第9話 両親の行方を追って
朝──…宿屋のロビーでは、リディルが一番先に待っていた。リディルは二人が来る前に、フロントのスタッフにあることを尋ねた。
「あの…この街に、隣のリ=ハティアから夫婦が来ませんでしたか?」
「隣街から…ですか?…さぁ…我々もそこまでは…そういえばお客様、失礼ですがリ=ハティアの領主・ハーティア様のお嬢様…ですよね? ご夫婦というのは、ご両親でしょうか?」
「あ…はい、次女のリディルです。そうなんです、二人ともしばらく帰ってきていないもので…」
「隣街から、はるばるご苦労様です。ご両親のことでお調べするのでしたら、ラミアーユ様を伺ってはいかがでしょう? もしこの街に最近一度でも足を運んでいらっしゃれば、領主様にご挨拶していると思いますから」
「そうね…その手があったわ…ありがとうございます。連れが来たら、伺ってみようと思います」
「あ、それでは、こちらから事前にラミアーユ様へご連絡しておきますよ。この時間帯なら、お仕事までにまだ時間もありますし、ゆっくりお話しできると思いますよ」
「ありがとうございます…すみません、何から何まで…」
「いえいえ、お困りとあらばこれくらいのこと。お気になさらず」
そう言い、にこりと笑顔を向けながら、電話をかけるスタッフ。ちょうどその時、部屋から二人も降りてきた。
「あら? リディル、何かあったの?」
「あ、えぇ…母さんたちの手がかりを聞いてて、今ラミアーユ氏に謁見できるかどうか、話をつけてくれているの」
「そうだったの。 確かに領主同士なら、挨拶はしているかもしれないものね」
「ラミアーユ氏か…久しぶりだな…」
「? フィーズ、何か言った?」
「あ、いや…何もないさ」
「お待たせしました。 確認しましたところ、ぜひお話を伺いたいとのことでしたので、皆様おそろいで向かうことをお伝えしておきました」
「ありがとうございます。 行きましょ」
「お世話になりました」
「はい、道中お気を付けて」
カウンターでチェックアウトを済ませ、三人は宿屋を後にし、ラミアーユ氏の待つ屋敷へ向かうことになった。
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