体育の授業で身体を少しでも運動をしましょう

あの事件からの翌日の金曜日の体育の授業、その日俺のクラスは同じ体育館で半分のコートで男女別に授業を受けていた。ちなみに男子は卓球で女子はバスケの授業だ。




現在俺はこの授業だけで二連勝中で、今宗介と試合をしているのだが、あと一点で勝つところだ。




「ほら・・・・・そこだ!!!」

「うわっ負けた!!!」

訂正たった今宗介の隙を見てスマッシュを打ち、俺が完勝しこれで三連勝だ。





「みゃこ相変わらずスポーツは卓球だけはうまいな。まさかあの宗介に何度も勝つとか天才かよ」

「うん。昔と同じ強さはまったく変わらないね。これなら普通に卓球部でレギュラーになってもおかしくないよ」

「よせよ。俺はこの前の授業でクラスメイトの卓球部のレギュラーと戦って負けたんだ」

「でもその時かなり僅差でお互い点を取ったり取られたりの繰り返しで30点くらいは続いてたよ」

「ああ・・・・そいつは確か前の大会の個人戦でベスト8に入るくらいの実力なのによ・・・・・」

皆俺の事を褒めているのだが、別に俺は卓球が好きで上手くなったわけではない。

姉の行動のせいでうまくなったのだ。




うちの姉は昔から結構積極的で自身の力を上げるために様々なスポーツクラブに次々と入り自分にあったスポーツを探しておりその結果、それまで習ってた剣道を止め中学から高校までテニス部に入ることで鞘に収まることにしたが、テニスに鞘を収まるまでは無理矢理姉に合うスポーツを探す為に連れられとばっちりで俺も教えられることになったのだ。(ただし柔道とかの格闘技は俺にもしもの怪我をするかもしれないのでそれは教わってない)




そんなことを繰り返してるとある程度観察眼が身に着けある程度のスポーツは上達できたようだ。

だがそれが身に付いたところでなにになるというんだ。生憎の俺はエロゲが趣味でそれを買う為にバイトに精を出してる男だ。

そんなスポーツをやったところで渇きも癒すことが出来ないのだ。

先の卓球部だってそうだ。この前調子に乗っていい勝負したせいで卓球部員に勧誘いや・・・・・それどころか、俺がスポーツ神経抜群と聞きつけてか野球部、テニス部、サッカー部といった部に歓迎されることになったのだ。

どうやら俺は姉のせいでどのスポーツをやってもスポーツ経験者とためを張れるくらいの実力を持ってるらしく、成長されると化けるのではないかと勘違いする奴が出たようだ。



それでも、いくらやっても全く成長それどころか凡人レベルのスポーツがある。

それは剣道部だ。俺の親戚が剣道の道場を経営しており親父に勧められ宗助や姉と混じって習慣つけて特訓したのだが一向に上達せず、それどころか従妹に馬鹿にされる始末だ。結果自分の才能の無さと煽られるのが嫌なのですぐに辞めたのだ。






「うわ・・・・・・・すげ・・・・・」

「ん?どうした?」

「ねぇ都みてよ隣のコートさっき九頭竜さんがダンクをしてたよ」

「は?ダンクぅ?」

なにを言ってるんだ。ダンクというのは高校の男子でもなかなかそうはできない技だぞ。いくら九頭竜が運動神経が良くてもそこまでは・・・・・








「九頭竜さん。いったよ・・・・」

「また決めちゃえ」

「オラぁ!!」ズバン!!!

「おお・・・・・・おい、また決めちゃったよ・・・・・」

「すげぇ・・・・・」

マジか・・・・・・今、宙に浮いてるかのように浮かんでて、ゴールに吸い込まれるように、叩きつけたぞ。

しかも動きも絶品で、一見のらりくらりとした動きだが、相手の動きを見て即座に相手をかわしながら俊敏に飛びやがった。

どこのキセキの世代だよ。これは灰崎・・・・・いや青峰と火神の二人を足してそれを女体化した姿だぞ。






「はぁ・・・・・・つまんね・・・・まぁオレに勝てんのはオレだけどな・・・・」

しかもその退屈な感じでその捨てセリフなんか青峰が言いそうな感じなんだけど・・・・

これ無意識に言ってんのか?それともわざと言ってるのかどっちなんだこれ?





