今日は七夕なのに空は真っ黒です
テスト勉強を終えてからの翌日の土曜日、今日は世間で言う七夕なのだが、この日は曇天の為、夜空は雲で濁りを見せていた。まぁ曇りだけで雨は降らなかったのは助かったけどな・・・
その日は、テスト期間で休んでしまったのでその分を今日一日をシフトに回すことにした。一週間ぶりのバイトであったためいつもより疲れを感じてる気がした。
時間はすでに夜の9時台、バイトの時間が終了し早速同じシフト時間帯で働いたざーさんに声をかけられる。
「お疲れ~~~~~~大河君私着替えるから待ってってよ」
「おう、分かった」
俺は早めに着替えざーさんの着替えを待つために店の裏で待ち合流し、彼女はいつもバイト通勤は自転車通勤なのに今日は、用意していない。なんでも今日は父親にバイト先に送ってもらってたようだ。なぜざーさんが今日は自転車通勤ではないかというと、以前ざーさんの計画で涼浦の和解計画が失敗に終わりざーさんのオンボロ自転車を持って帰ってしまった為に、今日はそれを返しに行く予定だ。その間はテスト期間とか忙しくて回収する暇がなくて今日は、これから九頭竜の家に向かい、自転車回収と同時に明日ある『幕末クロニクル』の夏イベントの為の準備の為に三人で打ち合わせするのだ。
その為であってかざーさんの手さげ荷物がなにかこんもりしているので非常に怪しく感じそれがなんなのか聞こうとしたが案の定、九頭竜の家に着くまでは教えてくれなかった。
ちなみに樹は今日すでに一日目に参加しており、マジかでそのゲームの声優トークやサイン会も始まり、その報告がLINEにて逐一報告して、樹がはしゃぎながらグッズを買いあさりながら元祖『幕末クロニクル』のメインヒロインである坂本龍馬ちゃん役のベテラン声優とのツーショットとサインを貰って大はしゃぎだった。
まったく一人で言ったのに画面越しににじみ出てくる浮かれよう。この光景を学校の奴に見られたらこいつ死ぬな・・・・・と思った。
そして樹の情報によると、明日の二日目は、今日よりも一足が来るようで、一層騒がしくなるようだ。それもそのはず二日目はソシャゲ版のゲーム最新情報とメインである『幕末クロニクル』の最新主題歌を歌うことになった今人気のアイドル声優の公方寧々がトークショーに参加するから明日はマジで大変な感じがするぞ・・・・
「九頭竜、入るぞ~~~~~」
「お邪魔しまーーーーす」
「お・・・・・・おう入れよ」
俺は頭のうちにある不安感を感じながら九頭竜の家につき、九頭竜の家にお邪魔する。この日の九頭竜は声優の仕事が無いため家でずっと家でいたらしく様子も今日の曇り空と同じく少し浮かない感じをしていた。もしかしてざーさんが一緒にいるから少し暗めなのかな。
それを早速察したざーさんはなんだか申し訳なさそうな顔をしながら九頭竜の部屋に入り打ち合わせをする。っていうかそもそもそんな打ち合わせ必要なのか?ざーさんの提案であったためなにも言わなかったけど俺にはなぜかその裏になにかあるのだと感じてならないのだ。
「・・・・・・・・・まぁ持ってくものは・・・とりあえずこれでいいかな」
「うん・・・・明日は今日と違って晴れるからな・・・・・そろそろ帰ろうぜ」
打ちあわせは意外にも早く10分もしないうちに早くきりあげた。俺はその打ち合わせの事を今日下見に行った樹にメールで知らせ、納得がいったので俺は帰ろうと立ち上がった。だがその時九頭竜に止められた。
「大河・・・・帰る前にいいけどよ・・・・ちょっと待ってくれないか・・・」
「なんだよ。突然・・・・」
「まぁまぁそう警戒しないでよ。とりあえずこれからが本題だから・・・・大河君はそこで待ってて」
その後ざーさんは見るからに怪しい顔をしさっきからずっと気になった荷物と一緒に別の部屋に向かう。俺は言われた通りに待ちしばらくするとざーさんが戻ってきて、後から九頭竜がついてくるがその姿に言葉を失った・・・・
「九頭竜?お前なんなんだよそのカッコは・・・・」
「どうだ大河・・・・・・これ、お前が着せたかったやつだろ?う・・・・・・嬉しいだろ?」
それは俺がいつか心待ちしていた九頭竜の巫女服なのだが、それは俺が知ってる巫女服とは遠く及んでいた。なぜならその衣類は九頭竜の体形とはサイズが明らかに違くて、その服装を無理やり着込んだせいか、生地が少ないく、長袴が完全にミニスカくらいの短さになっているがこれよりもヤバイのが上半身で、特に胸部分が九頭竜の巨乳のせいでぎゅうぎゅうになっており胸元から谷間が露出され少しでも衝撃を受けるとこぼれそうなくらい危険な状態になっているのであいつは恥じらいの顔で片手で胸を上から抑え支えようとしていた。
「く・・・・九頭竜・・・お前してんだよ」
「おい、なんで喜ばないんだよ・・・・・花沢から聞いたぞ。お前こういうエッチな服装が好きなんだろ?だからこんな短いやつでも頑張ったんだよ・・・」
「・・・・・・・・・」ジロリ
「ムフフフフフフフフフフ」
