#4-2 仕組みを知った
救世主の呼び出した日から各王都は賑わっていた。
その理由は単純、七英傑がまた動き出し、さらには救世主も動き出すの。人は英雄譚に憧れを持ち、そして希望をもらう。
それはサピエンスや他の種族がレギオンに対して反撃をすることを意味する。
日々ギルドの冒険者や王都の騎士が多くのレギオンを討伐しているが、今だ『巣』を攻略できていないがため、根本的にレギオンを減らせてはいない。そのため進行を抑えきれず滅んだ国や街は数え切れない。
しかしそれも今日までだ。
これからは大陸にある巣という巣を攻略し多くの命を守る。怖がる日々ももう
終わりを告げたのだ。
大陸の東にある王都バルク。そこには多くの種族が暮らしており、もちろん何十日も賑わいを見せる国であり、そして他の国よりも早く動き出した。
「この活気を消さないためにも早々に巣を攻略する必要がある」
「分かってます。そのために準備もしてきました」
バルク玉座の間にて、女王アニエは救世主として呼び出した者に確認をとる。何事にも迅速な対応が必要であり、特に今回のだけは遅れてはならない。
だが心配する必要はなさそうだとアニエは思った。自身が呼び出した救世主、近江椿はアニエから見たらまだ幼いし、甘さがある。しかしそれを補える行動力と順応さがあった。
何も知らされずに呼び出され、何も知らないまま祭り上げられ、何も知らないまま戦いに巻き込まれた。その突然と突き付けられた現実に彼女は迷わず順応できた。
しかもギフトを使いこなすため呼び出されてすぐに訓練を始め、救世主の中で一番に使えるようになり、それを自身のものとした。
他の救世主がどの様な者かは詳しくは知らないが、この王都が一番に動く。そのため近江は今日一つの巣を攻略することとなっている。これが成功すれば王都はさらに活気が増し、他の国よりも『有利』になる。
「では行ってきます」
「ああ、朗報を期待しているよ」
僕と彼女のウォーゲーム トウモロコシの粒 @zenten
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