その後俺はあの九頭竜の珍しく見せた本気のスポーツを魅せられ、卓球そっちのけで見てしまった。

あいつは普段体育の授業をサボる癖に今日は珍しく参加し活躍し、鈴浦達一部の連中と覗いては周囲の女子にもてはやされる文字通りの英雄・・・・・・いやいや振り返ってみろ!!!それだけじゃないはずだ。

よく振り返ってみると遠めだがうちの男子生徒も彼氏の俺(仮だが)そっちのけで九頭竜のはち切れんくらいのおっぱいをガン見してたな。

特にダンクしてる時のヘソがチラが見えるくらいの運動服の露出にその上にそびえる二つの丘の揺れ具合。これは思春期のエロガキには毒ですわ・・・・






「おい、大河!!!」

「・・・・・・」ビクッ

「んだよ!!!なにもそんなに驚くことないだろ」

その休み時間授業が終わり体育館に出た時当の本人である九頭竜が睨みながら肩を鷲掴みされた。





「なに・・・・・」

「なに?じゃねぇだろ!!!お前さっきの体育の時オレの事見てただろ」

「ああ・・・・あれ?ああ・・・・見てたよ」

「やっぱりな・・・・・あの視線やっぱりお前だったか・・・・」

「どうしたんだ・・・・」

「コソコソと覗きやがって・・・・・おかげで恥かいたじゃないか・・・」

「は?」

どうやら九頭竜によると俺がこっそりと九頭竜の活躍を見てるところを那知田と立野に見られてそれをからかいではないがそのことをありのまま言われて恥をかいたらしい。

しかし・・・・・・さっきの事もあってか、こうも近寄られるとその胸が俺の腕に当たりそうでかえって意識しそうなんだけど・・・・






「なんのことだ・・・・・」

「おい、どこ見てんだ?こっち向けよ!!・・・お前が舐めるように覗いたおかげで彼女であるオレのプライドが落ちて舐められるようになったじゃねぇか・・・」

「それは舐められたというのか?っというかその時どう答えたんだよ」

「あ?いつも通り無視ってやったんだよ」

「はぁ・・・・・」

「なんで落ち込むんだ?」

せっかく話しかけられたのにもしかしてその対応か・・・・






「ち・・・・・ちなみに、今日お前活躍しただろ?その時みんなから賞賛を浴びただろ。その時はどうした?」

「だから普通にうぜぇから無視ってやったんだよ。なんならメンチ切った方が良かったか・・・・」

やっぱり・・・・こいつはハナから友達を作る気がさらさらないな・・・・








「九頭竜・・・・お前少しは友達を作った方がいいよ」

「あ?なんでだよ。そんなのめんどくせぇだろ?オレ小うるさい奴ががキーキー騒ぐのが人間的に嫌いなんだよ」

「でも俺と一緒にいるじゃん」

「お前は大人しそうでいいんだよ。まぁ・・・・ちょっと奇声を出すくらいだけどそいつらよりマシだ」

困ったな・・・・・俺的には九頭竜に友達を作って高校生らしい生活を送って欲しいのに・・・・

群れるのが苦手とかそんなヤンキーなんていないだろ。どっちかといえば中二病に近い部類だ。

ん?ちょうどいいところにざーさんが体育館から遅れて出て来た。




「おーいざーさん!!!」

「あれ?大河君に九頭竜さん。二人共どうしたの?」

「ざーさん。どうしたんだ?」

「まぁ大したことないんだけど、ちょっと片付けをね・・・・」

「そうか・・・・・真面目だな・・・」

「で、何の用?」

「実は、頼みがあって、こいつがお前と週末遊びたいって」

「はぁ!!!!」

それを聞いたとたん、九頭竜は怒りをぶつけるが如く睨んで胸倉を掴んでいた。






「そうなの?九頭竜さん」

「ばっかちげぇよ!!!何言ってんだお前!!!!」

「だってこうでも言わなきゃお前はクラスと仲良くならないだろ!!!」

