第4話 救助依頼
森に迷い込んだお子さんの救助依頼ですね。中肉中背の七歳の男の子で、多少魔術が使えるそうです。森に迷い込んでから既に三日経過しています。この依頼は十日以内に達成されるか延長連絡がなければ、再び掲示板に張り出されますのでご注意ください」
依頼の詳しい内容を聞き流しながら契約書にサインし冒険者ギルドを出る。結局儲け話は良いものが見つからなかった。もう少し経てば涼しくなって割の良い討伐依頼が張り出されるはずだからそれまでは今あるものをこなしていくことにした。
今回は森に迷い込んだ子供の救助依頼。魔物も生息する森だし三日も経っているようじゃあ望みは薄いが依頼が出ている以上行かぬ訳にはいくまい。生きていればそのまま救助だし、最悪の場合死んでいたら遺体か本人確認できるものを持っていけば納得してもらえるだろう。
依頼主の話では森の奥にはかつて木こりが使っていたような少し古びた小屋があるらしい。生きているならここにいる可能性が高いとのこと。
道具をそろえて町を出た俺は真っ直ぐ森に向かう。あまり遠くはないから二日あれば着くだろう。目的は救助であって討伐系ではないことと、森に生息する魔物に強力なものが少ないので今回は一人で依頼を受けた。一人は大変ではあるが報酬で揉めないのでそういう意味では楽だ。
途中で野営の準備をする。子供が迷った森を超えてさらに進むと、前回傭兵として参加した戦争の現場に着く。クレールは首都が西寄りで、戦争の舞台となった獣人の国に近い。だからこの辺は軍がある程度掃除して魔物も少ないだろう。野営地もまだ首都に近いし少しは安全だ。
進む距離には限度がある。夜が来ると視界が悪く進みづらい。魔術を使って明かりを灯しても良いが、魔物が寄ってきそうなので基本やらない。今は季節的には夏から秋に代わる途中だからますます距離が稼げないから、なおさら距離は伸びない。まあ秋に近づき収穫の時期になるから戦争が終わったとも言えるが。戦争してたらこの辺りも今より忙しかったかもしれない。
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