ここは我慢ですよ
その後の昼休み俺と九頭竜は、いつものように空き教室であいつはいつものコンビニ弁当とチュッパチャップスを所持して一緒に昼食を食べることになる。これは先週の木曜日九頭竜が彼氏宣告された日から始まったことで、今日はその三回目だ。話すことは基本無言っというか九頭竜はあくまで俺が秘密をバらさないかどうかの監視なので見張っているだけで彼氏彼女という話はしないのだが今日はあの欠病について九頭竜は珍しく口を開いた。
「は?熱はだいぶ前から治ったって?」
「馬鹿野郎!!声がでけぇよ!!!」
「すまん・・・・」
お前の方が声がデカいと思いながら昼なのに薄暗い教室で話をさらに進める。
「ホンとは一昨日の火曜日から治ってたんだよ。で、その間何をしてたと言うと台本を読んで台本読んだり演技について勉強してたんだよ」
「台本って『ドキシス』の?」
「ああ、それとお前が貸してくれたエロゲの演技の研究だよ」
「エロゲの・・・・」
「この前の休みの収録で監督からその・・・・・Hの演技について前やってた時と少し違うって注意されたんだよ。ほらドキシスを最初に収録したのは二年前だろ?いくらプロの声優だからって演じるキャラが多々ある中で二年前と同じ声の役キャラを演じるのは難しいだろ。それについてだよ・・・・・・」
「俺は気にしないのに・・・・・」
「お前はよくても他の奴らが色々舐めたことをコソコソとネットに書くんだろ?例えば『ノアの声前と若干違くね?これじゃ抜けねぇわwwwwwww』とか『なんか前と比べてBBAみたいな声がするわwww。顔を見せないのは自分がBBAである証拠だよなwww』って書かれたらどうするんだよ。そんなことされたらムカついてパソコンを壊すのが関の山じゃねぇかよ」
「そんなのネット見なければ言いだけの話だろ」
たくヤンキーの癖になんで〇チャンを見て腹を立ててるんだよ。
そもそもなんでそのことを気にするんだよ。仕事に対して妙に神経質すぎるだろ。
「まぁ大丈夫だろ。研究しなくてもいつも通りの感じで・・・・」
「ホンとか・・・・・・本当に大丈夫なんだな?今度の『ドキシス』の最終収録は土曜日なんだけど自信もっていいんだよな」
「当たり前だ。っというか今までさだかちゃんのHシーンをなんとかクリアしたんだろ?」
「あ・・・・・・ああ時間は相当かかり発売が延期になるくらいにな・・・・・」
そこまで苦戦してたのかよ・・・・・仕事に関するとメンタル弱っ!!!
「もしどうしても心配なら・・・・・・俺がレクチャーしてやる」
「いいのか・・・・」
「ああ。俺がお前を助けてやる・・・・まず、さだかちゃんの声で俺の×××を××る演技を・・・・・」
「ふざけんな!!!!!」
その瞬間、九頭竜の持ってたお茶のペットボトルを椅子に座ったままなのに上半身の振りだけで思いっきり投げ出しそれはあたかも俺の右頬をかすりそれは背後の黒板に直撃し破裂して内部のお茶が爆発するように飛び出し水滴が滴るように落ちていた。その投げ出し速度はトシ君率いる強豪海道爆弾打線を三振に取るような程の剛速球に近いそれだ。
「てめぇ・・・・・突然なにを言い出すんだ。そんなこと出来るわけ・・・・・・」
「今のは冗談だ。声を抑えろ。正体がバレるぞ・・・・」
「誰のせいだゴラぁ!!!」
空き教室内に怒号が響きそれは勿論廊下に聞こえる程の大きさだが賢明な説得のお陰でなんとか被害である爆発したペットボトルの処理だけで未然に防ぐことが出来た。
だが問題はその大声を聞いた人物は近くに何人も聞こえる声量だったが、幸いにも俺が使っている空き教室は少子化の影響で入る生徒が少なく使われない場所が連続に5部屋あるいわば校内の墓場と言われるゾーンにあるからだ。そこは一階の日があたらない校舎で、人が入る部屋と言えば、俺らがいる教室の3つ先にある視聴覚室くらいだがそこも週に2日の放課後に使われるが基本的に開かずの教室になるから普段このゾーンに入るのはヤンキーくらいなもんだろうと思っている。
その後俺は九頭竜におじゃんとなったお茶をおごらすことでなんとか収集することになり残り少ない休み時間俺達はのんびりと教室に帰ろうとしたが九頭竜はまだ根に持ってるように目をギラつかせていた。
「・・・・・・」ギロリ
「九頭竜まだ怒ってるのか?」
「当たり前だろ。お前さだかの事になるとキャラが変わり過ぎなんだよ」
「しょうがないだろ。俺はあの可愛らしい声が好きなんだから自制できないのは当たり前だ」
話してる場所は廊下を歩きながら教室に向かってるので、俺は気を使う為になるべくオブラートに包んでさっきの話を続ける。
「まぁそれはいいけどよ。オレも一応女なんだからそういう下ネタを使うときは選べよ・・・・・・・特に本当に付き・・・・・・」ボソッ
九頭竜は、目を逸らして喋っているが、なにやら恥ずかしい口調で後半ぼそぼそとしていたので聞こえなかった。
「なんか言った?」
「なんでもねぇよ・・・・それよりお前近寄り過ぎなんだよ」
言われてみれば・・・・最初は違和感なかったが気が付くと肩がぶつかるくらいに接近して歩いていた。やば・・・・・あのノアさんと横一列で歩けるなんてなんで今まで気づかなかったんだよ。俺って意外に鈍感なのか?
「あ・・・・・別に・・・・・いいだろ。見せかけとはいえ付き合ってるんだから当たり前だろ。こっちは手をつなぎたかったのを我慢してるんだよ」
「手ぇ!!!・・・・・・・・・・・・・ば・・・・・・・ば・・・・ば・・・馬鹿野郎・・・・・オ・・・・・・オレと握手したいのなら金払ってから・・・・・にし・・・・・ろよ」
「噛みすぎだって・・・・・」
九頭竜は本性の片鱗を見せ沸騰したお湯のように照れだし先に早歩きで進んでいた。
たく・・・・・・この意外に出る照れ屋でよくエロゲ声優をやっていけるな。
まぁそこがあいつのいいところなんだよな。こういうとこをもっと人前で出していれば世間の印象が違うんだけどな・・・・・
俺は今後の九頭竜の性格を変えることを教室に向かいながら考えてるうちに事件が起ころうとしていた。
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