おにいちゃんの服・・・・・すごくいいです・・・

「ただいま~~~~」

「おう、帰ったのか。すでに飯が出来ているぞ」

「後で、食べる」

土曜日の夜、俺はいつも通り学校の帰り道に通る場所のバイトを済ませ電車を使い家に帰る。

学校がない日で休日のバイトだけでわざわざ電車を使っていくのは苦にはならない。なんせ家の近くに駅があるしその学校近くの駅である『上ケ谷駅』も三駅を超えるくらいの近くで10分弱くらい電車に乗るだけでしかもそのバイト先も駅の近くだから楽なものだ。



なぜそんな手間かけてバイト先に向かうのとはいうと前にも言った通りここのバイト先は他と違い時給がいいそれだけが理由だ。なんせうちの近くはコンビニとかレンタルショップがあるがそれでも今やってるバイト先と比べて時給が100~200円くらいやすいそれだけだ。



勿論買う資金はエロゲだが、それ以外にもおしゃれにも敏感になってしまうのだ。

うちの姉はモデルだから日ごろから俺のファッションセンスを支持してるから自然と服に金をかけるようになるのだが、それでも買う店はせいぜいU〇IQLOやシ〇ムラとか安値の店で買うのだ。

まぁ姉ちゃんが決まって俺にあった服を買うのがほとんどだが俺はあいにくエロゲ以上の値段で服を買うつもりはないから安値でいいものを探してるのだ。






それで俺はエロゲオタクにも関わらず生意気にファッションの事を語っているのは明日はいよいよ九頭竜とのデートだ。今は俺の事を仮の彼氏を演じているが絶対に好意を抱かせるくらいのオサレを決めてやるぞ・・・・

そう思いながら俺はご機嫌な感じで『ドキシス』オープニングを鼻歌で歌う。




「おい、都お前何してんだ?」

「姉ちゃん・・・・・勝手に入ってくんなよ」

「何言ってんだ。こっちは何回も呼んでんのに返事をしないお前が悪いんだろ?」

「そうなのか?」

マジで気づかなかった・・・・・・よっぽど明日のデートが楽しみにしてそれどころじゃなかった・・・・・

その証拠に今でも姉ちゃんの会話の時も九頭竜の事で頭がいっぱいで笑みがもれそうになりそうだ。







「ところでお前、帰ってから結構嬉しそうにしてたけど、明日の夕方宗介達と遊びに行くのがそんなに嬉しいのか?」

「ん?そうか。いつもの事だろ?」

勿論、明日の九頭竜とのデートは姉には言ってない。絶対に言えるはずはない。

言ったら間違いなく、ブチ切れて家に出そうとしないか、デートに無理やり割った入って喧嘩するのが想定できる。

なんせ九頭竜が俺んちに入って付き合うことを告白してそれ以来学校から帰るとあいつとなにがあったか聞かれるほど、あいつの事をまだ認めてないからな・・・






「お前まさかと思うけど、あの九頭竜という彼女気取りの奴とデートじゃないよな?」

ギクッバレたか・・・・・・姉弟だから感が良すぎる。






「な・・・・・・何の事かな?」

「そうか・・・・・・別に私はお前があいつとデートしても構わないぞ。なんせお前あいつと付き合って一緒に帰るくらいだからデートはしたことないだろう」

「え?いいのか?」

「ただし、その時はわたしが認めるまで同伴だ。あいつは見るからにチンピラだ。お前になにをされるかの見張りだ。あいつ一つでも気に入らない事をしてみろ。その時は地べたに叩きつけて身の程を教えてやる」パキポキ

完全に戦闘態勢じゃねーか。これは絶対口が裂けても言えないなぁ。

言ったら戦争不可避だぞ。






「だから九頭竜とは明日関係ないから」

「なにぃ。あいつせっかく付き合ってんのにまだデートしようとしないのか?こうなったら自宅を調べるか直接学校に乗り込んでやるか・・・・」パキポキ

「どっちなんだよ!!!」

結局どの選択肢を選んでも戦争は覆せないのか・・・・・

もうやだこのブラコン





「はぁ、デートする時はまた教えるから、いいだろ」

「それならいい。ほら飯にするぞ・・・・・」

その後俺は一度服装選びを中断し夕食を食べることにする。

まぁ別に服装選びはいつでもいいだろ。






その日は服装選びは新しい服を買うことなくベストな感じで選んだいつのまにかデート当日になったので俺はすぐ寝ることにした。



そして運命の日のデート当日、午前中から4時まで今回はいつもより長めにバイトをやる。デート当日なので、同じくバイトのざーさん達にからかわれたが俺は気にすることなく仕事に集中する。

時間が余ってるのでその間は満喫で適当に時間を潰したりする。なんせ、デートの待合が近くの駅前だから一度電車に乗って家に帰ってまた電車に乗るのは手間がかかるからな。その日まで俺はのんびりと適当にネットサーフィンをする。




そしてとうとうその日が来てしまい時間は5時40分、デート20分前のこの頃、俺は待合場所である上ケ谷駅名物の犬の銅像の前に仁王立ちをする。

街ながら俺は改めて自分の服装を確認する。シンプルだが白Tにグレーのカーディガンに安めなリングネックレスに黒長ズボンにスニーカーこれならどうかな?

もうデートが近いのになんか心配になってきたぞ・・・・・

改めて思えば浮かれすぎて攻めすぎたかな。う・・・・・・腹が痛くなってきた・・・





「大河・・・・・・待たせたな」

「九頭竜・・・・」ドキッ

デート10分前聞きなれた声の方に向ける。やっと来たか・・・・・

でもこれって・・・・・





「九頭竜それは・・・・・」

「あ?別にいいだろ服装くらい」

俺は九頭竜の服装を見てしばらく固まる。その理由はヤンキーが着そうな黒ジャージにそこから見える黒シャツにダボダボの下ズボンの黒一色でいくらキリトでも着なさそうな服装だった。




「ぷっ!!!んだよそのカッコ。お前相当気合入ってんな?」

しかも腹を抱えながら笑われた。この部屋着みたいな服を着た人に・・・・





「そりゃそうだよな。憧れの声優とデートだから気合入るよな。ハハハハハ腹がいてぇ・・・」

「そうだよ!!!気合入れちゃいけないのかよ」

「わりぃ。そんなに怒るなって・・・・・なにも笑うこともなかったな」

九頭竜は、いつものチュッパチャップスを加えて笑いを抑える。




「今夜はお前が忘れないようなデートにしてやるよ・・・」

「え?俺も一応デートの予定決めたんだけど・・・・」

「言い出しっぺはオレだろ?今回のデートはオレが案内するよ」

そんな・・・・せっかくこの後行く予定の店を予約したのに・・・

こりゃ昨日、どこ行くか聞くべくか確認・・・・・・あっ今思えば俺、未だにあいつの連絡先知らないんだった・・・・・





「まぁそんなにがっかりすんなって」

「で、最初は行くんだよ」

「決まってんだよ。牛丼食いに行くんだよ」

・・・・・・・・・嬉しいはずの初デート。早々不安だらけになってきたぞ。








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