第2話 出会いと王宮へ

レイリル王国商店街

クロノ視点


クロノは商店街を歩いていた。


リウは楽しそうにクロノの周りをくるくる飛んでいる。


突如、リウが何かを見つけてクロノの手を引っ張った。


「ちょ、リウ?どうしたの?」

リウがクロノを強引に連れていった先には、駄菓子屋があった。


色とりどりのアメ玉や、ガム、小粒のチョコレート、ハート型のラムネなど、美味しそうなものばかりが並んでいる。


その中にあるコンペイトウの上をふよふよ飛びながら、リウはきゅー!きゅー!と鳴いた。


「これが欲しいの?」

クロノが首を傾けてリウに尋ねると、リウはきゅる!と嬉しそうに鳴く。


…か、可愛い…


そのおねだりする姿にクロノは不覚にもキュンと来てしまい、仕方ないなぁと言って駄菓子屋の店員に代金を渡した。


駄菓子屋の店員にそのコンペイトウを小瓶に入れて貰い、リウに何粒かあげた。


リウは満足気な顔をして、コンペイトウを頬張っている。


何とも言えない可愛さである。


クロノは、自分もなにか食べなきゃと思い、レイリル名物と書かれた分厚いサンドイッチを買って口に頬張った。


「なんだろ…これ」

うまく表せないが、トマトの酸味と木苺の甘酸っぱさとカスタードクリームが合わさって、なんとも言えないような味がした。


商店街では、色々な人が行き交い、人混みが少し苦手なクロノにとって、気持ちのいい場所ではなかった。


「リウ、ちょっと裏行こ?」


人混みを避けて、クロノ達は薄暗い路地裏に足を踏み入れた。


「リウ、どこ行こっか…」

そう、クロノ達には行くべき場所が決まってなかったのだ。


…とりあえず路地裏を抜けてみよう。

クロノ達は今来た反対方向に向かって歩き出す。少し歩くと、大通りに出た。


商店街ほどの人混みではなく、クロノはほっとした。


「ちょいと、そこのお嬢ちゃん」


クロノは見知らぬ誰かに声をかけられた。

「何でしょう?」


「ちょっとこれ持って王宮に行ってきて欲しいんだよネ」


「……は?」


ちょっと、ちょっと待とう。

そもそもなんで私?てか王宮?なんの用事?この人は見知らぬ人に王宮に行く用事を押し付けてるの?……


「悪いことにはならない、それはこのボクが保証するヨ」


何とも怪しい…怪しすぎる。

クロノは突然の頼み事に顔をしかめている。


「それじゃ、頼んだ!」

「えっちょっ…リウ!!その人捕まえてっ!」


クロノは、手を握られ、手のひらの中に小さなコインのようなものが握られていた。


咄嗟にリウに助けを求めたのだが…


「…すぅ……すぴー…」


肝心の本人はクロノの肩で昼寝をしていた。


「もうっ!…仕方ない……」


クロノはとぼとぼ王宮へ歩き出した。

確かに、なにも目的がないのも事実なわけで。


「あ…名前すら聞けてない…」


クロノはあの人への苛立ちでコインを割れんばかりに握りしめた。


次…次会ったら仕返ししてやる…ッ

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