第17話涙

ゲートから出た前田春香は急いで青流を止めに行くが青流は勢い良く吹き出ている。前田春香は紫色のバリアーを張って青流を止めようとする。

「前田さん⁉︎」

クラスのみんなが集まって来た。涼風香里(すずかぜかおり)が歩いて来て黄色いオーラが涼風香里に燃え上がる。

「もしかして…。涼風さんも。」

涼風香里が黄色いオーラに包まれて天使の姿に変身して水色の羽を広げて前田春香のところに飛んで行く。天使に変身した涼風香里は悪魔の前田春香の隣で黄色いバリアーを張って青流を止めようとする。青いビー玉のような物から出ている事に気づいた前田春香は紫色の粒を青いビー玉のような物に飛ばす。青いビー玉のような物はヒビが入って割れる。

「うぐっ!」

俺の父は急に胸を右手で掴み出した。俺は前田春香が上手くやってくれたと分かった。しかしまだ何箇所かに青流が吹き出ている。俺には前田春香を信じるしかない。俺と橋本知香と菜生桜は父に目掛けて紫色の粒を飛ばす。急に父が大きな声で叫び出した。俺達が飛ばした紫色の粒は父の叫びで粉々になる。

まさか、青流を一つ壊したとしても力が落ちるどころか上がっているとは俺は驚いた。父から赤紫色のオーラが燃え上がっていて俺達にとっては恐怖だった。さっきまで勝てるかもって思っていたけど今は勝てないという絶望感が俺達にはあった。もしかしたら俺の思っていた事は全て間違えであの青いビー玉のような物を壊すと父の力が上がってしまうとしたら俺達に勝ち目はない。前田春香に青いビー玉のような物を壊すのを辞めるように言わなければ今の俺達では手に負えなくなってしまう。その頃、何も知らない前田春香は青流が吹き出ている青いビー玉のような物を探していた。このままだと俺達は殺される。そして父の思うがままになってしまう。涼風香里は光の粒を青いビー玉のような物に当てて青いビー玉のような物を壊す。

「我に力がドンドン湧いて来る。」

俺は橋本知香と菜生桜の手を握って逃げようと思ったがすぐに諦めた。なぜなら力の差は確実だからである。

「涼風さんこれで最後?」

前田春香が涼風香里に聞くと涼風香里は頷いて前田春香が最後の青いビー玉のような物を壊すのを見る。前田春香は紫色の粒で青いビー玉のような物を壊す。これで世界は平和になるはずだった。しかし、父の力が上がっただけで勝ったわけではない。俺は右手でゲートを作って前田春香と涼風香里がゲートから入って来るのを待つ。前田春香だけがゲートに入って来た。俺と前田春香と橋本知香と菜生桜で紫色の粒を父目掛けて飛ばす。しかし父に当たる事はなかった。俺はゲートから逃げる事を思いついた。俺は橋本知香と菜生桜を先にゲートから出るように言う。前田春香は父に紫色の粒を飛ばし続ける。

「小山君、先に行って。」

俺は前田春香の言葉に何も言わずにゲートの方に行く。その時、赤いビームが飛んで来た。前田春香は攻撃を辞めて俺をゲートの方に突き飛ばした。父の赤いビームは前田春香の心臓を貫いて地面に落ちて行った。俺はすぐに助けに行こうとしたが橋本知香と菜生桜が俺の手を掴んで首を振る。俺はゲートを閉じて橋本知香と菜生桜の方を見ると橋本知香と菜生桜は涙を流していた。全部自分のせいなのに涙が出なかった。自分で始めた事なのにどうして涙が出て来ないんだろうか。今までの日々を俺は思い出した。優しく話しかけてくれた前田春香が今はいない。俺の目から急に涙が流れて来た。俺の父に勝つ事は出来るのだろうか。前田春香の死で勝てないと諦めかけてしまった。俺は涙を拭いてゲートを開いて一人で行こうとすると橋本知香と菜生桜が俺の手を掴む。

「私達も行く。前田さんを連れて帰りたいから。」

俺は頷いて三人でゲートの中に入って行った。もしも、父がまだいるとすれば勝ち目は俺達にはない。新しい地球は火の海になっていてこの場所に前田春香がいるのかは分からなかった。俺達は前田春香を探すがどこにも前田春香の姿は見つからなかった。もしかしたら俺の父がトドメを刺したのだろうか。誰にも分からないまま俺達はサバイバル生活を中止するほかなかった。滝川先生に前田春香の死を話すと滝川先生は驚いた顔で俺を見る。もしも俺が悪いのなら今、ここで殺してくれ。滝川先生は俺の頭に手を置いた。

「そうか…。」

ただそれだけを言って行ってしまった。俺には分からなかった。どうして目の前に前田春香に助けてもらって生きのびてしまった今回の青流を出した張本人なのに誰にも文句を言われない。俺は口を開けてみんなの方を向く。

「どうしてみんな俺を責めないんだよ!前田春香は俺をかばって…。」

みんなは黙ったまま俺の方に歩いて来た。みんなは俺の顔を見てニコッと笑った。その笑顔が何かは俺には分からなかった。

「前田さんでも、ここにいる私達でも小山君を殺す事は出来ないの。その目から流れる涙があるなら。」

涼風香里の言葉に俺は涙がまだ流れている事に気づいた。俺達はサバイバル生活中止して自分達の家に帰る。俺はスマホをポケットから出してLINEを開くと前田春香から通知が来ていた。俺は気づかず戦っていたのだろうか。目から涙が止まらなくて俺は前田春香からのLINE見る。

[青流全部止まりました。もしも生きて帰れたら一緒に買い物しようね。]

俺は涙を拭いて何度も前田春香の通知を見てからずっと謝る。俺の家の電話が鳴って俺は電話を取る。

「もしもし小山ですが。」

「もしもし前田春香の母です。そっちに遊びに行ってませんか?」

俺は二分間黙ったままいた。前田春香の母に前田春香の死を言うのが怖かった。

「今日、サバイバル生活で亡くなりました…。」

これで本当に良かったのだろうか。電話から聞こえる前田春香の母の泣いている声。俺は言ってはいけない事を言ってしまったのだろう。俺はゆっくり電話を切る。何も今はする気にもなれなかった。「健次、夜ご飯よ。」

俺は黙ったまま席に座って夜ご飯を食べ始める。白米と豚の生姜焼きと味噌汁(わかめ、豆腐)俺は黙ったままご飯を食べていると母が心配そうな顔で俺を見る。

「何かあったの?」

「前田春香が死んじゃったんだ…。サバイバル生活中に…。」

母は悪い事を聞いちゃったと思い二階に行ってしまった。俺にも何をどうすれば良いかなんて分からなくなってしまった。ご飯を食べ終えて俺は自分の部屋に行って明日の支度をしてから寝る。



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