テスト前日です。おにいちゃん、身体壊さないでね

テストもいよいよ明日になった火曜日の放課後樹と那智田はどうやら今日も昨日と同じように勉強をしようと一緒に教室に出かけようとしてるのが見える。俺はその光景に安心を持つことにする。まぁ普通に勉強してるだけで進展はないとしても、樹が勉強にやる気を持っていくだけでそれでいいのだ。



ちなみに九頭竜はテスト前日なのにも関わらず、最近声をかけられるようになったアニメオタクの女子グループに自作で作ったテストに出るであろう予想問を渡し前日にも関わらず、所属事務所にて雑務のバイトに向かったようだ。


で、残った俺は昨日と同じように宗介と明日に向けての仕上げの為に教室で勉強をする。明日のテストは数学、理科、家庭科なので数学を重点に教えることにする。

宗介も最初は数学に苦戦していたが飲み込みが良くなってるからこれなら明日はそこそこいけそうな点数は取れそうだぞ。





ひそひそ

ジロ

キャー


う・・・・・昨日と同じように脳内腐女子の女性が俺達のカップリングを想像しながらひそひそと話しながらこちらを見てるんだけど・・・・

宗介は真面目で勉強してるからそれに気づかないのはいいけど教える側の俺としたら少しそれがウザく感じてしまう。ここより近場のファミレスに移ってやった方が良いいのではと考えたが、これくらいの雑音は支障になることではないので腐女子の声はラジオから流れる雑音だと思い終始無視することにした。








そして日が暮れる頃まで勉強を終え宗介と別れ、自宅のマンションに戻りいつものように先に帰ってるであろうブラコンに帰った事を声をかける。どうせ今日もいつものように変にセクハラ的な誘惑をしそうだから軽く流すして最後の追い込みでさくっと飯食って風呂入った後に勉強するかと思った瞬間、予想しない展開が起こる。




「ただいま・・・・ってなんだその恰好は・・・・・」

「おっ我が弟・・・・・・・いや、都帰ってきて嬉しいぞキラキラリーン☆」

「・・・・・・・」

俺が帰ってくるの感じるとうちの姉はなぜかクソ暑い夏場の時期に必ず冷房が必須な程の都内マンションにて高校時代の冬服を着こなし、ひと昔前女子高生に流行ったされるテヘペロなポーズを実の弟に見せて迎えてくるのだ。

うわ・・・・・・・きつっ

この奇天烈な恰好は今すぐインスタに投稿すればMicuniファンは反響を呼び一夜にしてネットの話題になるのかもしれないが、弟である俺にとっては引きこもりになりそうな姉の痴態を目の当たりをした瞬間であった。





「どうだ都懐かしいだろ私の時の制服は?いやーーーーー帰った後結構探した結構方がこったよ・・・・まさか押し入れの奥にしまうなんて・・・・・あっ心配しなくてもちゃんと飯は出来てるからな・・・」

姉はそう威張りながら胸を揺らした。高校ぶりの制服で姉がその間成長したせいか生地がパツンパツンな状態なので、白長袖は胸がきついせいか第二ボタンまではしてなく、ブレザーのボタンは今でもちぎれそうなくらい窮屈だった。




「もしかして新手のプレイかなにかなのか・・・・・悪いけど明日はテストなんだから突っ込む元気はないから・・・・」

「ちょっと待て。勝手に通り過ぎるな・・・・これには訳がある・・・」

さらっと姉を冷たく通り過ぎると、半泣きの状態でこっちを見てるのでとりあえず話を聞くことにした。

その理由はこの前姉ちゃんが言ってた深夜ドラマの撮影が今日からやることになり、姉ちゃんは生徒役をやるからその役を完全になりきるように家でも制服姿になって、かつて忘れていた女子高生の感覚を呼び覚まして役になりきろうとしているようだ。ちなみに今日の撮影はチョイ役で目立った演技はしてないらしく次回から姉ちゃんからの演技指導が始まるようだ。



っていうかそれを一任した監督を含むスタッフ一同、アンタら正気か?いくら視聴率を取るとはいえ、高校生をとうの昔に卒業した現役モデルにキャストインにするのは無理があり過ぎだろ?ファン、メディア関係は大喜びするが身内がそれを見ると複雑な気持ちになるぞ・・・せめて、キャスト入りにするには適当に二十歳前のあまり売れない声優かモデルにしとけ。もしかしたら金の卵を発掘するかもしれないぞ・・・







「どうだ。我が弟よ?せっかくの姉の制服姿だから嬉しいはずだろう?」

なんで当の本人は嬉しいんだよ?少しは羞恥心を覚えろよ。後のアンタの行動が黒歴史になるかも知れないぞ?




「っというかコレ本当に大丈夫なのか?もしこのドラマを放送するとして内々定の職場に内定取り消しとなったら・・・」

「それは心配しないでくれ。先ほど内定先から宣伝目的で思いっきりやってくれと言ってくれたそうだ。いやーーーーーー内々定が某有名な出版社で良かったぞーーーーー」

「マジかよ・・・・」

俺はさらにガクッと肩を落とした・・・・姉の内々定先は知る人は知る某出版社なのだが、まさかそれをOKするとは・・・・・姉はとんでもない会社に就職した二ではないかと内心心配に思ってしまうぞ。





「あ、そうだ。今日ドラマ、公方寧々と共演したから、これはお土産だ。宗介と樹に渡してくれ」

「ああ、ありがと」

姉ちゃんは紙袋から俺達三人分の公方寧々のサイン入りの新曲CDを渡した。




「で、姉ちゃん公方寧々はどうだった?なんか樹が姉ちゃんと共演すると聞いたらうるさく聞いててさ・・・」

「まぁ一応いい子だったよ。入ってきた出演者やスタッフに積極的に挨拶するんだけど・・・・ただ」

「ただ・・・・・」

「なんか近寄りがたいような雰囲気を放ってくるんだよなぁ。休憩時間でも同年代の子の話の枠に入れずいつも一人でスマホをいじってたな。マネージャーさんから聞いても、うちの子はいつもああなんですって言うし・・・・・なんか高校生にしては妙に大人びた子だったよ」

「へーーーーーーーー」

俺も直にその子を見たことは無いけど、画面越しだとそのままのクールビューティな印象があって人とはあまり積極的に話す感じには見えないからな・・・まぁ見た目通りか・・・・でも声優の仕事では裏腹に明るいメインヒロインの役が多いんだよな・・・・

まぁ平凡な俺にとっては直接会うイベントなんてないからどうでもいいけどな・・・





その後は、いつものように夕食を食べ、風呂を入った後、軽く勉強し早めに寝ることにし、翌日期末テストの一日目が始まる。





「オッス・・・・・みゃこ・・・・おはよう・・・」

「おう・・・・・樹結構お疲れだな・・・・那智田との勉強はどうだった?」

「ああ・・・・・普通だよ。けどさ・・・・慣れない勉強をやってたせいか昨日家に帰った後そく寝てしまったんだよ。どうしよう家ではあまり勉強してねぇ・・・」

来て早々、顔面蒼白でテストに不安を見せる樹に昨日姉ちゃんに渡されたCDを渡すことにした。

渡す前は死人同然の姿だったのに気合入れたかのように奮起を見せ今からでも間に合わせようと必死にテスト範囲のページを凝視して熱く呟いた。





「命燃やすぜ!!!」

どうでもいいけどそのセリフ死亡フラグだぞ。





俺はそう思いつつもこれから始まる三日間のテスト地獄を味わうことになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る