本編
第1話 今世でまた会いたかったぜ
転生しましたが俺には金がねえです。弟が何とかって病気で年間ウン十万、ウン百万もの大金が必要だった。儲け話を聞いては、かわいい弟のために金を稼ぎに行く。手段は冒険者として魔物退治や護衛任務を達成すること。
同盟国が列強国に喧嘩吹っ掛けられて戦争しているのでその現場に来ている。もうじき開戦だ。
ここの戦争は毎日やっているわけではないが、三年に一度くらいはちょっかいかけられるため、長い目で見るとずいぶん長いこと続いている戦争だ。前世でもそうだったが宗教がらみの戦争は本当にめんどくさい。採算取れなくてもやることあるし。俺たちのような金が欲しい半ばならず者になっているような人間は稼がせてもらっているけどな。
列強国だけあって敵は数も質もこちらより上だ。敵が本気で来ないのが救い。戦場では毎日顔見知りが死んで逝ったり、敵に異端者は死ねとか言われる環境だが、報酬がうまいから自分の命より金が欲しい人間はウキウキな現場だ。転生というものが本当にあることを知った後だと、『来世では平和な世界に生まれろよ!』と思う。『今世でまた会おうぜ』と言って『何を当たり前なことを』と笑っていた仲間が死ぬのは今でもちょっと心に来る。転生というシステムがあるならいずれまた彼らとも会うことがあるだろうが、それでも今世で彼らとまた会いたかった。
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