を除く市葉の家族と、コミケ帰りで昨日合流した樹達と軽い祝勝会をすることになり、テーブルの上には伯父さんが奮発して買ったオードブルの盛り合わせが豪勢に並んでいて、これからそれを食べるつもりだ。
とは言ってもこの祝勝会は市葉にとっては二回目のようで、一度目はつい一時間前に同じ部活メンバーとやったばかりらしく、見た感じ市葉の顔は若干疲労困憊な顔つきしてたが、人が好過ぎるせいか、から元気な状態でジュースを片手に乾杯をする。
「いった」
みんなに合わせてグラスを合わせると手首から電気が走ったような痛みを感じる。
どうやら一昨日やった御前試合の後遺症がまだ残っていてもうちょっとでグラスが落ちそうになった。
あの日宗助との決着後俺は、緊張が解かれたか、激しい暑さによって気絶をし、目が覚めるとこの宿屋に担ぎ込まれたようで、目が覚めると激しい激痛を感じ、改めて見ると防具を着たのにも関わらず全身痣だらけで、当分の間部屋から出ることができなくなり、市葉が勝ち進んでいる一方、俺は打撲と筋肉痛の痛みに耐える苦痛の女官を過ごしていたが、今日ようやく外出れるくらい回復したと思ったらこのざまだよ。
「おいみゃこ大丈夫かよ」
「無理もありません。あれだけ打ち込まれたらそうなるでしょう。まともな受け身をしてれば大分痛みが軽減してたはずなのですけどね・・・・」
「お前以外と辛口だな・・・そういうところは魁里とそっくりだ。そんなやつには、これはやれねーーーーーーーーーっと」
痛みが走り歯を食いしばりながら、市葉が好きそうな骨付きチキンを奪い取り、案の定市葉は、目が一瞬驚きを見せていた。
「あ、なにをするんですか。あたしがずっと目をつけていた。鳥さんですよ。返してくださいって、痛っ」
奪われたものを返そうと周りを見ずに慌てて飛び上がったところ、市葉は足がもつれて俺の前に無様に倒れていた。
なんと間抜けな光景だ・・・・・・これがインハイ準優勝した剣道少女の現状か。
「なにをするんですか?とても卑劣ですよ」
「今のは俺は何もしてねぇよ。それにな、お前、ついさっきまで部活のメンバーの祝勝会でアホ程飯、食っただろうがそれで充分だろ?」
「いいえ、まだ7割です」じゅるり
涎を垂れ流しやつの視界は完全に目の前の鳥にしか目が入ってない。
完全に猛獣のそれだ。
というか、本当に7割か?お前が伯父さんの車に乗る時、俺も乗ってたけど近くに同じ祝勝会に参加したとみられる部活仲間の子を見たんだけど、どう見てもお腹いっぱいの顔してたぞ。
お前の腹がおかしいの見て取れるわ。
「お・・・・・お父さん。ボーーーーーーーーとしてないでみやこを怒ってくださいよ。これどう見ても意地悪ですよ」
「はははは・・・別にいいじゃないか。都クンはお前を励ますために盛り上げてるじゃないか?そうだよな。母さん」
「ええ、そうですねぇ・・・元気でいいこと」
相も変わらず神代家の両親は温厚過ぎるとというかずれているというかこの程度では怒らずにニコニコとほほ笑んで見届けているようだ。
「みゃこ本当に羨ましいぞ。これが若さか・・・・」
うるせぇよ。汚いクワトロ大尉。お前も俺らと同じ同級生だろうが、老けてるのは顔だけにしとけ。
「おっと、都すきありですね」
「あまいぜ魁里」
「ぐはっ・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
好きを見切ったか魁里は俺に向かって飛び掛かるがそれも華麗によけ、押し入れに激突しその衝撃でふすまが外れ雪崩のように崩れて埋もれていた。
無様すぎて逆に泣けてくるな。
可哀想すぎて一回鳥をテーブル上に置き手を差し伸べる。
「おい、大丈夫か。魁里」
「コラーーーーーーーー姉さんになにをしてるのですかーーーーーーこのド外道がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
その時聞きなれたうっとおしい叫び声と同時に蹴られた感触が走り俺は、まるでカンフーアクションのやられモブのように吹っ飛ばされた。意識が朦朧する中、目を開けるとそこには、明らかに犯人である魁里とその後ろには、ひょこと申し訳なさそうな宗助の姿があった。
「か・・・・魁里ちゃんなにを・・・・」
「魁里お前、なにすんだよ」
「なにって、とぼけているんですか?一部始終は見ましたよ。今どこからどう見ても姉さんをいじめてたんですよね?普通に正義を執行しました☆」
ぐぬぬぬ確かに傍から見れば、いじめてる光景にしか見えないのは否定できないが、これでも俺は病人なんだぞ。それにも関わらず平気で蹴り上げるお前こそ、卑劣極まりないぞ。
「大丈夫ですか。姉さん、今助けに来ましたよ」
「魁里・・・・今戻ったんですね。それと宗助も・・大事なかったですか・・・」
「う・・・うん。なんとかね・・・・」
