食べさせてあげましょう
あの事件後俺は正座姿で俯き、目の前から先ほど可愛らしいパジャマ姿の九頭竜が上に上着を来て腕を組みながら椅子に座りややご立腹な様子で俺を見下していた。
その恐怖は言葉を放っしてなくても威圧感が半端なく、生半可な言い訳を言うとボコられそうな雰囲気だったので俺は正直にここに来た理由とプリントを渡す。
「・・・・・・つまりお前はこのプリントを渡しに来たっていいんだよな。さて、この始末はどうしようか」
「し・・・・・始末って?」
「勿論勝手にオレの芝居の喘ぎ声にこのパジャマ姿を見たんだ。それなりの落とし前が必要だろ・・・・・」
う・・・・・完全に目つきがVシネマで見るヤクザの親分のそれと同じだ。オレ本当に生きて帰れるのか、いや、推しのエロゲ声優に始末されるんだ。こんな人生の終わりはそうそうあるはずはない。むしろありがとうございます。
そう思えると喜びが・・・・
「フフフフ」
「おい、なに笑ってんだよ!!!!」
「す、すまん。今のは忘れてくれ。勿論お前に殴られる覚悟はできている。存分にやってくれ・・・」
「う~~~~ん」
あれ?なんで悩んでいるんだ。
「そうしたいのはやまやまだけどな・・・このまま殴ったらお前センコーにチクるだろ。そしたらオレ退学になるからそれはまずいと思ってさ」
あれ?普段の九頭竜なら退学覚悟で問題を起こしそうなのに今回はなんか遠慮してるぞ。意外と退学は響くのか?
「安心しろ。もし殴られても俺はお前のことをチクらねぇよ。現に俺はお前がいない休日と今日、誰もあの秘密について喋ってないぞ。普段DQNに嫌悪感を抱くのだが、推しのエロゲヒロインの辰巳ノアさんの為ならこの口は鉄より硬くなるから心配しないでください」
「おい、お前、悪いことしてんのになんで上から目線なんだよ」
ヤバいますます怒ってる感じがし椅子から立ち上がったぞ。これは殴られる感じがしたと思ったら意外にも上着を脱いで布団で寝込んだぞ。
「もぅいいや。今日はだるいからお前帰れ」
「いや、なんでもしますよ。なんならおかゆ作りましょうか」
「いらねぇよ。次なんか言ったらマジでぶっ飛ばすぞ!!!」
これは何を言ってもダメなパターンだ。完全に不貞腐れて寝込んだぞ。
名残惜しいが買ってきたカットフルーツを置いて帰るか・・・・
「わ・・・・・分かったもう帰るよ。その代わりにここに来る前にお見舞いとしてカットフルーツ買ってきたから、良かったら食べてくれ。じゃあな」
俺はそれを置いてこの場に立ち去ろうとする。考えてみれば九頭竜は病人だから余計なことをしたらかえってうっとおしがられるな。普段は冷静な判断が出来るのに推しの声優前だとどうも気が狂うな・・・
「ちょっと待て、今いいこと思いついたからオレに付き合え」
その直前九頭竜に止められ、あいつはカットフルーツの入れ物を持ち意味深に笑った。な・・・・・何をするんだ・・・
「お前の落とし前思いついた。今からこれを食べさせろ」
「え?」
「え?じゃねぇよ。こんな簡単なこと普通出来るだろ?それとも後日お前をボコって、オレが退学になってもいいのか?ファンのお前が推しを退学にはしないだろ?」
「う・・・・・」
九頭竜はなんでこの発想を思いついたか理解はできないがノアさんを食べさせることはこれはご褒美だと思っていいんだよな。そう思いながら俺は再びこの畳に座る。
「おい、ここじゃ遠いだろ。もっと近くに来いよ」ずい
「う・・・・・・」
九頭竜は布団を捨てあのパジャマ姿のままで近づいてきた。熱があるにも関わらずになんて大胆なんだよ。熱で顔が赤いせいかこっちまで熱気が伝わってくるほどの近さだ。
「ほら、食わせろよ。あーーー」
片手にカットフルーツの器を持たされ目の前には口を開ける九頭竜。意外にもその口は思ってたより小さく見えて、その証拠に丸呑みしようと言わんばかりに懸命に口を開けていた。
「ほら・・・・・・お・・・・・・おーーーーしたよ。あやくくわせよ・・・」
「九頭竜は口を開けたまま喋っているのであまりまともに言えなかったように見える。俺的にはすでに付属のつまようじをパインにすでに刺しておりいつでも食べさせる体制に入っているのだが、どうしても目の前のパジャマからでも目立つ大きな胸の谷間に目がいってしまう。これが童〇であるがゆえの抵抗か・・・・
「おあ・・・・・おおーーーしたふぉーーー。はっはふぉしょほー。ほほまーじゃあふぉつはれふふぉ(オラ、どうしたんだ?さっさと食わせろよ。このままじゃ顎が疲れるぞ)」
なんとなく意味が分かるんだけど。そんな体制別に取らなくていいんではないかと思えてしまうが、ここはやけだ一気に食べさせるか。唾を飲み込みながら決心する。
「ほ・・・・・ほらよ」
