自転車で向かいましょう
「おい、大河そこ自転車置き場じゃないぞ・・・・」
「だけどざーさんがここにこいって連絡があって・・・」
俺達は、事前に教えて貰った住所をスマホでルートを検索した後早速ざーさんの家に向かおうとする。しかし彼女の家は俺がいつも学校通いに利用している駅や九頭竜の家よりさきの自転車だと軽く20分程かかるくらいの遠出にあるらしくお互い自転車通勤でない俺らにとっては体力と時間がかかる距離だ・・・・
そこで、あいつが前もってグラウンドの隅の木々の茂みに隠して置いた自転車でそこに向かうつもりだ・・・
俺もなんでこんな所に自転車が隠されてるのか不明だが無駄な詮索をしないでおこう・・・・
「おっあったあった。これで行くぞ・・・・」
そして言われた通りそこには一台の使い古されたママチャリが隠されてそこについている泥などを払い起こした。
その後は荷物をかごに入れ一度自転車を校門まで自転車を動かせ、道が安定してる平坦な場所になるとサドルに座る。
「九頭竜後ろ乗れよ・・・・」
「あ?オレがこぐよ・・・・お前みたいなほせぇ身体じゃあいつん家着くには身体持たないだろ」
「いやそこはぜひ俺にやらしてくれ。女の子であるお前に前を乗せてこがせるなんてみっともないいだろ」
「けどよ・・・・・・・・・・」
「ん?」
「いやなんでもない。早く行くぞ・・・・」
「ああ・・・・しっかりと捕まってろよ」
「・・・・・・・んん」
九頭竜はなにやらもじもじと俯き何か言おうとしたが途中で中断し言われるがまま後ろに乗り発進する。その時九頭竜は落ちないように俺の背中にしがみついた。
ムニュ
「うっ」
分かっていたけど九頭竜のおっぱいが背中に当たっててすごく柔らかみを感じて力が抜ける・・・・
けど、こんな所で動じる訳にはいかない。無でいこう・・・・・
そう思いながら力を込めて動き出す。
ギギギギギギ
「くそ、重・・・・・・・」
けどそれは予想以上に重みを感じフラフラと不安定の状態だった。どうせなら電動式自転車の方が良かったかな?ざーさんの道ルートでは坂道はないらしいけど坂道があったらギブアップだわ。
「大河・・・・やっぱ重かったか・・・・・」
「ああ・・・」
「言いたくなかったけど・・・・オレ体重がごじゅ・・・・・・50は軽く超えてるんだよ」
「女の子が体重を言うのは止めてくれよ。デリカシーがないだろ」
「うっせぇ!!!お前が苦しそうだから気をかけて言ったんだよ」
ギギギギギギ
ん?さっきから耳障りの音が聞こえるんだけどこれ自転車からの音か・・・・
そういえばこの自転車、そこら中さび付いていていて動かす時もさっきみたいな音が聞こえてるしタイヤも空気があまり入ってないように感じる。
やっぱりこれ結構使い古されてるぞ・・・・
「安心しろこれ・・・・ボロイからお前のせいじゃないぞ・・・・」
「本当か・・・・なら良かった・・・・・・」
「けど・・・・・思った以上に・・・・・・ってさっきからお前なんで顔をうずくまってるんだ」
「あ?この九頭竜乃希亜が男に乗せられるなんてみっともないだろうが?」
「お前・・・・不良止めたって言ってんかったっけ?」
「うるせぇな!!!こっちは見られたら恥ずかしいんだよ。彼氏なら察っして黙って動かせや!!!!オラァ!!!」
分かったから自転車を揺らすな壊れぞ・・・・・絶対に
しかし、気合入れて動かしたとしても中々進まないぞ・・・
そうだいい手があった。
「九頭竜頼みがあるんだけど」
「あ?んだよ・・・・・」
「お前、『ドキシス』の初回特典CDで主題歌の『おにいちゃん☆レボリューション』でさだかちゃんを含むメインヒロインで歌ったことあったよな」
「ああ・・・・それがどうした・・・・」
「今、耳元でいいから歌ってくれ」
「!!!!!」ドサァーーーーーー
その時九頭竜が急には疾走中に地面に足をつかせ無理やり自転車を止めていて静かに怒りを震わせていた。
「てめぇ・・・・・ふざけてんのか。なんでこういう状況で人の黒歴史をいじるような事をいうんだ?こっちは思い出しただけで顔を吹き出すってのによぉ!!!」
「でも最終的にやったんだろ!!」
「分かってんだよ。自分の武器はこの声しかないんだよ。けどその声を聴きながらこぐなんて頭がおかしいだろ。そんなんで気合が入って自転車を早く動かすのができんのかよ・・・・・」
うわぁ・・・・・・弱〇ペダル全否定だ・・・・
「でもな・・・・俺の聞いた話によるとな・・・・・アニメオタクの高校生がアニソンを口ずさんでペダルを踏み込んだらロードレースの大会で優勝できたことがあるんだよ」
「マジかよ」
勿論アニメの話だ。実際こんなんで早くなった実証なんて聞いたことない。
「なら・・・・分かっ・・・・・いやいやここは外の中だぞ。万が一走行中に誰かに聞かれたらどうすんだよ」
「だからこっそりと」
