九頭竜さんは頭いいです

期末テスト発表された二日後の金曜日俺達のクラスの授業内容は1時間目現国小テスト、2時間目理科小テスト、3時間目英語小テストという三時間も渡る模擬期末テストを受けることになった。テスト期間だからと言って小テストをするのは分かるのだがそれを事前に報告せずにやるという事が今クラスが不満の声を上げていた。


樹やざーさんはあまり成績が良くないからやる前に放心状態で、俺もまだ苦手があるところを運悪く当たっていて散々だった。




そして三限目後の休み時間改めて俺はそのテスト三教科を広げる・・・

現国63、理科84、社会79・・・・・

「くそっ・・・・もっと頑張らなければいけないな」

「ふざけんな。この高得点とってガッカリしてんだよ。お前は進〇ゼミ始める前の主人公か・・・・」

「宗介か・・・お前達はどうだった」

「無視すんなよ!!!ここグループで唯一のアイドルの樹たそだぞ!!!」

すまないがお前みたいな暑苦しいブ男がアイドル面には見えないな。どちらかと言えば宗介に一票入れるわ。





「僕も三教科共半分がやっとだよ。樹はどうなの」

「ふっ。俺は余裕だ。なんせ三教科合計が術式レベル100《ハンドレット》だからな・・・・」

「確実に赤点だろ。お前の点数はノーサンキュだ。よく誇って言えるもんだ」

「うるせぇな・・・・俺だってテスト期間は『幕クロ』進めたり、寧々様の声優ラジオ聞いたりエロゲやったり深夜アニメ一気見したり忙しいんだぞ」

「それほぼ遊んでるよね・・・やる気あるのかな・・・」

「お前このままだと地獄を見るぞ。どれ・・・前の中間みたいにこの三人で勉強やろうぜ」

「うん。思えばこの三人で一番都が頭いいし今までだって一緒に勉強したからそこそこいい点取れたから今回もやろうよ」

「おお・・・・・それはいいな・・・・・」






「だが断る」

なんで決まった感じでそんな顔してんだ?



「この木野原樹がもっとも嫌いな事のひとつは彼女がいる友人に勉強を教えることだ!!!」

「お前その名言と今の状況を考えろよ」

「うるさい。俺はお前のような裏切り者に教える程、器は小さくないわ」

「嫉妬かよ。見苦しいな」フッ

「おい、今さらりと、顔がにやけているぞ・・・」

「まぁまぁ樹落ち着きなよ」

「宗介お前もいい加減目を覚ませ。こいつが九頭竜と彼女が出来てから俺達の誘いを断ってるじゃないか。挙句の果てにお互い隣の席をいいことに授業中に机くっつかせて教師が目を放してる時にイチャイチャしてるだろうが!!」

う・・・・・・やっぱりあの光景クラスの奴らに見られたか・・・

おもっくそ恥ずかしい。



「別にいいんじゃないのかな?僕も確かに寂しいけど、都が今まで以上に笑顔になるのはいいことだよ・・・・」

「ぐぬぬぬぬぬ・・・・・・と・・・・・・とにかく俺は認めんぞ。お前が頭を下げるまで口は聞かん。せいぜい頭が悪い問題児の九頭竜に勉強を教えるがいいさ。ははははははは」

「あ?てめぇ・・・・誰が頭が悪いって?」

「へ・・・・」

あの馬鹿九頭竜が普通に自分の席に座ってるのを気づかずに暴言言いやがった。

俺は知らんぞ・・・・





「く・・・・九頭竜・・・・お前いたのか・・・・」

「ちっお前さっきから聞いてみれば好き勝手に言いやがって・・覚悟はできてんだろうな・・・」

「樹、謝りなよ・・・」

「う・・・・・やめ・・・」

「九頭竜?」

九頭竜は大きく音を立てて殴りかかる勢いで突っかかってきて樹はその勢いでたじろいている。そして九頭竜は大きく手を振り上げて小テストの答案を見せており、その点数はどれも満点に近い程の高得点だった。




「頭がそうで悪かったな・・・・お前にこの点数以上とれんのか?」

「くそーーーーーーーー覚えてろよーーーーーーー」

「樹待ってよーーーーー」

その正解だらけの答案を見て樹はべそをかき廊下に走り去って樹はそれを追っていた・・・

樹、お前は九頭竜が強烈なヤンキーキャラで忘れてるけど、俺の彼女は授業はサボるけどすごく頭がいいんだぞ。

その証拠に・・・・九頭竜の後ろに少し大人しめの女子グループが話しかけてきた。




「ねぇ・・・・九頭竜さん、さっき木野原が泣いて叫んでったけどなにかした?」

「なんもねぇよ・・・・あいつが勝手に自爆しただけだ・・・それよりなにか分からないことがあんのか?」

「う・・・・・・うん、さっきのテスト、ちょっと悪かったから、どう克服したらいいかなって・・・」

「分かった・・・・・ちょっとこい教えてやる」

九頭竜は知らぬ間に、女子に声をかけられるようになって、友人ができるようになった。そのグループは涼浦のグループより下の内気で大人しそうでアニメとかが好きなオタクのグループだった。



