お兄ちゃん・・・・・・さだかも幽霊が怖いので一緒に居てほしいです。

「あ・・・・・・ああ・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ都ぉ!!!!!今あっちに物音がしたぞぉなんとかしてくれ」

「あーーーーーーーーもう・・・・・ちょっと姉ちゃん耳元で叫ぶな。少し黙ってくれよ・・・・ウザイ」

今俺達は廃病院の中に入り、散策していた。その建物に入る前に俺もスマホでこの病院について簡易的に調べることができ、ここは数十年前に設立された旧病院後のようで、それまでは、ここの島民は病気になったたびにわざわざ本島に向かうことになったのだが、その手間が省くことができ島民たちは一時の幸せを得ることなったが、建物の老朽化が激しいため数年前に廃病になり代わりに港近くに新設の病院が設立されたようだ。




後これは信ぴょう性は薄いのだがこの病院後には様々な黒いうわさがチラチラと記載されてるが、恐怖で半泣きの姉ちゃんには言えないわな。



今、俺達はアウラさんを先頭にその廃病院を回っている。大抵の機材やモノというものは撤去されてるがそれでも残ってるものはありかつて病院だった名残があるのだが、長らく放置されても、興味範囲で侵入している形跡があり、ところどころ荒らされており一層不気味さを感じる。



この暗闇の廃病院、入るだけで身の危険を感じるくらい怖いのだがそれ以上怖いのはうちの姉ちゃんだ。

現に汗ばんだ手で俺の肩をぐっちゃりと握り後ろからビクビクとついて行ってるのだ。もしお化けというものが実際出てきたら良ければ脱臼、下手すれば複雑骨折になるくらい叫び狂うはずだろう。









「ウザイってなんだぁ!!!怖いものは仕方ないだろぉ!!!うわぁ・・・今なっか光った」

「よし・・・撮影完了・・・・次はこっちっにしようっと・・・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・たまらない・・・・」

その光はアウラさんがあちらこちらにスマホでシャッターをする光と音だった。

この人・・・・・この場所は幽霊が出てきてもおかしくない場所なのにどんだけメンタルが鋼なんだよ。





「コラぁ!!!!アウラいい加減にしろぉ!!!」

姉ちゃんはさすがにこれには怒ったか。アウラさんが撮影してる途中に強引にスマホを奪い取った。




「ねぇ・・・美国なにすんの。今ちょうどいい曲線だったのに台無しじゃないの?」

「そんなの知るか!!!!大体お前が廃墟フェチなのは知ったがこんなに重傷とは思わなかったぞ!!!そんなに好きなら明日の撮影の休憩に一人で撮ればいいだろう!!!」

「これだから素人は・・・・・廃墟ってのは昼間より夜の方が絵になるのよ。ここに入っただけで別の世界に入ったような感覚・・・・・まるで自分が異世界に来て孤独に冒険するような素晴らしい感じしない?」

うん・・・・・しない。こんないわくつきな場所で一人孤独に異世界に転生するのなら大抵の主人公は絶望なあまり自害するはずだ。





「あの・・・・アウラさん興奮するのは結構ですけどもし万が一でも霊的なものにお憑りつかれたらどうするんです?」

「あーーーーーそれは心配いらないよ。こっちには、もしもの為にお守り用意してるから・・・」

そう言うとアウラさんはポケットから香ばしいにおいをしたお守りを始め様々な種類の除霊グッズを見せ、その一部を俺達に渡す。





「エクソシスム・オブ・バビロン《退魔の財宝》フハハハハハハハハハハこれさえあれば、危害を及ぶことはない。恐れ入ったか雑種!!!ほらこれを君たちにやる。これで悪影響を及ぶことはない」

あの・・・・・・この廃墟で愉悦に浮かれ叫んでいるとこ悪いですけど廃墟好きすぎてキャラ崩壊してません?アンタ数時間前は本当に真面目で清楚なお姉さんだったはずなのに、うちの姉よりヤベーやつじゃねか!!!

というか・・・今更そのグッズを俺らに渡すの遅くね。

あーーーーーーーーもう突っ込みが多すぎて別の意味で精神が壊れるわ。






「あ・・・・・・ああ。すまない。アウラ助かるぞ」

「ど・・・・どうも今更だけど無いよりマシですね・・・・ん?」

てかこのお守りよくよく見たら花沢神社のやつじゃないか。ざーさんには悪いが胡散臭くなってきて本当に効果あるのか期待が薄くなる。





ガサッ

「な・・・・・・・なに」

姉ちゃんのビクッと震え声で俺達はその方向に目を向け懐中電灯で明かりをさす。そこは2階につながる階段のようで俺ら以外人はいないはずなのに物音を立て、こっちに向かおうとしている。

あまりの恐怖で足がまともに動くことができず冷や汗も止まらなく、逃げることができない。





「・・・・・だ・・・・・・・大丈夫こっちには、こんなにも除霊グッズがあるから・・・・・」

「あの・・・・・・アウラさんビビってません?」

「し・・・・・・失礼な事言うね。キミ、日本には対悪霊用の鬼の手とか、青い炎とか斬〇刀てきなものがあるよね・・・・それを対抗すれば・・・」

いや、全部フィクションの話じゃないですか・・・・

うわ・・・・・・ふざけてる間に段々と階段の方に向かってくる。




「ねぇ・・・・最後の手段・・・ここは、お互いに思い浮かべたアニメの技で対処しない?」

「こんな時にお気楽ですね・・・」

「だって、ここで死んでちゃ廃墟を巡れないじゃない。よしいくよ・・・」

アウラさんにつられて俺も心の中で適当に対悪霊技を思い浮かべる。




生身の人間では到底悪霊に敵わない。だが、ここで何もしなきゃ俺の未来が破滅する。乃希亜・・・・・力を貸してくれ!!

