クレール王国情報

【クレール王国/主人公の生まれた国】

 <基本情報>

 ・君主制(王政)

 ・日本に似た文化がある

 ・スクロール技術の進んだ国

 ・首都のシンボルは山の上に建てられた城(西洋風)

 ・国民の平均身長は他国(特に列強国)と比べると小さく、成人男性で170cmです。


 我々書き手読み手の視点で見ると『日本文化』が多い理由ですが、これにはいくつか理由があります。書き手の視点で書くので『日本』という言葉が出てきますが、物語に日本が関係することは恐らくないです。


●武器

 まずは刀について。

 『異世界設定』で書いたものの繰り返しになりますが、まずこの国の人間は周辺国家と比べやや小柄で力が弱いです。周辺国家との争いになったときに力負けしてしまいます。なので力ではなく技で斬る刀が誕生しました。


 戦争での主な武器が刀なわけではないです。槍や弓も使いますが、近接攻撃の手段を模索した結果、西洋の剣より日本の刀に似ました。


 ここで知識のある皆さんなら、『レイピアと刀はほぼ同じ重さで0.9~1.5kg』ということやブロードソードの方がやや軽いと言うかもしれません。アーミングソード(ナイトリーソード)も0.9~1.5kgと刀と似た重さをしています。

 しかしそれらの刀以外の剣は、基本的に打撃武器のような使い方によって押し切ります。これには理由があり、甲冑を切るのならば刃があっても刃こぼれするだけなので、押し切る剣が作られたそうです。技術的には切れ味のあるものも作れたそうですが、戦場においてはそういった甲冑相手でも使いやすいものが好まれたという事です。


 前述の通り、力の無かった当時のクレール国民は押し切るのに必要な力が、他の優れた者に及ばないことがありました。ならば隙のあるところを切れ味の良いもので斬りつけ、出血を狙うようになったわけです。結果的に日本刀のようになりました。


●身長から見るこの世界での刀の長さ

 やや小柄なクレール国民ですが、成人男性で言うと現代の日本人と同じ170cm前後です。周辺国家は178cmくらいです。これは刀を使用していた時代の日本人と比べるとかなり大きいです。江戸時代の武士は2尺2~3寸程度(66~70cm)の居合刀を好んだと聞きますが、クレール国で使用される刀の多くは2尺4寸(72cm)からと少し長いです。これらは居合刀の刃の長さなので、柄まで含めるともっとあります。太刀ともなれば90cmあっても良いかもしれません。

 そうしますと現代に伝わる日本刀よりも、やや重くなるかっもしれません。ですが後述のスクロール技術の発達により、『重さ・切れ味・刃こぼれ対策』等の補助がされていることがあるので、大きな障害にはなりません。また建国より時が経っておりますので、他国民との交配により、単純な運動能力の優劣の差は埋まってきています。


●食器

 次に箸・陶器等の模様について。

 箸はご存知の通り二本で一組の食器です。この世界においては二本使うというのが重要になってきます。


 かつて二本一組の武器を使い、魔を払った神がいたという話があります。男性の神で力が強く数々の技を修めたと言います。武器は剣なのか棍なのかはたまた槌か盾か……。詳しいことはわかっていませんが、二振りの剣を巧みに操る二刀流の剣士というのが一般的です。

 この神を信仰し、祭事で使用していたものがいつの間にか食事に使う箸になったと考えられています。

 神へ信仰心からのものなのでクレール国だけでなく、この神を信仰する地域では箸を使う国・人々がいます。刀が生まれた経緯でも書いた通り、軍事力が不足していた背景や民族的に力が弱いこともあり、クレール国では最も勢力の大きい宗教の一つです。よって国内ほとんどの民が箸を使用し食事をします。


 国によって多少差はありますが、大陸全土で陶磁器とガラスをつくる技術があります。しかしこの国では、どちらかと言えば陶器が多く使われています。皿や花瓶などにもスクロール技術が使われたり、クレール国のスクロール技術を用いた模様や絵はもはや芸術となっており、魔術の発動はできないが見た目の良い食器もあります。主に富裕層が魔術の触媒にもなる食器を使います。


