相合傘で確かめる

春風月葉

相合傘で確かめる

 二人で入る傘の下、彼の肩は濡れていた。

 きっと私が濡れて寒くないようにだと思うとその優しさが嬉しくて、一人だけ濡れる彼の姿が悲しくて、すっと傘を左に押し出した。

 傘から滴る雨水が私の肩を少しずつ濡らす。

 冷たいな。

 彼と触れる左の身体はとても暖かいのに、雨に濡れる右の身体は少し冷たい。

 傘が小さかったのか、結局二人とも半分ずつだけ傘の下に身体をしまって違う方の肩を濡らす。

 お互いに優しさを押し付けあって、小さな傘を分け合う。

 傘の下では全てが半分だった。

 濡れた分だけ相手を思い、濡れぬ分だけ思われる。

 この傘の下ではきっと、私と彼は全てを分け合えていた。

 そう、この傘の下では…だ。

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相合傘で確かめる 春風月葉 @HarukazeTsukiha

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