「え?なんのこと?」

「だから俺はこいつの為に友達を作って欲しいだけなんだ」

「大河君、そこまで考えるなんて・・・」

うんうん、もっと褒めていいぞ。俺はノアさんの為なら何でもできるんだ。そういう慈悲深さを持ってる・・・・・ってあれ?なんで九頭竜はさらにご立腹なんだ?






「お前勝手な事すんなよ!!!オレはこいつらと仲良くなるなんてサラサラねぇよ」

「ひどい!!」

ほらほら・・・・そんなひどいこと言うからざーさん落ち込んでるじゃないか・・・・・

それを見ると九頭竜は俺を解放する。




「ちっちげぇよ・・・・・べ・・・・・別にお前の事が嫌いなわけじゃねぇよ・・・」

「本当?」

「ああ・・・・ああ。クラスのい中でオレを唯一親しくしてくれるのはお前だからな・・・・た・・・・ただ今度の週末はダメなんだよ。土曜日はせい・・・・・・いや一日中バイトだし」

「日曜日は?」

「え?」

「日曜日は午後はバイトだけど午前中なら遊べるよ・・・・」

「ち・・・・・・ちなみに大河の予定は?」

「大河君なら、午前はバイトだよ。ね、大河君」

「あ~~~~そうだな・・・・」

「そうか・・・・・・」(にやり)

あれ?なんで勝機を確信するように笑ってるんだ?もしかして墓穴掘ったか?





「わりぃな・・・・そ・・・・・・そんとき、言い忘れたが大河と、デ・・・・・・デートがあるんだよ」

『はい?』

そう九頭竜はうつむき、口どもりながらも告白する。

これにはざーさんだけではなく俺にもビックリで同時に声を出してしまった。




「お・・・・・・お前何を」

「だ・・・・・だからさ、週末は遊べねぇよ・・・・・じゃあな・・・」

「おい・・・・・・」

「ちょっと九頭竜さん!!!!」

ざーさんを残し俺は九頭竜に無理やり引っ張られ、人目がない校舎裏に連れて行かれる。








「はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・お前何を」

「ちっ余計なことしやがって!!!てめぇせいでオレらデートすることになったじゃねか!!!」

九頭竜は喧嘩が禁止なせいか元凶である俺を殴ろうとせずその怒りを壁に向かってぶつけていた・・・・・






「何が嫌なんだ。俺はお前に友達を作って欲しかっただけなのに・・・・・」

「頼みもしねぇのに余計な事すんじゃねぇよ。はったおすぞ。この野郎」

「う・・・・・・なんでそこまで友達を作るのが嫌なんだよ」

「嫌なわけじゃねぇよ・・・・・ただ・・・・・」

「ただ・・・・・」

「だ~~~~~~~なんでもねぇよ。今の忘れろ!!!」

そう言いながら九頭竜は吹っ切れている。




「ところで九頭竜デートの事なんだけど・・・」

「あ?せっかく言ったんだからしょうがねぇだろ。な・・・・・・なんだお前はいやなのか?」

「お・・・・・・俺は・・・・・」

なにを迷ってるんだ?そんなの嬉しいに決まってるだろ。そう決心するかのように自然と頷いた。



「俺も行きたい!!!大好きのノアさんとならどこにだって言ってやるよ!!!」

「馬鹿野郎!!!!大声でその名前を言うんじゃねぇ。恥ずかしいだろ!!!まぁ・・・・お前がどうしても行きたいってなら付き合ってもいいぜ」

なんで自分から誘っておいて嫌々そうに言うのかな?そこのギャップがそそるけど・・・・




ともかく来週の日曜日に初めてのデートをすることになった。

本来なら友達を作ってもらう計画だったけどそれは後でいいか・・・・・




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