じゃぁ、ちょいと長話になるけど、わかっちゃったことを説明させてもらうね。

 まぁ、さっき言った通りこちとらは忍や武士が生きて多くのいくさに血を流した戦国の時代よりも過去の時代の者だったわけ。

 戦国の時代は、勿論この場にいる才造サイゾウ莎羅クグラが忍として暗躍してた時代だし、その時もこちとらは才造と共に墨幸忍隊すみゆきしのびたい十勇士じゅうゆうしをやってた頃だったね。

 その時代に一度、伝説の忍であった虎太コタとの戦いで相討った。

 その拍子に異世界に魂のだけが行っちゃったって話があった。

 その異世界では、こちとらが神だってことが判明。

 忍術や妖術、神の力を駆使して開門かいもん術を作り出し、現世に帰宅。

 けど、ここで修正を入れなきゃいけなくなった。

 その異世界は現世と同じものだったわけ。

 記憶が正しいならね。

 けど、能力だとか属性だとか意味わかんないもので溢れてる異世界の何処が現世と同じと言えるか。

 早い話、その異世界は今いるこの現世の未来だったってこと。

 未来ではこちとらは神だって話になる。

 神として封印されていたこちとらは封印を解いて肉体を得たはずだったけど、この三日前にその肉体は消滅したよね。

 それはまぁ、仕組み的には置いとくとする。

 けど、そうなるとこちとらは未来の者となる。

 けどそうじゃなかった。

 こちとらはさっきも言ったけど、戦国の時代より過去のいにしえ大妖怪だいようかい

 時の門、つまり今までの開門術で開けてきた門と同種のものを開けて現在、未来を行き来出来る。

 だからそれで説明はつく。

 こちとらは遥か過去の者だったってこと。

 今回の問題は、その未来とを繋げる時空の穴。

 こちとらでないと開けられないはずの、穴だった。

 何故、それがこちとらの感覚と一緒っで違和感が得られなかったか。

 そこで一つ、仮説を立てさせてもらう。

 こちとらが、三人存在するならば。

 過去の者、つまりここに居るこちとら。

 現在の者、つまりここにはいないが現在で息するこちとら。

 そして、未来の者、、、神となったこちとら。

 神としての肉体は消滅したけど、もしそれが支障のないことだったなら、きっと今も何処かで。

 わかるね?

 こちとらが複数存在するならば、知らない場所で同種の穴を開けていても可笑しくはない。

 こうなると、別のこちとらと会う可能性も出てくる。

 会ってみないとわからない。

 この仮説が正しいなら、大問題だけどね。

 自分で言うけど、こちとらという強力な厄介者が複数存在してるとなると、この世も終わりよ。

 何をするかわかりゃしない。

 でも、もし、出会うとすれば、、、。

 全てを知ってるのは未来のこちとらだ。

 現在のこちとらは、きっと今ここで話してることも、これからどう動くかも把握してる。

 何かをするにしても、戦うなら不利になる。

 悔しいけど、自分に負けるってことだ。

 でも、そうなればこちとら単独とは限らない。

 未来の方は知らないけど、現在のこちとらなら才造も皆も、一緒にいても可笑しくない。

 居なかったら、死んだってことか別行動か。

 それがわかりゃしない。

 だから、、、だから、、、覚悟が必要になる。

 決められた線路の上を走ってるってことだから。

 きっと、変えることは出来ない。

 どんな動きをしても、結果は一つ。

 古の大妖怪、影猫エイネコ

 猫又ねこまたであり、時を跨いで誇る妖怪ようかいの頂点に君臨する強者きょうじゃ

 そう謳われてきたこちとらが、何故?

 過去から現在に来たのは、過去を変える為。

 何があったのかって?

 人間が勝手に伝えたこちとらの話は妖怪では間違いだ。

 妖怪の頂点には、十本頭じゅっぽんがしらという位置づけがあるの。

 その内の一匹がこちとら。

第一頭だいいっとう破壊はかい大妖怪だいようかい大百足おおむかで[龍号リュウゴウ]

第二頭だいにとう厄災やくさい大妖怪だいようかい大蛟おおみずち[最月サイゲツ]

第三頭だいさんとう時空じくう大妖怪だいようかい化猫ばけねこ[影猫エイネコ]

第四頭だいよんとう再生さいせい大妖怪だいようかい天虎てんこ[ザイ]

第五頭だいごとう幻影げんえい大妖怪だいようかい九尾狐きゅうびのきつね[穴吹アナブキ]

第六頭だいろくとう地王じおう大妖怪だいようかい餓者髑髏がしゃどくろ[]

第七頭だいななとう安寧あんねい大妖怪だいようかい古狸ふるだぬき[如月キサラギ]

第八頭だいはっとう食尽しょくじん大妖怪だいようかいおに[鬼塚キヅカ]

第九頭だいきゅうとう海王かいおう大妖怪だいようかい巨大鮫きょだいざめ[大灯ダイトウ]

第十頭だいじゅっとう空王くうおう大妖怪だいようかい鴉天狗からすてんぐ[翼刃よくば]

 これが君臨していた。

 ちなみに、天狐てんこ天虎てんこは違うからね。

 書物にあった通りの呼ばれ名だけど、何故こちとらだけが、頂点に君臨するなんてことを言われ始めたか。

 それは、、、生き残ったのがこちとらだけだったから。

 過去は、崩壊した。

 意味わかんないよね。

 けど、そういうことなの。

 こちとらだけが、名の通り、時空の大妖怪だから時の門を開いて現在へと逃げ出した。

 その先で人間として隠れて生きることにした。

 あれからどうなったかは、わからない。

 けど、生きてるなら、もし、生きてるなら会うことが出来るかもしれない。

 ただ、記憶を封じたばっかりに、忍になんてなっちゃったり、鬼に育てられたり、九尾の狐に育てられたり。

 けど、こちとらは死んだも同じ。

 魂だけを抜かして、死んだ身体を捨てて別の者へ取り憑いては生き長らえる。

 あやかしの便利さはこういうとこね。

 だから、消滅さえしてなかったら、十本頭は皆生きてるだろうね。

 けど、多分こちとらは恨まれてる。

 見捨てて現在へ逃げたんだから。

 卑怯者よ。

 妖にだってそれぞれ感情も礼儀もある。

 それだけじゃないけど。

 十本頭がある理由ってのは、それぞれに属する妖たちをまとめるリーダー的な存在かな。

 例えば、海の妖怪は、海王の大妖怪のとこに属する。

 そんな感じ。

 十本頭の中で誰が一番強いかっていわれればわかんないけどね。

 十本頭のリーダーは、誰でもなかった。

 けど、一番の信用と信頼はこちとらに置かれていたし、まとめていたのもこちとらで、でも、こちとらはそれらを裏切ったんだ。

 嗚呼ああ、どうしようもない。

 まぁ、長話したけど、記憶が正しいならそういうことかな。

 ごめんね。

 なんか、よくわかんなかったかな?

 こちとらだって、まだ、色々と苦しいんだ。

 今後また何かをわかったら説明するし、色々それなりにするつもりだから。

 取り敢えず、こちとらの正体はこんな感じ。

 でもまだ、引っかかる。

 まだ、何かある。

 そう思う。

 ま、一応はここいらで終えとくよ。

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