おねえちゃんはこれでも一生懸命です

その日の夕方、俺は、駅に着き自宅のマンションに帰る前にスーパーにて、特売セールが始まるので目当ての品を買いながら今夜の夕食を考える。その理由は、最近姉ちゃんは仕事の都合で帰りが遅くなるのが多いから朝だけではなく夕方も俺が作るのが多いのだ。

うん・・・・どうやら今日はモヤシと豚レバーが安いからレバニラ炒めにして後は適当に刺身でも買うことにするか・・・・





そして俺はマンションにさっそくご飯を炊く準備をし、スマホのレシピを見ながら作ることにする。正直レバニラは姉から作り方は教えて貰ってないからこれで見よう見まねでやるつもりだ。

といってもレシピ通りでやったのであまり自信がなく、味もいまいちだがテスト期間だから研究する余裕がないからこれでいいだろう。

そう思い俺は、出来た料理をタッパーに入れ、姉ちゃんと一緒に食べる為に、その間今日の小テストでつまずいた点を復習したりと本格的にテスト勉強にはかどりながら姉の帰りを待つ。



途中腹の虫が鳴り響くが買い物のついでに買ったスナック菓子で空腹を満たしながらすごし姉が帰った時にはすでに10時を過ぎていた。





「ただいま~~~~~~~わりぃな。撮影が予想以上に長引いてしまった。すまんなわたしの為にご飯待ってくれて」

「いや、俺だってバイトとかで遅くなったりしてこの時間に帰るんだからおあいこだ」

「都。お前は本当に出来た弟だ。よし今すぐわたしと結婚するか、一緒に寝るかどっちか選ばしてやる。勿論拒否権はなしだ!!!!」

「なにふざけたこと言ってんだよ。そんなバカなこと言ってないで手を洗って風呂に入ってくれよそれまでに準備するからさ・・・」

「なら久々に一緒に入るか?我が弟の成長した身体が見たいし・・・・」

「ふざけたこと言ってないでサッサと風呂に入れ、変態ブラコン!!!次何か言ったら晩飯抜きにするぞ」





姉のブラコン発言につっこみを入れながらも風呂に入ってる間にご飯を温めたりと準備をし、姉ちゃんが風呂を上がった直後に少し遅い夕食をする。


今回の俺が作った夕食は、喜んで食べており、さらにおいしくできるようにとこまめな味付けなどを教えてくれたので次レバニラを作る時は最高の結果を残したいと思った。




そして機嫌がよくなった姉ちゃんは今日の撮影についていろいろ話してくれた。

なんでもうちの姉ちゃんは深夜であるが近々ドラマに出るらしく、主演が九頭竜と同じ声優事務所の今話題沸騰とされるアイドル声優の公方寧々くぼうねねと共演するようらしい。

まぁ内容とかはさすがに教えてくれないが、それでもうちの姉が雑誌だけではなくテレビに出るなんてさすがに凄いと思った・・・・けど俺的にはある不安が残る。





「姉ちゃん・・・・それはいいけどさ、最近ドラマとか撮影とか忙しいけどさ・・・その上、勉強をして大丈夫か?俺的には少しは、面接を減らしたりした方が・・・」

「ああ・・・・それは心配するな。飯が終わった後やるつもりだ」

そう元気にふるまってるが披露してるのが見て取れている。

なんせ姉ちゃんは、就職の内々定を取ったのも関わらずしかもモデルの仕事に加え、保険の為に就職の面接や資格を取る為に資格試験を次々と受けているのだ。

しかもその影響か、帰りも今のように遅く睡眠も二、三時間しか睡眠をとってないらしくその状態にも関わらず涼浦とかの遊び仲間の約束を断ることなくこなすなんて超人しか言えないだろう。




「心配するな。明日は珍しく外での予定はないから明後日の資格試験は集中してやれるはずだ。なんせ最近面接や撮影や授業とかでハードでそれの試験勉強は殆どやってないから明日まで挽回できるだろ。せっかくの休み弟とイチャイチャできないのはしょうがないが時期が時期だけあってしょうがない」

姉ちゃんはガッカリしビールを一気飲みした。

そしてその後は、疲れを癒す為にすぐに寝ていた。どうやら明後日の資格試験は明日に向けてひたすらやり続けるだろう。

俺も期末は頑張らないとな・・・・・そう思うと気合を入れ片付けをした後、とりあえずもう少し勉強した後眠りについた。






そしてその翌日俺は目を覚める。今日は土曜日か。トイレがてらに姉ちゃんの部屋を覗くとすでに勉強をしていたのが見えた。

まったくこの調子が続くと絶対に潰れるぞ・・・・

まぁうちの姉は部屋が汚く、喧嘩早く、大雑把に見えるがこれでも将来の事はキチンと考えており、安定した仕事をつける為に苦労を惜しまなくひたむきに努力してるから、そこが魅かれ合うんだよな・・・・・・ブラコンは論外だけど・・・






ピンポーン

チャイムが何度かなり、姉ちゃんは勉強に集中してるので俺はすぐに着替え玄関を開ける。するとそこには、女の子らしく可愛くコーディネートされていた九頭竜が学生カバンを片手に慣れない女物の服に恥ずかしく頬を赤らめながら出向いてくれた。






「よぉ・・・・・大河・・」

「九頭竜どうしたんだよ」

「ど・・・・・・どうしたって決まってんだろ?昨日お前との勉強を断ったからその穴埋めとして一緒に勉強をしようと思ったんだよ・・・・・・・わ・・・・・悪い・・・かよ」

九頭竜は恥ずかしそうに緊張し声がこわばりながらも頑張って思いを伝えようとしていた。





「それにしてもこの服装どうしたんだよ・・・・可愛いぞ・・・・・」

「うるせぇな・・・・那智田とかがな・・・・このファッションが流行りって言ってたからそれに便乗して買ったんだよ。別に・・・・お前の為に着たんじゃないからな・・・・」

「ああ・・・・・それじゃ上がれよ」

ツンデレありがとう。俺はすっごく嬉しいよ。最愛な彼女がこんな服を着てくれるなんて・・・さてとどう褒めようかな・・・・・ゾクッ




あれなんか寒気が・・・・・俺は恐る恐る背後を見ると姉ちゃんがホラー映画張りに恨めしそうにドアの間から嫉妬の眼差しを向けているんだけど・・・





「あのチンピラ・・・・・・うちの弟になにちょっかい出してんだ・・・・・」

「おい・・・・・お前の姉貴がこっちをすごい形相で見てるんだけど・・・・大丈夫だよな?」

「ああ・・・・うちの姉はなんやかんやでお前の事は認めてるからちょっかいは出さないだろう」

「グルルルルルルルルル・・・・」

「・・・・・・・・たぶん」


まずその野獣のような警戒心を感じながらうめき声は出さないで普通に文句があるならそれを言ってくれ。



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