お姉ちゃんの弱点?それって一体なんなのですか?

永遠に長く感じた撮影もようやく終わり、撮影陣とそのモデルは俺にお礼と連絡先、名刺を渡された後、一足先に離島に帰り俺は、姉ちゃん達撮影グループに戻り、今日の夕食である、この地域に多く取れた海の幸満載のバイキングを、ほろ酔い気分の姉のちょっかいをなんとか交わしながらありついた。




そしてその後は自由時間となり、俺は、ホテルの豪華な露天風呂をつかることにしたが、腕や足に日焼けの後が出てあまり入ることができなかった。

オカシイな・・・・日焼けクリームは塗ったはずなのに・・・

まぁ・・・・今日はいつも以上に快晴だからしょうがないか。

そう思いながら俺は、日焼けがない場所に足をつかり、夜の島の光景を眺める。

このホテルから眺める街の明かりをバックに映る灯台と本島の幾多の閃光がチカチカと見えるのが絶景だ・・・・・

これだけでもいい絵になるのだが、本来ならばそれに加え満天な空から移る星々の地図が見えるはずが今は昼間の快晴と真逆の星一つの輝きも見せない薄暗い曇天が覆われていた。



そう言えばニュースでは、深夜から今朝にかけて大雨注意報がなってたな。

本来の満天の大空で本島の絶景を見たかったけど、これで我慢するか。その景色を脳裏に閉まい浴場から出た俺は、とりあえず実家にお土産の配送と宗助や一葉が大会でいい結果になれるものを買おうとホテル内の土産屋でとりあえず何がいいか探していた。




「う~~~~~~ん・・・・・なにしようか・・・・・」

「あれ?都君なにしてるんだい?」(縦横無尽!!!)

「あ・・・アウラさんって・・・・なんすかそれ・・・・」

悩んでいるときに薄着姿のアウラさんが俺と同じようにバスタオルと着替え袋を片手に持ちひらひら手を振りながらこっちに来た。

そんな光景よりも彼女が来ている『縦横無尽』という四字熟語が書かれている緑Tシャツがまず目にいった。




「ちょっと・・・・都君・・・・出会って胸を見るのは失礼じゃないかな?仮にも彼女がいる身なのに。美国に言いつけようか?」

「は・・・・・・いやいやいや・・・違いますよ・・・」

「冗談。面白いね。都君・・・」

面白いのは貴方のTシャツですよ・・・・一体どこからこのクソダさTシャツを取り寄せたか気になるわ。

こんなダサいセンスの文字Tシャツ着るなんて、某バウンティハンターと首相補佐官しか思いつかないわ。







「それよりアウラさんも今お風呂に入ったんですか?」

「ええ・・・・・・今入ってきたわ。ここの温泉はいい感じで気持ち良かった~~~~」

そう言いながら気持ちよく背伸びしていたが、そのTシャツに突っ込んでいいのか迷っていた・・・




「どうしたの都君・・・もしかしてお土産を探しているのかな?」

「ええ・・・・そうですけど・・・実家や友人にはなに送ればいいか・・・」

「あ・・・・それならりんごパイならどう・・・これここらでは人気そうだけど、後これも・・・・」

この後もアウラさんに続々と勧められお土産探しも先ほどよりもスムーズになり、無事実家と神代家の分の郵送ができた。



「ありがとうございます」

「どういたしまして、さて私も家族になにか買おうかな」

「ははは・・・・れにしてもここの名産を知ってるなんてよく調べてるますね」

「まぁ・・・・本命のついでだからね・・・」

「本命?」

「いや・・・・・・どうしようかな・・・・・・もしなにかあったら美国に殺されるな・・・・」(ボソッ)

今姉ちゃんに殺されるって言わなかった?なんか怖くなってきたぞ。





「そう、怖い顔しなくていいよ。けど、これからの事は誰にも言わないでよ」

「は・・・・・・はい」

アウラさんはいきなり顔を近づく脅かすように耳に囁いてきてそれだけで身震いしてきた。












・・・・・・・・・・・・・・・・・

その後俺は、お土産を自室に置くことにし、雲行きが悪い中、ホテルを飛び出し懐中電灯を持ちながら島の明るい観光名所の方面に向かうことになるのだが・・・

どこで情報を聞いたかなぜか姉ちゃんも懐中電灯を片手に一緒についてきた。




「美国やっぱり来てたんだ」

「悪いな。私の六感は、当たるのは知ってるだろう?お前が部屋に出て行ったときから怪しくついてきたら案の情都と落ち合って・・・・一体何をするつもりだ!!!!いくら親友とはいえ都と一緒に逢引きすることは許さん!!!!別に同行しても文句はないだろう?」

怖い怖い怖い怖い。自分の顔で懐中電灯を照らしてドアップで俺に近づくな。

下手したらちびるから。




「逢引きってそんなんじゃないから。そうだろアウラさん」

「本当は行かない方がはるかに良かったのに馬鹿だね・・・・美国」

「アウラさん・・・」

彼女の口元から一瞬一瞬口元を緩みほほ笑んでおり、まるで姉ちゃんが来ることを想定してたかのような反応だった。

それが気になりながらも俺は、姉ちゃんが未だになんで『私を呼ばなかったんだ!!!』と小言を呟きながらアウラさんの後ろについて行った。




歩くこと数分が経ち街灯が並ぶ名所から少し離れ、薄気味悪い林に連れていから虫の音が深々と響き渡った。俺だけではなくさっきまで威勢が良かった姉でさえ少し不安を見せ、空も暗雲を生み出していた。






「お・・・・・・・・・・おい、アウラどこについて行くんだ。ここら辺建物とか何もないだろう・・・」

「いや、ここから海沿いに海の家や展望台・・・・・後ラブホがあるらしいけど」

「誰もそんなことを聞いてない。っというかお前が向かう場所はどう見ても海沿いじゃなくて森だろうが!!!」

「そうだよ・・・・・アウラさんいい加減場所を教えたら・・・」

俺達の不安をよそにアウラはただ無言のままに歩き、しばらくすると薄気味悪い建物があって・・・・・どうやらそこは廃病院の廃墟だった。






「は・・・・・・・廃墟・・・・まさか、アウラさん」

「そ・・・・・・今から肝試し行かないかい?チョーーーーーーー楽しいよ」

彼女はなぜか今まで貯め切ったものを開放しキャッキャッっとはしゃぎながらそれを指していた?頭大丈夫かこの人?





「あの・・・・・アウラさん・・・・キャラ変わってません?」

「いやいや、美国に隠してたけど、わたし本当は廃墟オタクなんだ。こういう幽霊が出そうな感じ興奮しない♡はぁはぁ!!!はぁはぁ!!!!」

タガが外れたかのようにアウラさんは発情した雌犬のように興奮気味だった!!!




「ちょっとどういうこと姉ちゃん!!!アウラさんがこんな変人だって知ってたのかよ!!!」

「変人?変態よりマシだからその方がしっくりくるよ」

「もういい駄目だよ。この人。どうするよ姉ちゃん・・・」

「・・・・・・・・・・」

あれ・・・・・さっきから反応がないんだけど・・・・どうしたおーいもしもーし!!!

声かけすると姉ちゃんはガタガタと震えながら俺達に目を向ける。




「私・・・・・・・・帰っていいか・・・・」

その青ざめた顔で俺は確信した・・・・・

あ・・・・・・そういえば姉ちゃん、昔から・・・・・幽霊とかのホラー映画が苦手だったの忘れてた。




こうして俺は期待と不安の廃墟に足を踏み入れることとなった。

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