祭りを楽しみましょう 3
行方不明になった寧々を探すべく俺は、真っ先に連絡すると、なんとか繋がることができすぐに彼女がいる、屋台街近くの神社前の狛犬の銅像前に落ち合うことにした。あそこ一帯は祭りでは、宮司の元休憩所として開放されているのだ。
俺もそこに向かうと覆面を外した寧々の隣には泣いている男の子がおり、その子は迷子になったかグズグズと泣いていた。
「ごめんなさい。はぐれちゃって・・」
「うえ~~~~んママ~~~~~~~~」
「いやいいよ・・・・それよりその子は・・・・」
「見ての通り、さっきの屋台街で見つけて親とはぐれたそうよ・・・・あそこは人で入り乱れてるから落ち着いて話せれる場所のここに移動したのよ・・」
「そうか・・・・じゃあ運営に向かわなくてはな・・坊主名前は・・・」
フルフル
「無駄よ・・・さっきから泣いてばかりだから名前教えてくれないわ」
「そうか・・・なら一緒にお母さんを探しに行こうか?それくらいはできるだろ?」
「うん・・・」
ボソボソと言いながらも子供は俺の手を強く握りしめもう片方の手を寧々にかざそうとする。
「お姉ちゃんも・・・」
「仕方ないわね・・」
子供のうるうるした瞳に負けたか寧々は、サングラスで顔を隠した後、運営本部の迷子相談所に向かうことにした。道中、子供がなぜお姉ちゃんはなんで変なカッコしてるのかと問われたところの寧々の反応が軽く動揺を見せたのが印象あった。
そして俺達は、運営の迷子相談所に着くと、母親らしい人を見つけたか子供は真っ先に抱き着こうとした。
「ママーーーーーーー」
「かずゆき!!!心配してたのよ」
「ごめんなさい~~~~~~~~」
母親は懸命に俺達に頭を下げていた。よほど辛かったか目は赤くなるほど充血していた。
「見つかって良かったですね」
「ええ・・・・お二人共ありがとうございます。なんとお礼をしたらどうか・・・」
「いえ・・・俺よりも彼女に礼をした方が・・・この子を見つけたのは彼女ですし」
母親は再度寧々にお礼を言った後軽く返事をした後元気になったかずゆき君の方に腰を下げる。
「よかったわね見つかって・・・」
「あ・・・・・ありがとう。怪しいお姉ちゃん・・・」
「ぶ!!!!」
いかん・・・つい口を膨らまして笑ってしまった。その後の寧々の視線が痛い。
その後寧々は改めてかずゆき君の方に目を向け先ほどくじで当てたお気に入りの変身ベルトをその子に上げた。
「かずゆき君今度は迷子になっちゃだめよ。それが約束できるのならこれをあげるよ」
「でも・・・・これお姉ちゃんが大切にしてたやつじゃ・・・」
「いいわよ。いい年して仮面ライダーの変身ベルトを持ってるなんて恥ずかしいから君に上げるわ。それに・・・君とは仲良くできるようしね」
そう言いながら寧々は斜めにかぶってる仮面ライダーのお面をコンコンと叩き少しほほ笑んでいた。
その後かずゆきと別れ、その子は、俺達の顔が見えなくなるまで元気よくお礼を言った。
「意外だな。まさかあんなに喜んでいた変身ベルトをその子に渡すなんて・・・」
「別に・・・あの子が泣きながらチラチラと変身ベルトを見てたから仕方なくよ。あの子・・・・自分の名前は言えないくせに仮面ライダーの話になると返してくれたわ。仮面ライダー・・・・特にWが好きな子に悪い人間はいないもの・・」
「そうだな」
ボーーーン
その時空から輝かしい花火が打ち出し輝きを見せていた。どうやらすでに花火大会が始まったようだ。
ここからでも十分見えるのだがさすがにこんなところでいつまで居たら運営の人に迷惑がかかると思い出ようとすると、偶然伯父さんと出会い声をかけてきてくれた。
「あ、都クンこんなところにいるとは偶然だね」
「お・・・伯父さんど・・・・どうも」
「よかったら空きスペースがあるんだけどそこで花火見ないかい?」
伯父さんに勧められ周囲のおっさんのビールが充満したテントの空いたパイプ席に座り、夜の花火を満喫した。
「奇麗だな・・・」
「そうね・・・」
「実は俺、個々の祭りは中学以降は行かずに家で引きこもってたんだ。めんどくさいもあったけどその時期はいろいろあったからな・・・」
「そう、実はわたしも祖母が死んでからは、こういう祭りは参加してなったわ・・・」
「ふ~~~~~~ん。で、どうだった」
「まぁ、予想以上によかったわ。貴方のお友達が少しうっとおしいかったけどね・・」
「最後の最後まで辛辣だな」
「ふん・・・」
寧々は無言でこっそりと俺にあるCDのようなものを渡された。
「これは?」
「この前新曲をレコーディングしたでしょ。この原曲よ。これがこの一週間お世話になったお礼よ・・・」
「あ・・・・・ありがとう・・・」
「もしかしてさっきの子供とお礼の落差があるから不服なわけ」
「別に・・・有名なアイドル声優と祭りいや・・・一週間もマネージャしただけで充分さ」
「嬉しいこと言うわね・・・・本当に惚れてしまいそうだわ・・」
ドーン!!!
「え?」
今なんて言った・・・花火の音で聞こえなかった。
そしてその花火の音の後寧々は俺の方に振り向き満面な笑顔で笑った。
「ありがとう・・・・・・」
花火もほどなく終わり、9時を迎えたようで、その後俺と寧々は事前に指定された事務所の車で寧々を見送ることにし、なんとか一週間のマネージャ生活は終わることになった。
寧々を送った事務所の人は、今日は休むことにして後日、本部に向かい報告書等の後処理をするようにと言われたので今日は一旦帰ることにする。
すると、背後から乃希亜がなにやら紙袋のようなものを持ちながら待ってくれた。
乃希亜は祭りの日なので、普段と違った髪型で、しかもこの日の為に用意してくれた水色でとてもカラフルな浴衣がとても魅力だった。
「よぉ・・・・お疲れだったな・・・」
「可愛い!!!」
「は・・・・・きゅ・・・・・・急になにいいやがんだ・・・・・殺すぞ!!!」
相変わらず急に赤くなり慌てるところがいい。まさにメインヒロインだ。
「なぁ、遅くなったけど回らねぇか・・・」
「え・・・・・だけど花火も終わりだから、出店ももうあんまり開いてないんじゃ・・・」
「急げば間に合うだろ・・・それに・・・祭りには、お前の家族要るだろ・・・」
「まぁ一応、探せば運営本部にはうちの親が片付けの手伝いでいるだろうけど・・・ってまさか・・」
「会うに決まってんだろ。この日の為に菓子を用意したんだし・・・」
え~~~~~~これってその為に用意してくれたのか・・・
「だって、お前付き合ったのに一向に親に合わしてくれないんだからしょうがねぇだろ」
「だからと言って忙しいときに・・・」
「心配するな今日は、軽く挨拶するだけだからさ・・・ほら行こうぜ」
そう言うと乃希亜に無理に親に合わされた。
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