なぜそのグループと九頭竜が仲良く普通に話せれたのは・・・・・・・大半が立野のお陰だ。

あいつはざーさん経由で九頭竜とは正式に友達になったのだが、それでも立野はクラスの裏の女王である涼浦のグループなので、九頭竜と涼浦は衝突しそうな事を予想していた。

まぁその失敗例がざーさんが涼浦と九頭竜を協力して掃除させようとする作戦だったが、それはそれで失敗しても別に良かったと言える。




もし、鈴浦と未だに対立して仲良くなれなければ別のグループを探せばいいことだ。

現に立野が根回しをして事前にその仲がいいオタク女子女子の一人に九頭竜さんと友達を紹介することを進めた。無論その女子は九頭竜の評判の悪さを知ってたので首を縦に振らなかったが・・・

九頭竜も俺と出会ってヤンキーの道を脱したのか本気で友達が作りたいと思い努力をした。



まずその女子達は日常アニメや声優ファンがいるので、九頭竜は隠れエロゲ声優なので、事務所で耳にした有名男性声優の意外な一面などをす話すことで話題になり距離を縮め信用を得るようにした。




その結果その女子が苦手なことや進路に不安とかの悩みを聞き出して勉強を丁寧に教えるようになった。その結果最初は話してるたびにビクついていたが徐々に慣れて、短期間ながらも今では九頭竜とは前と比べて恐れずに普通に話せることができ、一緒に帰ってお茶をするくらいに親しくなったようだ・・・・



まぁその女子のグループの中にはまだ九頭竜について怖がって避けてる女子もいるが・・・・・今のように一緒に勉強を教えあったらそのうちこのグループに溶け込むことができるだろう。

そう思うとこっちまでほっこりするな。





「う~~~~~んとりあえず今度のテストはこの問題はでそうだから・・・そこを覚えれば大丈夫だろ」

「あ・・・・・・ありがとう。これなら大丈夫かな・・・・・ありがとう」

「別に・・・・困ったのならいつでも聞けよ。今日も放課後一緒に勉強するか・・」

「うん。あたし達は・・・・OKだよ・・・・あの九頭竜さん良かったらこれ貸そうか・・・・」

「あ・・・・・・これCDか・・・」

「あたしのお気に入りのアニメキャラが歌ってるキャラソンで・・・いつもこれを聞きながら勉強をしてるんだけど良かったらこれを・・・・」

「邪魔!!!」

その女の子が九頭竜にキャラソンのCDを渡そうとするともうすぐ授業なのであったか涼浦が無理にオタクグループの間を押し抜けその拍子にでそれは音を立てて落としていった。見た感じ大したヒビは見られないようだ。





「はっ・・・相変わらずアニメか・・・くだらないし・・・」

「てめぇ・・・ワザとぶつかったろ。謝れよ!!!」

「大丈夫あたしがドジなせいだから・・・・気にしないで」

「フン!!!」

相変わらず涼浦はカースト下位には手厳しく、オタクグループの事を見下し鼻で笑いながら去っていた。

はぁ・・・一昨日のあの意外な素顔を見ても・・・それでも裏の女王は健在か・・・・

ギャルはオタクが嫌いとよく言われるけどあいつのオタクに対しての冷めきった目は完全に憎しみに似た感情が映し出してるようだった。





キーンコーンカーンコーン





「あっ授業が始まる。またね・・・」

「おう・・・」

丁度チャイムが鳴り響きその女子グループは九頭竜に別れを告げ席に戻った。

九頭竜は貰ったCDをただ無表情に閉まっていた。

チャイムがなっても先生来てないからいつものように机をくっつかせて話を聞くか・・・


「なぁ・・・九頭竜どうしたよ。もしかしてさっきの涼浦のことで怒ってるのか」

「当たり前だろ。目の前でダチを馬鹿にされてんのに怒りを収めれるわけねぇだろ・・・」

「ダチか・・・ついこの前までは友達を作るのを嫌がってたのに・・・」

「ほっとけ・・・」

「ところで・・・お前さっきから近寄り過ぎだ・・・・離れろ」

「へ?」

そういうと九頭竜は寄せてきた机を無理に離した・・・




「木野原が言ってただろ最近イチャイチャしすぎで怒られただろ?あまりオレのこと構ってると今度はお前がボッチになるぞ」

どうやら九頭竜は先ほどの樹のやるとりを耳にしていた。そして教室の周りを見ると俺達のやり取りをニヤニヤしてみてる者もいればリア充爆発しろと言わんばかりに嫉妬の念を抱いてる者もいた・・・



俺らもしかして授業中イチャイチャしてる時にずっとこの眼差しを受けていたのか・・・

そう思うと俺は反省し授業中で九頭竜と接近するのを控えた。



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