ここは我慢ですよ2
「もう・・・・・いい加減にしてよ・・・・・」
「いい加減だと?それはどういうことだ優子!!!!!」
「ちょっと落ち着いてくださいよ・・・」
「これが落ち着いていられるか!!!大体なんだお前は?」
「あ?なんだ?」
教室に入ろうとすると男子生徒の怒鳴り声が聞こえたので俺達はコッソリと覗く。
そこで目にしたのはうちのクラスと那智田の前になにやら激情して強く迫ろうとしているやけに筋肉質で肌が黒い短髪で少し目つきが悪い上級生らしい男子生徒とそれをなんとか割って入ろうとするざーさんの姿があった。
「ちょっと貴弘クンしつこいよ・・・・・・」
「何がだ。最近お前、男のクラスメイトと一緒にいる時間が多いそうだな。これは一体どういう事なんだ・・・・」
「だから・・・・それはたまたまバイトが一緒で話すことが多いから・・・・・」
「ふざけんな!!!そんなのむしすればいいじゃないか・・・・それにさっき別れるって言ってたけどその男が関係あるのか・・・・」
「関係ないって・・・・・もう話いい加減にしない。後で聞くから」
「駄目だ。最近俺に構うのがめんどくさくなってきたからここでしろくろハッキリさしてもらおう」
その上級生の大声が教室中に聞こえる程の問題になっておりクラスの一人は今でも先生を呼ぼうか迷っている状態だった。
そんな時、教室前で立野がその光景を強く見守っていたので聞くことにした。
「立野、なんだこの状況は?」
「大河君戻ってきたんだ。それに九頭竜さんも・・・実は前に優子の彼氏がしつこいって話をしてたでしょ?」
「ああ・・・・・確か、三年の松井貴弘先輩だっけ?」
そういえばそんな話をしてたな。
「うん・・・・・その彼なんだけど、優子最近先輩と別れたい思ってたけど、優子は人見知りだからなかなかそれを打ち明けることが出来なかったのよ。で、さっきなにがあったか知らないけど、あの彼氏が血相を変えて出てきて無理やり問い詰めて来たのよ。で、今ざーさんがなんとか抑えてるわけ。う~~~~~ん困ったねぇ。銀華はトイレに言ってたし、ざーさんは無理なトラブルでその彼氏まで巻き込まれないように先生を呼ばないように穏便に済ませるって言ったけどどうしようか・・・・それにアンタがいたんじゃ・・・・」
なんで俺?
「おい、なんでそんな話に大河が関係あるんだよ」
「実はさっき男のクラスメイトがって言ってたでしょ。あれ大河君の事だから。なんでも部活の後輩がバイト先で楽しく優子と話してるからのを見かけているところを聞いたそうだから誤解してるそうよ。それに松井先輩は柔道部で部内の中で気性が荒いから投げ飛ばされないように気をつけて・・・・・」
「はい?」
なんだよそのアドバイスいらねぇよ。さっきまで俺が紳士的に止める気持ちに入ったのに予想以上に危険人物すぎるから前に出にくくなったじゃないか・・・・
「おい大河ってやつはどこだよ呼んで来いよ!!!あの腐れイケメン気取り野郎、勝手に俺の女にちょっかいかけやがってマジ許さねぇ」
うわぁ・・・・完全にご氏名が入ったよ・・・・それにそばに九頭竜がいるのにまた言い訳しなきゃいけないじゃないか・・・・・
そう思いながらチラッと見る。
「別にお前は関係なくてあいつがただ単に勘違いしてるだけだろ?そんなの見ただけで分かるだろ・・・・・」
「ほっ・・・・良かった。なら止めるしかないか・・・・」
「いや、オレに任してくれ。彼氏の誤解をオレが解いてやるよ」
「おい、でもお前・・・・・って前に出ちゃったよ」
俺の警告を聞かずに九頭竜は前に飛び出した。お前次に喧嘩したら退学って分かってるんだろうな・・・・・
俺は自然と体が動きつられて前に出てしまう。
「おい、お前なに、うちの教室で騒いでんだよ・・・・・」
「なんだお前は・・・・・それに後ろの男・・・・・お前優子のバイトの時の写真で見たことがあるぞ・・・・お前が大河だな・・・・・」
