外伝 涼浦銀華のゼロからのスタート2

彼女は地元のバスから東北から離れ、受験の為に東京に向かう。着いた頃には夕方になっていた。東京は何度も言ったことがあり、そのたびに地元と比べての賑やかさで驚きを見せる。そしてそこに数年ぶりの親戚のおばさんと再会する。これから受験の期間中である二日間もそこでお世話になるのだ。




「よく来たねぇ銀華ちゃん大きくなったねぇ・・・」

「どうも・・・・・・」

軽く頭を下げ、車で下宿先に向かう。その親戚の家は、居酒屋のようで、彼女はその二階の空き部屋を使い店の人間の邪魔にならないように静かに勉強する。




そして受験当日その日は、空は曇空だったがニュースでは昼間から晴れをさしていたので、おばさんから傘を勧められたがそれを持って行かずに家に出た。

ギンカは途中まで学校に登校しなかったものの、担任からの教えもあってか地道に勉強をしていたので、一日目の筆記試験はなに事もなかった。




その日の受験終了後、ギンカは学校に出ようとするが、ニュースの天気予報は外れ、どしゃ降りだった。周囲の受験生はこのことを察してか、折りたたみ傘を用意していたので、ギンカは、油断をし、なぜ傘を持ってこなかったか後悔していた。




「(はぁ・・・・・・いつ止むんだろうか・・・)」

そうため息を吹きかけた時、隣から同じ受験生の男子も同じくギンカと同じく傘を持ってないらしく後悔していた顔をしていた。

ギンカはその顔をふと見ると、予想以上のいい顔つきだったのでしばらく見ていた。





「(この人、少し、カッコイイんだけど・・・・・もしかして、うちと同じく傘を忘れたのかな・・・」)

「はぁ・・・・・・・・ん?あんたも忘れたのか?」

「あ・・・・・・・・はい・・・・・そっちも・・」

「ああこっちも忘れた・・・けど、もう姉ちゃんに連絡したから迎いに来るはずだ・・・」



その後、会話は進まずただ雨がやまないかただただ曇天を見上げていた。

しばらくするとその隣の受験生のスマホから着信音を聞こえるのだが、それはギンカにとって聞きなれた、部屋越しから聞こえる忌々しい兄貴の部屋に聞こえるアニメいや・・・・・PCゲームの曲だった。

それを聞く途端、憎しみを込み上げていた。





『だからね~~~~~もっキュンと♡』

「あ・・・・・・もしもし・・・・・姉ちゃん?ああ・・・・・今下駄箱前にいるけど・・・・ああ・・・・・分かった切るぞ」

「・・・・・・」

「ん?どうした。なんか怖い顔をして・・・・・もしかしてその着信音か?」

なにやらその着信音を見ず知らずの女の子に聞かれたのか戸惑いを見せていた。





「それ・・・・・アニメ?」

「ん~~~~~~~違うかな。正確にはエロ・・・・・ゲかな?」

「は?」

「(うわ~~~~~~かなり怒ってるよ。やっぱうっかりマナーモードを解除したのが裏目に出てしまった。助けてくれ。我が妹のさだかちゃ~~~~~ん)」

受験生はわたふたとし、その拍子にスマホを立ち上げると、ゲームの女の子の待ち受けをしていたのをギンカはふと覗いてしまい、それと同時にこの男をあの兄と同じく軽蔑してた。






「(どいつもこいつも、なに、この萌えアニメ・・・・段々腹立ってきた・・・・)」

その不安を爆発させようと声を発しようとすると、誰か分からないがこの土砂降りの中傘を走りながらその隣の受験生に抱き着いてきた。





「おーーーーーいみーーーーーーやーーーーこ。愛してるぞーーーーーーー」だきっ

「げっ姉ちゃん・・・・苦しい」

「まったくお前は傘を忘れてどうしようもない奴だな~~~~~罰として、責任とりやがれ~~~~~」

「なんの責任だよ放せ・・・・」

抱き着いた女性は、高身長で見るからにモデル体型のプロモーションだったので、ギンカは憧れを見せていた。




「それでタクシーで来たんだよな」

「当たり前だ。我が弟の為に大事な撮影をほっぽり出してタクシーで来たぞ。感謝しろ。それからお前の為に傘をもう一本用意したが、お前はその傘と姉の相合傘のどっちがいいんだ?」

「断然後者でお願いする。いい年こいて姉と相合傘なんて御免だ」

そんな時、その受験生はふとギンカの方に目を向き、困り顔を見せ、その後渡された傘をギンカに渡そうとする。





「これ貸してやる」

「え?」

「この雨当分、やみそうにないからやるよ。なぁにうちの姉は現役モデルだから傘の一本や二本には困りはしねぇよ・・・・姉ちゃんそれでいいか?」

「私は一向にかまわないぞ。お前が入ればなにもいらない」

「・・・・・・・・」

姉の発言で彼は苦い顔を浮かべながらギンカの手に強く傘を握りしめようとする。

初めて同級生の男に手を触られたので自然と彼の事を意識してしまった。





「でも・・・・」

「いいから、素直に受け取れ、こっちは、仕方なく姉のブラコンに付き合うよ」

「とはいって本当は、姉とイチャイチャしたい癖に・・・・・このこの」

「うるせぇ!!!それよりベタベタするな。恥ずかしい!!!」

傍から見ると気持ち悪いと思う。姉弟の相合傘は目に余るものだった。




残されたギンカは渡された傘を広げこう呟いた。




「綺麗な人だったな~~~~~~確か、モデルをやってるって言ってたな。今度調べてみるか・・・・・後、その弟、顔に合わず、アニメ好きそうなのがアレだけど・・・・とてもいい人だった・・・・・この人なら裏切らないは・・・・・・って何考えてんだ・・・・・・・うち・・・・・・そんなはず・・・・ないし」

脳裏に先ほど出会った受験生の事を思い出すとふと顔が噴き出る程赤くなっていた・・・・・





その日以来ギンカにはあの二人はとても印象的になってしまい、ますますこの学校に受かって、あの受験生と一緒に高校生活を送りたいと次第に目標を抱き明日の面接を頑張ろうと張り切っていた。



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