有名人を探しましょう
翌日の早朝、天気は昨日の曇天と比べると極めて快晴でありそれが理由なのかいままで以上に暑く感じるこの日、俺は彼女である九頭竜そして樹、ざーさんと共に、早朝に合流し、電車を使い『幕クロ』のイベント会場である、最寄り駅まで一度乗り継ぎしながら向かう。その会場はとあるイベントホールにあり、電車乗りの時点でそのイベントに行きそうな雰囲気があるムサイ男達が気になりながらそいつらについていき、駅から会場まで数分程の近くなので道中の『幕クロ』イベント会場への案内板を見ながら歩いて向かい列に並ぶ。
そして時間は9時30分、イベント開始30分前、会場にはこれを目的とする人たちがすでにガヤガヤとし、会場内からのアナウンスと『幕クロ』のテーマ曲が同時に聞きながら猛暑の中、俺は、スマホ越しに睨みつく。その理由は、簡単な事だ。今日は公式イベント記念の為にソシャゲ版に、キャンペーンとして、今日ガチャ券三枚配布されるので俺は最後の賭けとして、狙いである芹沢鴨狙いでガチャを引く。
なんせ今日の正午1時まで、期間限定芹沢鴨が終了するからな。俺だけではなく今会場前にいる、今俺と同じようにスマホに睨んでいる奴も俺と同じことをしてるはずだ。俺は僅かな望みを信じて今日貰った三枚を全て捧げる事にした。
「こいこい・・・・・・・・・・・・外れたーーーーーーーーー!!!!!」
ビクッ!
「大河お前ただでさえうるせぇのに、いきなり声上げんじゃねぇよ!!!!!」
いかん。つい本音が爆発して九頭竜に怒られたが、その分隣にいた九頭竜がビクッと飛び跳ねたリアクションが見れたからいいか。
「すまん・・・」
「みゃこ、まだ手に入らないのかよ。今日の正午で限定ガチャ終わるぞ・・・」
「うるせぇよ・・・・・分かってんだよこんなことは・・・・けどこれ以上は課金するしか・・・・けどそれはしたくない・・・どうすれば・・・」
「アハハハハ大変だね~~~~~」
「ざーさん笑ってるお前はどうなんだよ。お前も鴨さん手に入れてないだろ?」
「確かにハマってるけど流石に課金するまではいかないと思うよ。だってこういうソシャゲって1万で可愛い女の子が出るけどそれでも水着とかいろんなコスプレするけど結局脱いでHしないよね。さすがにそれはもったいないと思うよ。同じ一万出すならヒロインがみだらな姿でよがり狂うエロゲを買った方が得だよ」
今馬鹿にして笑っているこいつに対〇忍のソシャゲを勧めたい。ムッツリで煩悩まみれのこいつなら押しキャラの凌辱シーンに何万も課金するはずだ。俺はその本能を抑えようとする。
「まぁ落ち着けよ。もし手にれなくても、その分鴨さんのグッズを買いあさればいいじゃねぇか」
「そうだな・・・・」
確か今日の二日目から鴨さんのグッズが追加で入荷されるんだったな?人混みの中潜り抜けるのは嫌だけどボーとしてたら一瞬で完売の恐れがあるから入れるようになったらそく突っ込む。樹の調べでは販売コーナーの場所は頭に入っているからアメフト選手並みに押しのけて買ってやるぞ。
ブルルルルルルルルルルル
「すまん電話だ・・・・・・・・なんだ?オッサンじゃねぇか?どうした・・・・・・・・・・・ああ?それは本当か?・・・・・・・・分かった俺も探してみる・・・ちっめんどくせぇな」
イベント開始十分前、九頭竜は突如の着信でスマホをとる。どうやら相手は叔父の松村さんかららしいけど見る感じなんか深刻な顔をしてるぞ・・・・
そして話が終わるともう一度舌打ちしながら俺達に言う。
「悪い。ちょっと用事思い出したからちょっと抜けるわ」
「ちょっと九頭竜さん?もうすぐ始まるよ!?」
「九頭竜!?すまんざーさん俺もちょっと向かうわ」
「みゃこ!!!お前もか!!!」
九頭竜の突如の急用で俺らにそう言い残して走り去り、彼氏である俺はなにがあっ
たのか気になってしまい自然と足を踏み入れ九頭竜の後を追いかけ九頭竜の後を追いかけ、俺の声をが届くと立ち止まった。
「おい、待てよ九頭竜なにがあったんだよ!!!」
「くそっなんでお前ついてくるんだよ。別に大した用事じゃねぇよ・・・・」
「大した用事かどうかは話を聞いてから判断する」
「・・・・・・・分かったよ。ちょっとこっちこい・・・」