「んあ・・・・・」
パインを口元を近づかせ舌元に当たるのを感じると食べる感触が走り俺はすぐに手元を遠ざけたどうやらうまいように食べさせたようだ・・・・・
それにしても食べ方がなんかいろいろエロいぞ・・・・・・まるでエロゲにありそうなプレイを実際に体験してるみたいだ。
「おい!!!なにボーとしってんだ。サッサと次くあせろよ」
「う・・・・・九頭竜、べ・・・・・別にそんなに無理に口を開けなくてもいいんじゃないか?普通の恰好で食べろよ」
「そ・・・・そうか。こっちはお前に気をきかせて口を大きく開けたんだがな・・・・」
それが、余計な事なんだよ。その行動が思春期の男を興奮させるんだよ。
「ほら・・・こ・・・・これでいいだろ」
「よし、」
これならムラムラ要素はあの胸元のみになったこれならなんとかまともに食べさせれるぞ・・・・
「おい!!!はぇぇよ。急に、口に入れるんじゃねぇよ。ゲボゲボ・・・・・・・うぇ」
まずい。安心しすぎて無理に喉元に押し込んだせいで九頭竜はむせこんで口元のイチゴを手元に吐き出してしまった。
「す・・・・すまん」
「たく、しっかりしろよ。」パク
あいつは涙目になりながらもそのイチゴを自分で食べた。今度は気を付けるか・・・・
その後俺は少し緊張しながらも容器がなくなるまでカットフルーツを食べさせたのだが、とても緊張したせいか全部食べさせるのに30分もかかったようだ。おかげでバイト以上にいろんな意味で疲れてしまった・・・・・・
「ふぅ・・・・・上手かったぜ。これならさっきのこと許してやってもいいぞ」
「そ・・・・・そうか・・・・」
「んだよ。なんで疲れてるんだよ」
「気のせいだよ・・・・」
そう言い九頭竜は気持ちよさそうに布団に体を広げた。
その間に時計をのぞくともうすぐ6時になろうとしていた。
「ん?うわっもうこんな時間か」
「あ?もう6時か?もっと、入ろよ」
「さすがにな・・・・もうこの時間両親が帰る時間だよ」
「心配すんな。オレに・・・・・・家族はいねぇよ」
「え?」
ガラっ
「乃希亜ちゃん入るよ」
俺はその意味深な言葉が気になった直後玄関から男性の声が聞こえる。
「チッ別に来なくていいのによ・・・・・」
そう舌打ちしているがその玄関からの音は段々とこちらに近づきふすまを開ける。
するとそこには初老のスーツを着た紳士的なおじさんが入ってきた。もしかしてお父さん?
「あれ?もしかしてお客さん?」
「おい、オッサンなんで来たんだよ」
「なにって叔父として心配に来たんだけど」
「それが余計なことだよ・・・・・・うぜぇな・・・」
「あの・・・・・九頭竜?」
「あ?こいつか?オレの叔父だよ」
「失礼しました。私は、乃希亜の叔父の松村でこれが名刺です」
俺は、その名刺を受け取る。ん?松村プロダクション代表取締社長?どこかで聞いたような・・・・・
「実はわたくし、声優事務所を立ち上げているんだ」
「おい、余計なことを言うな」
「ってことはくず・・・・・辰巳ノアさんのとこの事務所の・・・」
「あ?もしかして、そのことを知ってるってことは貴方が大河さんですか?」
「なぜ俺の事を・・・」
「姪から話を聞いてます。貴方が噂の彼氏さんですか?」
「え?・・・・・・・あっはいそうですけど・・・・もしかしてまずかったですか?」
「いいえ、辰巳ノアというのは、名前以外公開されてないから大抵なことは目を瞑りますよ」
そういえば、ノアさんって他の声優と違って名義以外顔も年齢もすべて非公開だったな。まさかその正体が現役JKでしかもヤンキーだとは誰も思わないだろうな。
しかしそれにしてもこの社長さんなんかとても優しそうだけど、なんでか九頭竜の方を見るとさっきとうって変わって機嫌が悪く見えるんだけど・・・・
もしかして仲が悪いのか?
「おい、大河もういいだろ。サッサと帰れ」
「え?でももうすこし居てくれって・・・」
「気が変わったんだよ」
「乃希亜ちゃんわたしは別にいいんだよ」
「いいから帰れ!!!!」
松村さんの仲裁にも関わらず九頭竜は怒鳴り散らし、空気が一気に重くなった。
「わ・・・・・・分かった帰るよ。じゃあな」
俺は、その意思に推し負けて静かにこの場を去ることにした。よく見ると松村さんのカバンには重要そうな資料を持ってたのが見えたのでどうやら打ち合わせをするのだろう。そんな中部外者の俺がいたら邪魔だから気をかけたのだろう。
とにかく言われるがままにこの場を後にした。
「あ・・・・・・いいのかい?」
「別にいい。あいつがいたら、仕事の邪魔だ。打ち合わせ始めるんだろ」
「ああ・・・・」
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