「は・・・・・はい」
『大河君・・・・』
ざーさんと那智田に呼ばれて腰を低くしながら手を挙げた。その時九頭竜が愚痴を吐き俺はヒソヒソと答える。
「大河・・・・・・てめぇなんで来たんだよ・・・・」
「そりゃお前の事が心配なんだよ。これがファンとしての務めだよ」ヒソヒソ
「いちいち余計なんだよ。とにかくお前は何もするな・・・・・」
それが不安なんだから来たんだよ・・・・・・
「おい、お前九頭竜だよな。悪いけどお前には関係ないから引っ込んでろ。後ろにいる奴サッサと出せ」
「あ?関係ない訳ねぇだろ。オレはこいつの彼氏なんだよ。もしなんかするんだったら承知しねぇぞ・・・・」
「ああ?お前いつの間に彼氏できたんだぁ・・・・・まぁそんなことはどうでもいいや・・・・・・ならかかって来いよ。お前があと一回騒ぎを起こしたら退学ってのはもう知ってるんだよ」
なんで俺が九頭竜と付き合ってるの知らないのにそこだけは知ってるんだよ。
曖昧な情報網だな・・・・・
「はっ!!馬鹿かお前・・・・・・誰が、口だけの柔道野郎の挑発のるかよ・・・・」
「おい・・・・・俺は先輩だぞ・・・」
「関係ねぇよ・・・・柔道やろうがしったこっちゃねぇ・・・・自分の彼女にしかイきってる、ヘタレ野郎じゃ・・・・信頼があるわけねぇよな・・・・そりゃ別れるわけだ・・・・」
「なんだと!!!!もういっぺん言ってみろよ・・・」
キャアア!!!
その先輩は九頭竜の挑発に頭にキたか、あいつの胸倉を掴もうと戦闘態勢に入り周囲はざわめき初めるだが、
「ガッ!!!!」ぐぐぐぐぐ
「お前、なににキレてんのか知らねぇが・・・・・そんな安い腕じゃ届かねぇよ・・・・」
九頭竜はその向かってる腕を無表情に躱し掴んでいた。
その握られた腕は余程強い力が込められたのか知らないが松井先輩は払おうと抵抗するが全く放す気配はなかった・・・・・
たく・・・・・あの細腕からどこからその馬鹿力が出るんだよ・・・・
「ぐっ・・・・・放せ・・・・・」
「あ?」ぐぐぐぐぐぐぐぐ
「お・・・・・ま・・・・えこれ・・・・ちか・・・・・ら入れてるだろ・・・・・・う・・・・・腕が・・・・」
九頭竜に腕を握られた松井先輩はどうやら腕を強く握られ苦しんでるように見えた。
てか、流石にやりすぎじゃね?
「九頭竜、やりすぎるなよ。・・・・・」
「あ・・・・そうだったな。ついいつもの癖で本気を出しそうになってしまった。なんせ相手は柔道部と聞いてたのに思ってたより大したことなくてさ・・・・」
「いや・・・・九頭竜!!!その腕!!!袖で筋肉は見えないけど思いっきり袖越しで筋肉が膨れ上がってるぞ!!!どうみても本気出してるのになんでビクともしないんだよ!!!お前のどこにそれを超える力があるわけだよ」
言葉通り先輩は相手が女にも関わらず腕を振り張ろうとするが払えることが出来ずさらに先輩は苦戦するように鈍い声上げた・・・・
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「馬鹿野郎!!!女の前でそんな話をするんじゃねぇぞ・・・・むしろ照れるじゃねぇか・・・・・これは・・・・日ごろ喧嘩した時の結果で強くなったんだよ」
いやいや何、スライム倒しまくったらいつの間にかレベルがMAXになったみたいに言ってんだよ。ここはファンタジーじゃなくてリアルの世界だからそんなんで強くなるわけないだろ。
「おいどうした!!!!なにがあった!!!」
そんな時誰かが先生を呼んだか遠くから教員が走ってる声が聞こえた。
「ちっセンコーの声がおい・・・・・・どうしたこっちはもう手加減してんだ。もしかしてわざと痛い振りしてオレを退学させるつもりか!!なさけねぇな・・・こんなんだから彼女にも逃げられるんだよ」
「う・・・・・う・・・・・」
その時、九頭竜の失言で何かがキレた音がし、松井先輩は顔を上げ・・・・・そして!!!