俺は隣でオッサンのようないやらしい顔をするざーさんに目に入れ、睨む。クソやっぱりこいつの仕業かーーーーーーーー
っと言うか・・・・最近九頭竜のキャラ崩壊が止まらないぞ。俺に尽くすのは、推しにとっては歓喜なのだが、流石にやりすぎだ・・・・
「おい、花沢、大河全然喜んでないぞ。どうなってんだ!?」
「ん~~~~~~~オカシイな~~~~~この年頃の男は発情猿並みにお盛んなのに思ったより静かだね~~~~~~~エロゲ主人公なら一気に欲望が爆発して〇交パーティーになるのに・・・・」
「乱・・・・・・・!!!!ふざけんな!!!!!大河はオレのものだお前にはやらねぇぞ!!!」
「アハハハハ!!!冗談だって、私は離れた場所で、見てるから・・・・」
見てるからってなんだよ?H脳のお前の事だから、ピーーー的な事をやるつもりだろ。
「お前、その言葉だとオレと大河がHな行為をしてるとこを楽しみにしてる風に聞こえてるんだが、悪いけどオレは大河とはしばらくはそんなことはしない。慎重な恋愛がしたいんだ」
「九頭竜・・・・・・その言葉説得力がないんだが・・・・」
「くそ・・・・・・ち・・・・ちげぇよ・・・・これはだな。お前に喜ぶ為に見せてるだけだ。別にそのカッコで襲おうとしないぞ・・・」
ざーさんがいるから言えないけど、それだけではなく、お前は俺に胸を触らそうと迫ってただろ。恋してると矛盾してるっていうか、うっかりが多いと言うか・・・・むしろそのギャップがいいんだけど・・・・・
「すーーーーはーーーー花沢。せっかくいろんなものを持ってきたのは悪いけどお前が持って来たものだけでいい。あと例のものを・・・それならあいつは満足してくれるだろ」
「そっか・・・・・分かった。じゃあもう一度着替えようか・・・・」
「ああ・・・・」
九頭竜は落ち着きを取り戻し再び二人は別所に向かい、そして一足先にざーさんが来る。
「おい、今度は大丈夫だろうな?」
「大丈夫大丈夫。さっきのは前に九頭竜さんに渡したものだからこれからが本命だよ?」
「どういうことだ?」
頭に?マークを浮かべながらざーさんは話を続ける。
「さっきのあれはね・・・以前九頭竜さんが体格に合わなかった巫女服で、九頭竜さんが文句言ってたから、今度は伸長して、倉庫で古くて使わなかったものが丁度九頭竜さんにあったサイズに合ってたから改めて今日は持って来たよ。しかもサプライズつきで・・・」
「それってつまり・・・・」
「おい・・・・・・着替えたぞ」
ざーさんが途中で言いかけると扉越しから九頭竜の声が聞こえる。俺は返事をすると扉を開け・・・・姿を見せる・・・・
それは先ほどのエロ巫女服とは違い、今度は何一つ露出が少ない巫女服で、それだけではなく彼女の美しい金髪は黒髪になっていた。
最初はそれに驚いたのだが、後ろからチラチラと見えてる金髪が見えたので、どうやら地毛の金髪を丸めて、黒髪のカツラを被ったのが理解できた。
先ほどよりも露出も魅力もなく地味な感じなのだが、顔つきはおっとりとした風貌になっており、完全にギャルゲの巫女っ子ヒロインに居そうな感じだった。
雰囲気的に合ってたので自然と本音がこぼれる・・・・
「似合ってるぞ・・・・」
「ほ・・・・・・本当か・・・・良かったーーーーー」
「うんうん、やっぱこの日にして正解だったね。今日は七夕だから丁度いいよ」
「あ・・・・・・」
そっか今日は7月7日の七夕だったな・・・・曇天で空に煌めく天の川は見られないけど、たまには部屋の中での星のない天体観測も悪くないな・・・・・
「どう?九頭竜さん気に入ってくれた?」
「ああ・・・・大河が喜んでるのならいい。これなら明日のイベントでも10分くらいなら我慢して出れるかも・・・・」
「は・・・・・どういうことだ?まさかこのままの姿で参加するのか?」
「当たり前だよ。だってこういうオタクが参加するイベントではコスプレしないと変に思われるでしょ?私だって少し恥ずかしいけど、ひそかに作った、坂本龍馬ちゃんのコスプレ衣装を明日見せようと思うから・・・・二人なら怖くはないでしょ・・・・・・」
「ああ・・・・・・なんせオタクのイベントに参加する女の子はみんなコスプレしなければならないらしいからな・・・・・本当は行きたくないが・・・・・大河と一緒に行くのならしょうがねぇ・・・・」
こ・・・・・・・・こいつら・・・コミケ的なものと勘違いしてるのか・・・・・っていうかコミケでも女の子は必ずしもコスプレしなければならないってルールはないから・・・・・
俺は感情が高ぶり、激高する!!!!!
「んなわけないだろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
二人には間違った知識を治しざーさんは改めて預かってた自転車を持って帰りいよいよ明日、俺は来たるその日について早めに寝た。
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