 これらの食器は工芸品として人気が高く、輸出のメイン商品の一つです。


●服装

 この国の人間はほとんどの人間が着物(和服)を着ています。

 衣服が日本の民族衣装と酷似しているのは、魔術が関わってきます。何度も書いている通り、決してひ弱とか虚弱体質というわけではないのですが、クレール国の人間は周辺国家と比べ力が弱いです。そのため周辺国家のように強度のある鎧を着ると、その重さで動きが鈍り戦闘で不利になることが多々ありました。

 そこで登場するのが当時から各国で使用されていた魔術のスクロールにです。魔術のスクロールは羊皮紙や布に書かれた魔術を発動する魔道具なのですが、羊皮紙に書いて使用するのが一般的でした。というのも、『魔術』の項目で書きましたがこの世界ではあらゆるものに魔力が宿ります。それは死後も続き、羊皮紙にも宿るものです。羊皮紙と布では魔術の伝導率・魔力保有量が違い、羊皮紙が優秀でした。

 ですがクレール国はこれを絹に用いました。絹は通常の植物性の布と比べ、伝導率・魔力保有量が優れていました。この絹に魔術を組み込んだものが和服に似た服装の始まりです。

 一説では戦争で武具を破損した兵士が布のスクロールを身にまとい敵陣に突っ込み生還したことが先駆けだったとも。布をまとったため縫い目が肩より下にあったり、袖や褄下がゆったりとしていたりするというのが根拠らしいです。

 これらの模様はのちに皿等の模様や絵画にも影響していきました。


 そんなこともあり、いつの間にかスクロール技術を流用した服は複雑な魔術を発動させるものにまでなり、高位の魔術の発動に必要な文字や模様も複雑さ・多様性を増していきました。それが結果的に獣や花、菱文や亀甲文など様々な模様の服が生まれました。

 これらの複雑な模様が描かれた服は主に戦闘服として用いたり、上流階級の者たちが普段着として着ています。それ以外の庶民は絹製の服とは性能が落ちますが、植物性の布で模様がいくつか描かれた服を着ます。裏を返せば国民全員が効果は薄いとはいえ、なにかの魔術を発動できる状況にあることになります。

 これらの事からクレール国は全国民が武装した国家となり、晴れて他国との戦争面で安定した生活を送れるようになりました。


 技術者達から区分として『クレール式スクロール魔術』と位置付けられています。他国のものは細かな区分はあると思いますが、クレール式と比べると、全て『一般的スクロール魔術』です。


●気候

 次は気候になります。

 内陸国のため台風はないです。日本のように蒸し暑くもなく、欧州のようなカラッとした夏がやってきます。

 全体的に雨量は日本のように多くないです。また気温と雨量の年較差が日本より大きいです。


 前述の通り日本のように海に囲まれ、鎖国していたために欧州の文化が入りづらく、文化を維持してきたわけではありません。そうなる理由があっての事ですので、他の国と陸続きでも文化を確実に維持していきますし、良い文化は取り入れていきます。なので草鞋や下駄は存在しません。その代わりに靴があります。


 日本のように四季は存在します。しかし、日本ほどはっきりした春夏秋冬があるわけではありません。


●水

 水はところにより軟水で、そのまま飲んでも腹を壊したりはしません。中軟水や硬水の地域もあります。

 軟水地域のある理由として首都にある山が関係します。険しい山のため地下にたまる前に流れ出し、ミネラルを蓄積しづらいからです。

 この山の大規模な湧き水が川の源流となっています。それがシーン国へと伸びる国際河川です。

 この川の水以外は中軟水または硬水です。

 日本には劣りますが稲作できる程度に水が豊富です。


 なんで地域で軟水硬水別れるんだと思うかもしれませんが、過去の海洋生物の死骸から石灰岩ができたりとか、硬度の違いとか考えました。大陸は硬水、島国は軟水という事も把握しております。ですが、スペインでもマドリードとバルセロナで水質違うしもういいやという感じで投げます。暇なとき真面目に考えます。


 他の国の話になりますが、山がなだらかだったり、地下に石灰岩が存在することもあるため硬水の地域が多いです。もちろんアルプスの湧き水をそのまま飲む、オーストリアのような国もあると思います。地質や山の高度・傾斜などの細かい設定は後々考えます。