ガゴン!!!と鈍い音がする。その音と同時に松井先輩は、空手になったもう片方の手で思いっきり九頭竜の頬を殴り吹っ飛んだ光景だった。
「がっ!!!!」
「九頭竜!!!!」
「おい!!!!どうした!!!どういうことだ」
「お前・・・・・また九頭竜か・・・・・もう喧嘩はしないといったはずだぞ」
「違うんです!!!九頭竜さんは悪くないです・・・・・・」
すでに先生が来るときはもう遅く松井先輩は息を切らしながら自分の拳を見つめ、九頭竜は吹っ飛ばされた後後方の机にぶつかり横たわっていた。
今この騒ぎを目撃したクラスメイトは正直に先生に話状況を整理する中俺は九頭竜に寄り掛かる。今の俺はそれで頭が一杯だった。
「おい!!!九頭竜大丈夫か・・・・・・」
「はっ。お前・・・・・・だから言ったろ!!!喧嘩はしないって」
そう強く言い残し口から血が垂れていた。
その後の事だが、トラブルを起こした松井先輩は、職員室に連れらており、後の樹の調べでは十日間の停学になったらしい。
ちなみに九頭竜の処分だが、あの光景を見たクラスメイトの目撃例で松井先輩と那智田の口論で松井先輩は激情し九頭竜がそれを止めたことを証言し、なんとか処分することはなかったが・・・・・
HRが終わった後九頭竜と那智田はその件で教員から指導をされたらしい。
そして俺は、何を思ったか、バイト先に休む連絡をし、九頭竜が戻ってくるのを一人教室の前で待っていた。
そして、長い時間が経ち日が沈みそうになると九頭竜が教室に戻ってきた。
「大河・・・・・・まだいたのか・・・・・」
九頭竜は先の騒動を物語ってたように右頬に白いカットバンを張られていた。
「九頭竜それ・・・・」
「別に大したことねぇよ・・・・いつも喧嘩した時はいつもこんななんだ・・・・」
「あれ?那智田は?」
「お前彼女の帰りより、他の女の心配か?」
「いや・・・・一緒に行ったからそれが気になっただけだ・・・・誤解するな」
「誤解ってなんだ?オレ達別に本当は他人なのになに彼氏面してんだ?那智田はまだ話があるから職員室にいるよ」
「そうか・・・・」
九頭竜はそう言いながらカバンを下げチュッパチャップスを取り出しくわえだした。そしてしばらく無言になり・・・・・決心したように口を開く。
「お礼を言われた・・・・・」
「誰に?」
「那智田に決まってるんだよ。ありがとうって・・・・別に大したことをしてないのに。そう言われたんだよ」
なぜかその表情は夕焼けで顔は見えなかったが嬉しく見えたようだ。
「お前もしかして、人にお礼を言われるの初めてか?」
「ああ・・・・・・そういえばそうだな・・・・」
「うわぁ・・・・・寂しいな・・・・・」
「んだよ!!!!オレは生まれつき一匹狼なんだよ。文句あっか!!!」
俺はその言葉で九頭竜の叔父さんの松村さんの言葉を振り返る。
あいつはずっと一人で悩んでいた。だから俺は、ファンではなく本当に異性として好きなんだ。こいつの事を一生守りたいと思えてきたんだ。
「何を笑ってんだよ・・・・・」
「いや・・・・九頭竜。一緒に帰ろう」
「あ?はぐらかすんじゃねぇよ。なんで笑ってんのか。理由言えよ!!!」
その後下校して別れるまでそのやりとりは続くことになった。
俺はそのシーンをまるでセーブデータに残すように強く脳裏に焼き付くことにする。
この燃える夕焼けのように・・・・
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