「うるせぇ!!!ダメなもんはダメだ。スマホで音楽を流して聞けばいいだろ・・・・」
結果九頭竜は首を横に振ることなかった。まぁ九頭竜は内面恥ずかしがり屋だから外では他人に見られたりする大胆な行動はしないな・・・・
まぁ本人は気づいてないが俺の背中におっぱいや顔を押さえつけてるのには自覚してないけどな。そこは胸の中に閉じ込めておこう・・・・
「これでいいか大河?」
『だからね~~~~~もっキュンと♡幸せにーーーー』
「いいぞ。よし動かすぞ・・・・せーーーーの」
早速九頭竜は俺のスマホを預け耳元に『ドキシス』OPを最低限の音量を流しながら走ることにした。うん・・・・・・これならいつも以上に気合を入れてケイデンスを上げることが出来るぞ・・・・
「マジか・・・・・・本当に早くなりやがった」
俺もびっくりだよこんなに早くなるんて予想外だ。流石小野田君。そこに憧れるわ。
そう思いながら心の中で『妹☆レボリューション』を熱唱しながら疾走した。
「ふぅ~~~~~~たどり着いた・・・・ぜーーーーはーーーーー」
「ここか・・・・・花沢の家は・・・」
それから数分後気が付くとざーさんの家にたどり着き俺は改めてこぎすぎた反動か・・・・呼吸がおかしくなったので改めて息を吸い直すことにした。
「そうらしい・・・・・・・行くか・・・・・・はぁはぁ・・・」
俺達は自転車を置き、数十段あるといえる石段を登り境内に入る。
うん・・・・見る限りアニメやエロゲにありそうなごみ一つない神聖な場所だ。
なんでそこに住んでんのに当の本人の心は煩悩で汚れてるのが最大の謎だけどな・・・
それはさておきざーさんは俺らより学校に出たたらしいからもういるだろうな・・・・・
「あっ九頭竜さん、大河君いらしゃい・・・」
噂をすればざーさんはなにやら包装紙を持ちながら神社とは別の家からバタバタと飛び出していた。どうやらその中には目的の巫女服があるらしい。
「ほら、九頭竜さん約束の巫女服だよ・・・・」
「あ?言っとくけどな・・・・着るつもりはないからな・・・・大河があまりにも変態なんだから仕方なく貰っておくだけだからな・・・」
「そう言って本当は着てエッチな事したい癖に~~~」
「うっせ!!!さっさと片づけに行くぞ」
九頭竜は照れやすい顔を俯いながらごまかし静かにその包みをカバンに入れてさきに向かった。
その後の俺に向けるざーさんの『どんなプレイをするのかな?』と言いそうなにやけ顔をイラっとしながらも彼女の家に上がることにした・・・・・
「咲那~~~~~~アンタどこに行ってんの?いつ掃除始まるわけ~~~~~ってあり?大河とそれに・・・・・・九頭竜なんでここに」
「いや涼浦お前こそなんでここにいるんだよ」
そんな中玄関から予想外にも涼浦に出くわし俺達はしばらく固まった・・・・
「帰る・・・・・・」
「おい、九頭竜、帰るってどういうことだよ」
そりゃ当然だよな。犬猿の仲の涼浦と出くわしたら俺だって逃げ出すよ。けど俺はとりあえずざーさんの話を聞く為に九頭竜を止めようとしたが案の定手を払われた。
「触んな!!!こういう事なら・・・・・初めから来るんじゃなかったよ・・・」
「分かった・・・ざーさんから俺から説明するからこの包装紙を仕舞え。それが涼浦に見られたら余計にややこしくなるから一回家に持って帰れ」ひそひそ
「分かった」ひそひそ
「けど帰りどうするんだよ。ここから結構距離あるぞ」
「九頭竜さん良かったらあの自転車持って帰ってもいいよ」
「分かった。大河鍵投げろ」
「おう・・・」
俺はその九頭竜に投げイライラしながら九頭竜は去っていた。さてとこれをざーさんに説明しとかなきゃな・・・
「ねぇ咲那なんで九頭竜を呼んだわけ・・・・」
「それは・・・・やっぱり二人より四人でやった方が早いと思って・・・・」
「まぁいいわ。九頭竜がいなくて助かったわ。もし居続けたらこっちが先に帰るつもりだったけど・・・・」
涼浦はそう舌打ちを漏らすと家の奥に戻っていた。そして残ったざーさんは強くため息を吐いていた。
「はぁ~~~~やっぱり駄目だったか~~~~~私的にはこれを機に友情が芽生え仲良くなると思ったんだけどな~~~~」
「残念ながらお前が思ってる以上に二人の間には闇が深いぞ。これは仲良くするのは不可能だな」
「そだね・・・・・で、大河君はどうするの?」
「俺は・・・・とりあえずやるよ・・・・・・ここで断ったら男として後悔すると思うし・・・・九頭竜もガッカリすると思う」
「ゴメン・・・・・私のせいで」
「深く気にするな。さ、掃除するか・・・・その前にこぎすぎてのどカラカラだから麦茶くらい用意してくれないか?」
俺はとりあえずざーさんを励ます為に声をかけ彼女の家に入る。九頭竜には俺にもメールで謝っておくか・・・
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