 一応ですが水魔術の使用で、軟水を生成することが可能です。しかし町全体の住民・農作物に供給するには膨大な魔力が必要になるため、農作物は川の水を使います。水魔術師による、『水売り』も存在します。これは他国にも言える事です。

 クレール国は軟水がまだ豊富にあったため『クレール酒(日本酒)』が存在しますが、他国ですと日持ちする『ワイン』がお酒としては一般的かもしれません。


●食料

 主食は米です。米はもともとその地域に自生していました。それだけの環境があったので、田んぼも作られていきました。田園風景は日本と変わらないかもしれません。


 肉類は他の周辺国家と同じく、家畜として牛豚羊鶏を飼育し食料とします。またガチョウ、兎、孔雀なども食べます。主に作物が取れない冬に食肉に処理される事が多い。

 豚に関してですが家畜の歴史が浅いことや魔力の関係からか、イノシシのような見た目をしていて、現代人のイメージする豚というには毛深いです。


 野菜は人参やジャガイモ、キャベツなど地球のように種類はたくさんありますが、主に作られるのはジャガイモ・豆・玉ねぎ・にんにく・にんじん・その他ハーブ系です。


●地形

 こういう地形と書いてもイメージしづらいと思うので、地球で似ているものを書きます。


 インディカ米の水田栽培がイタリアで出来ていたはずなので、きっと地理はイタリアなんだと思います。でも南ドイツの風景が好きなので南ドイツに近い地形とします。

 山とか川は物語の侵攻していく途中で設定して順次更新します。都合により、南ドイツからかけ離れたものになるかもしれません。

 

 シーン国に向かう国際河川があり、上流側がクレール国です。シーン国はかつて自国の裏切り者にクレール国側の川から毒を流されたことがあり、国家間の戦争になりました。結果として裏切者は捕まり処刑されたのですが、シーン国はクレール国に賠償金などを払う事はありませんでした。


『小話』

 これに怒ったかつてのクレール国はシーン国と国交を断絶。周辺国家に『連盟から抜ける』と圧力をかけます。この連盟とは対神聖グランツ帝国の連盟です。大国であるシーン国はグランツ帝国と張り合える程度の国力がありましたが、その他の国は一国だけで戦争すると負ける恐れがありました。グランツ帝国の強さはどこの国も知っていますから、規模の小さい国や弱い国は今までは連合を組んで対応していました。

 この際に重要な役割を担っていたのがクレール国です。クレール国は得意のスクロール技術を用いた生地や魔道具の生産を行っていました。これを連盟で共有することで戦力の増強を図っていました。しかしそのクレール国が連盟を抜けるとなると戦力の大幅ダウンは必然でした。

 これに焦った諸外国はクレール国の機嫌を損ねる原因となったシーン国を非難し、外交的圧力をかけました。

 グランツ帝国といつ戦争になるかもわからないのに、諸外国を突っぱねて戦争にでもなったら時刻が滅びるのは必然。さすがに諸外国を無下にできなかったシーン国はクレール国に謝罪。賠償金も払い国交も回復しました。

 クレール王国は単体としてはシーン国に物量差で負けますが、グランツ帝国からの侵攻などの背景から強気に出ることができます。


●建国までの歴史

 クレール王国はもともとシーン国の国民であり、土地もシーン国のものでした。国が分かれた理由はシーン国は超人が生まれやすい国でしたが、長い間超人の生まれない家系もありました。才能に嫉妬した者達が離反し、勝手にシーン国西部に建国し独立を宣言します。この離反した者には超人になれなかった者たちや、身体的に優れない者たちが多かったそうです。超人はもちろん、一般人から見ても落ちこぼれと見られる者達が建国当時の人間です。

 シーン国は初め、少数の軍と英雄を派遣すれば解決するだろうと考えました。しかし今日までクレール王国が健在なように、シーン国にとって思わぬ結果をもたらすことになりました。


 落ちこぼれだった当時のクレール軍ですが、この人間たちの中で一際落ちこぼれで天才に対して執着心のある『クレール』という男がいました。後にシーン国を苦しめ、国王になる男です。

 クレールは才能は有りませんでしたが、天才を超えるためにありとあらゆる可能性を考え実行する人間でした。秀才とも言えますが天才に対するコンプレックスからくる研究は妄執的で変人扱いされていました。