宗助は両手で松葉杖を使いこっちに向かい、畳なので杖を置いて、魁里が支えながら降ろしていた。右足を見ると、負傷の結果を現すようにギプスが巻かれていてとても痛々しかった。
宗助は、あの時の俺との決着の後、改心したかのように、顧問と一緒に病院に行くことになった。
骨こそは折れてないが、それでも重症の為案の定今回のインハイは欠場となり、しばらく病院で入院することになり、今しがた、魁里に連れられ戻ってきたようだ。
本当に予想以上早い帰りで驚きだった。
「あらそう、大変ねぇ。宗助ちゃん」
「あ、師範、この度はすみませんでした」
宗助は、伯父さん夫妻に気が付くと、頭を深々と下げて謝罪をしていた。
いわば伯父さんは小さい頃から宗助達を鍛えた師匠なので、自分の我儘が原因で下手すれば日常生活に支障をきたす怪我をすることに反省の顔を見せていた。
「やめなさい。今は祝いの日だから説教はなしだよ」
「ですけど、僕・・・・・自分自身の身勝手な行動と思い込みのせいで、周りに迷惑をかけました。現に都や魁里ちゃんを傷つけました。この責任はとりたいと・・・」
「だからいいんだよ。罪の意識に気づけば、何も言う事はないよ。でも、これ以上の事を公言すると、わたしはさすがに起こるしかないよ」
「うっ・・・・・・・・うっ・・・・・」
「ほらほら、泣かないの。せっかく戻ってきたんだから、今日は我が娘を祝おうじゃないか」
「はい・・・・・ありがとうございます」
伯父さんは、怒らずにあえて優しい口調で宗助の肩をポンと優しく触れ励ましていた。それを感じた宗助は、ポロポロと涙を流していた。
そしてしばらくすると涙を服の袖で拭い、顔を赤く腫らしならいつものように、美少女のような顔つきでほほ笑んでくれた。
その顔に衝撃を受けたか、樹はときめきを抱きながら後ろにのけぞっていった。
「結婚しよ」
お前、今のであっち側の扉に完全に目覚めたな・・・・
あれから数時間が経ったか分からないが、伯父さん夫妻はいつの間にか自分の部屋に戻り、残った俺達は、樹がコミケで体験したことを聞いたり、宿の女将さんから借りたボードゲームを楽しんだりしていて、いつの間にか時計を見ると11時に差し掛かろとしていた。
周囲はとても疲れてたようにほとんど熟睡をしていた。
「おい、おい、市葉起きろ!!!」
「なんですかーーーー。もう食べれないですよーーーー」
「何寝ぼけいてるんだよ。お前、自分とこの宿舎に戻らなくていいのか?」
「いいですよーーーーーそこはお父さんが、口きいてくれたので、今晩はここで寝ますよ。
完全に目が死んでてここで寝る勢いだ。魁里はともかく、体系が恵まれてる市葉はここで寝かすわけにはいかない。その証拠に市葉はいまスポーツシャツを着ているが、上品な言葉で説明するとその下にはなにも着てない無防備な状態だ。
現に市葉の胸部は、巨乳のせいか何か突起物が二つ突きたてるくらい目立っていた。
さすがにこの状態で、思春期真っ只中の男子生徒三人と寝るのはいけない。
下手すれば、ここがちょっとしたピンクのパーティーが開催されてしまう。
俺は彼女がいるからそんな気には、ならないが傷心した宗助と性欲の申し子の樹がいるからな、たぶんそうはならないが、物事には何が起こるか分からないからな。一応紳士的に対応する必要がある。
「とにかくここで寝ると迷惑なんだよ。頼むからお願いします」
「分かりましたよ・・・・・・じゃあ、魁里も起こしますねーーー。魁里起きますよーーーー」
「なんですかーーーーー姉さん」
なんとか説得に成功し、市葉は妹を起こし部屋に戻ろうとしていた。
よし、これで俺は寝れるぞ・・・・・・
「あたし達を起こしたのでついでに都も一緒に来てください」
「なんでだよ!!!」
「いいじゃないですかーーーー来てくださいよーーーーーーでないと、また魁里に、都にいじめられたと言いますよーーーーー」
くっ痛いところをついてやがる。まぁ、部屋は近いしな・・・・
すぐに行って戻ればいいから大丈夫だろう・・・・・・
言われるがままついて行くことにした。これで、あいつらは、家族がいる部屋に戻り役目は、終わったと思ったが・・・・・・
「なんでお前は、戻ろうとせずに、俺についてきてるんだ?」
「それが、ですね・・・・・・部屋に戻る間になぜか、目が冴えてしまいましてね。家族を起こしたらしゃくなので、もう少し付き合っててもいいですか?」
「ええーーーーーーーーー俺眠いのに」
「ケチケチしないでください。奇麗な顔が台無しですよ」
「俺、ブサイクに生まれたかったわ・・・・・」
「はいはい、そゆことで、寝れるまでお外に歩きましょうよ」
「えーーーーーーー」
はぁ・・・・・こんなことなら起こすんじゃなかったわ。
今更後悔しても遅く、結局市葉に再び眠気が来るまで外に出て涼みに行くことになった。
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