人間の可能性は無限大だ。

弓を射抜くようにポーズをとる。



「命大開眼!!!!!タ〇シーーーーーーーストライク!!!!」

「邪王炎〇黒龍波!!!!」



「!!!!!!!」

「え・・・・・・・・狸」

お互いに廃墟全体に響くほど叫び、それに驚いたか階段から小さな狸がぴょっこっと飛び出し、廃墟の上の階に逃げており、さらに静寂になっていた。





「な・・・・・なんだ。狸か・・・・」

「ふっビックリした。都君・・・」

「び・・・・・・ビビッてませんよ。俺より姉ちゃんが・・・・・・ってあれ?」

気づくと姉ちゃんはいつのまにかどこかに消えていった。

もしかして本物の幽霊と思って逃げ出したのか・・・・





「姉ちゃん?おいどこ行った・・・・・姉ちゃん!!!」

「しっ・・・・・都君なにか音聞こえない?」

「音?」



ポツ・・・・・ポツ・・・・ポツ・・・・・

言われた通り俺は耳を澄ますとなにやら雨が降った音が聞こえ外に出ると案の定小粒が降っていた。




「雨・・・・・そんな・・・・予報では雨には時間がかかるのに・・・」

「とにかく手分けして美国を探そうか?多分そう遠くに行ってないはずだ。なにかあったらスマホで連絡お願い!!!」

「はい!!!」

緊急事態なので廃墟巡りは中止をし手分けして俺とアウラさんは、行方不明になった姉ちゃんを探す。





とはいってもこの島内は行ったことないので下手したら・・・・こっちも迷子に・・・・・ってなにを言ってんだ。姉ちゃんは今懐中電灯が無い状態で彷徨ってるし、ものすぐ大雨が降る。そうなったら事態は最悪な状況になってしまう。

あきらめるな。俺は大河美国の姉なんだ。絶対見つけてやる。




そう決心し、懐中電灯を使い草木を分けながら探し、微妙な音でも感じるようにする。



焦るな・・・・最悪な事を考えるな。そうすれば見つかるはずだ・・・・・






だが、いくら探してもなかなか見つからず雨はさらに増す一方だった。

俺は今海岸方面にてずぶぬれになりながらも歩が一向に姉ちゃんの姿は見えない。


それに加え先ほどアウラさんから連絡がかかり、もうやばいから、スタッフと救助隊を連絡しようかと言われ・・・・こればかりは仕方なと思い、ここから近くの屋根付きのバス停の待合室があった。

確かここは、島全体にバスが行き来してるんだよな。とりあえずここに雨宿りするか・・



俺はそこに入ると・・・・すでに誰かがいるようらしい。この人も雨宿りしてるんだなっと思ってもう一度振り向くとそれは姉ちゃんだった。





「姉ちゃん・・・・・」

「み・・・・・・・・みやこ・・・・・・なのか・・・・」

姉ちゃんは俺ほどずぶぬれではないが雨でひんやりしてるので身体をガチガチに震わせており、右目には普段強気でまったく泣かない姉ちゃんから涙後がチラッと見えていた。

そして俺を見ると勢いよく抱き着いてきた。




「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!すまなかったーーーーーーーー弟を置いて逃げた哀れな姉をゆるしてくれ~~~~~~~~~~」

「分かった。分かった。・・・・強くしないでくれよ・・・」

抱き着かれて改めてどんだけ怖かったか。震えた感じでなんとなく察することができた。

そんな姉に軽く頭を撫でた。




「まったく、勝手な姉ちゃんを持って俺はとんだ苦労人だ」

「こっちもだ。こんな頼りになる弟を持って私は幸せ者だ!!!」

俺達は一度離れ、改めてアウラさんから電話で見つかったと連絡を入れることにし、なぜ姉ちゃんが失踪した後に俺達に連絡をしなかったというと、どうやら姉ちゃんのスマホはホテルで充電中の為に置いてきたまま、俺達を追ってたから連絡ができなかったようだ。

普段感が鋭い姉ちゃんには珍しい凡ミスだったが姉ちゃんが無事で本当に良かった。



ともかく俺は今雨がやむまで待合室まで待つことにしたが一向にやまない。





「クシュン・・・・」

「なんだ・・・・・弟風邪か・・・」

「すまんこっちも寒くなった」

「それはまずい・・・・一向に温めないとな。ホラこっちにこい。私がお前を温めてやるぞ」

「こんな状況でよく冗談言えるな・・・」

とは言っても結構寒い。下手したら熱になりそうだな。なんとかならないか・・・・




「む・・・・・・・弟・・・・よく見れば近くにホテルがあるからそこに休めばいいだろ?」

「ホテルって・・・・・そんなのこの近くに・・・・・・・・はっ・・・・」

俺は恐る恐る休憩所の右側を見る。ここから200メートル先に如何わしいピンクの建物がそびえ立っていた。これって・・・・まさか・・・・ラブ・・・・




「よし・・・・・・今なら雨が少し止んだから今のうちそこに向かうぞ・・・」

待てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそこだけはやめるぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。

実の姉とヨスガりたくないんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


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