 彼は超人・英雄を倒すために極限まで妥協しない手段を取りました。まず才がないものや学のないものでも魔術が使えるように魔術スクロールを大量生産します。


 次に神聖グランツ帝国に対してシーン国と独立戦争をすることを伝えシーン国の背後を襲うように誘いました。この当時からすでに帝国とシーン国の因縁は始まっており、ちょうど前回の戦争から回復してきた頃なので、これ幸いとクレーン国に乗っかる形で宣戦布告。シーン国に侵攻を開始しました。この時代のグランツ帝王は忌々しいシーン国が勝手に内部分裂して大爆笑だったとかなんとか。


 さらにクレールはシーン国内にいた頃より計画を練っており、数人の人間を引き込んでいました。それが当時の有名な英雄の思い人にあたる人で家系的には才能がない側でした。思い人が反対勢力にいることを知った英雄は悩んだ末にクレール国側に着くことを決意しました。こういった恋人や家族で数人の超人・英雄を味方につける事に成功しました。


 最後に当時からの問題として、獣人が差別されていました。獣人の国もあったのですが、帝国からの迫害・侵略や、迫害による難民が列強国の一つであるシーン国に流れていました。シーン国内からは難民=獣人のイメージが付き、難民の受け入れこそするものの身分は低いものでした。

 そこに目を付けたクレールは自分が新しく作り上げる国において獣人をはじめとする人間以外の種族の迫害をしないものとし、シーン国内外の獣人からの評価を高めました。これにより多くの獣人が移住し、獣人の国からの協力を仰ぐことにも成功します。


 こうしてクレール国は自国の国力増強と共に、シーン国の力を削ぐことに成功し、最終的に独立にこぎ着けました。後に獣人を積極的に受け入れたことを知ったグランツ帝国の反感を買うことになりますが、周辺の国家と共に同盟を組み幾度もの侵略を防いで行きます。


●首都と周辺の町

 上記の独立戦争のためにクレールをはじめとする革命軍は軍事施設を建設します。これがのちのクレール国首都で、他の国とは違った築城の方法を取ることになりました。

 城塞を築くのは主に防衛の目的です。しかしクレール国が一時的に得た土地は当時あまり開発されておらず、城塞を乗っ取ろうにも何もない状況でした。そのため防衛目的の城塞ではなく、軍事陣地の拠点を山に築きます。拠点は質素なものだったので土づくりの山城のようなイメージです。

 これは独立戦争で壊れましたが、戦争が終わると再び同じ場所に軍事目的の拠点が作られました。そのころには十分に獣人が集まっていましたから、彼らと共に城を築き、再び来るかもしれない戦争に備えました。他の町は城塞が築かれましたがこの城は城塞を築きませんでした。山の上に建てられたその城はあくまで軍事陣地であり、一般の国民は住んでいなかったので集落を囲う必要がなかったためです。


 しかししばらくして首都まで乗り込まれるような戦争がなくなると徐々に城の周りに人が住むようになり、城下町ができました。戦争が落ち着いたら別の場所に首都を移すつもりだったのですが、人が住んでしまったので今の首都のままです。


 現在は立地の問題から城はあまり使われず、国王の住居と政治の場はその城とは別です。しかしそれでも一定数の兵士は駐在しています。またクレール王国の首都のシンボルとして観光資源にもなっています。貴族と政治機関、そして都市の周りは、壁がない代わりに人員的・魔術的に防衛されています。

 一応計画としては存在した別の町での王の住居は、現在では別荘的扱いになっています。もし万が一、首都が襲撃され崩壊するようなことがあれば、その別の町の別荘で再度防衛・奪還できるだけの備蓄はあります。

 

 何度か城下町の住民を別の町に異動させようと試みたのですがうまくいかず、独立戦争も終わってしまったので、城塞都市になることもありませんでした。要塞都市にするには、要塞を作る際の計画・資金がうまくいきませんでした。人が集まるのに時間が掛かったことと、集まりすぎたためでもあります。これはいつか要塞都市作成においての将来性・計画性を書く時が来たら書くと思います。


 首都の住民の安全ですが、冒険者と兵士が城下町周辺の魔物を駆除することで治安を保っています。ここでは防衛措置はされているとはいえ要塞がないため、冒険者の需要が多く、首都でもあるため供給も多いので冒険者に人気があります。

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