彼女は周囲を気にしつつ、人目がない場所に移して説明する。
「・・・・・・・・一応聞くけどお前公方寧々って知ってるよな?」
「ああ・・・・有名なアイドル声優で今日のイベントにスペシャルゲストで来るんだよな・・・・・・確か、その公方寧々ってお前んとこの同じ事務所に所属してたよな?」
「そこまで知ってるのならいい・・・・オレも仕事上やプライベートを含めてあまり関りがないからな・・・」
「で、それがなんだよ・・・・」
「実はよ先ほどオッサンから電話がかかってきてその公方がここに向かうときの駅で、会場を向かう前にトイレが行きたいと行ってからしばらく帰ってこないんだよ・・・・電話をいくらかけたりしても音沙汰ないから応援を頼んでいるんだよ」
「は・・・・それ一大事じゃ・・・・」
マジかよ・・・・確か公方寧々のスペシャルトークショーが始まるのは11時で今、スマホを見ると10時前・・・・・後1時間ちょいで探さないといけないなんて、とんだアクシデントだな。
公方寧々って声優界だけではなく一般にもそこそこ名を知られてるから、誘拐とかありそうなんだよなぁ。もしそうだとしたら、下手したら今のイベント中止にもなりかねないぞ・・・・
「今オレ達が来た駅にはすでに事務所の人間が来てんから、恐らく間違って乗車してるかも知れねぇ!!!だからオレは一つ、二つ先の駅をこれからタクシーを使って探すつもりだ・・・・だからお前は・・・・」
「オレも行くぞ・・・・二人で探すより別々で探した方が効率がいい、スマンけどもう一台タクシーを呼んでくれ・・・」
「おい余計な事をすんな。これは事務所の問題だ」
「ここは乗り掛かった舟だ。彼女が困ってんのが俺の務めだ。早く探して、みんなでイベントを見回ろうぜ・・・・」
「すまん・・・・」
九頭竜は頭を下げもう一台タクシーを手配し、行き場までの料金を事前に払ってもらって、俺は別行動で、今の駅より二つ先の駅に向かうことにした。
タクシーで向かう事15分経過しすでにイベントが始まってる時間帯、タクシーから降り、俺は指定された場所である秋原駅にに立つ。容姿については事前に九頭竜から送ってきてくれたのでそれを頼りに探すのだが、公方寧々は一有名人だから目立たない為に返送してる可能性がある。だから俺はとりあえず不審者っぽい人物を探す。
その時、ちょうどいいタイミングで不審者っぽい人間に出くわす。
それは金髪でリュックサックを背負った外国人ともう一人はクソ暑いのも関わらずマスクとサングラスと夏にしては暑そうに服を重ねて着ている人物がひと悶着を起こしてるようだ。
「オーーーーーーーーー!!!!!マイガール!!!!アキバはここですかーーーーーー。ネットでミタステーションとはマッタク違うのデーーーースが?」
「・・・・・・・電車あまり乗ったことないから間違った所に来てしまったわ・・・・」
外国人の方はいわゆるオタクらしくそのリュックからアニメのポスターやキャラ物のグッズをつけてより極めつけは対〇忍の○○顔シーンをカラープリントしたオリジナルのTシャツを着こんでいて絶対におまわりさんに職質されそうなファッションだった。見るからに関わりたくはない雰囲気を漂っているが勇気を出して声をかける。
「Excuseme?」
「Watts?」
「いやいや・・・・ユーだユーだ。そこのマスクの人だ。貴方はもしかして公方寧々さんですかね?」
とりあえずまずは日本語で質問する。するとそのマスクの人は、俺の問いに素直に応じ大胆にもここでマスクとサングラスを外し、長い髪を揺らす。するとあのアイドル声優の特徴である左目付近に輝く泣きほくろが二点がみえる。まさか開始早々見つけるとは・・・・
「そう、わたしが公方寧々だけど、貴方わたしのファンそれともストーカー?」
テレビで見た明るい性格とはイメージが変わり、オフだと無表情で他人に興味を持ちそうな感じではなく物静かなというより暗めな印象があった。
彼女はそう質問するとポケットから酢昆布らしいものを一口かじって俺に疑いの目を見せていた。
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